2018年07月09日

【薙刀式】頻出二連接100から見る運指の可視化

kouyさんの100万字統計の、
二連接の上位100(http://kouy.exblog.jp/9731073/)から、
代表的な配列の運指を可視化してみた。


実際、運指は一塊(単語や文節)であるだろうが、
その基本要素は二連接で評価出来ると思う。
全ての連接は二連接の連続だからだ。

また上位100で、
全組み合わせの出現率36%(368087/1028862)をカバーしているため、
傾向としての議論は可能かとおもう。


まずは、われらが薙刀式で見てみる。

手書きで申し訳ないが、
以下のものをすべて作る手間を待つより、
あまりに興味深い内容なのでこのまま発表に踏み切った次第だ。
余裕があればきれいな図にしたい。

そもそもこれは頻出連接で、アルペジオと左右交互打鍵がどうなっているか、
調査しようとしてつくったものだった。

図の見方であるが、
一個打鍵するたびに赤のドットを一個置く。
左右交互打鍵なら右手側左手側にそれぞれドットが置かれる。
左右交互打鍵でない片手二打のとき、ふたつのドットを線で結ぶことにした。
また薙刀式では、
「濁音(中段人差し指同時押し)→なにか」のときにも
アルペジオになりやすいため、そのときの軌跡もふくめた。

一般化して、「文字領域のシフトから片手二連打になるときも線で示す」とする。

薙刀運指100.jpg


・右手に打鍵もアルペジオも集中していること
 (右手アルペジオ>左右交互打鍵>左手のアルペジオ)
・薬指と小指は極端に少なく、左右交互にしかほとんど絡まないこと
 (つまりアルペジオの軌跡をつくらないこと)
・特に小指の出番はほぼないこと
・右薬指はその中では使うこと
・全体に斜め方向のアルペジオが多いこと
・親指のシフトは案外少ないこと
 (連続シフトの要素よりも、濁音同時押し、拗音同時押しのときには親指不要、
 という排他的配置が効いているようだ)

などが図から読み取れる。


さあここからが本番だ。

これを新下駄、飛鳥も作ってみた。
結果、それぞれの配列の特徴が際立つ興味深い図となった。

新下駄運指100.jpg


新下駄の運指は美しい。
数学的、幾何学的美しささえある。
徹底的に無駄を省いた、トップクラスの高速配列であることが伝わってくる。
最速候補にふさわしい運指の無駄のなさだ。

・ホーム段をよく使うこと
・その中でのアルペジオが多いこと
 (中指シフト、薬指シフトからの連接が多くホーム段においてある、
 という設計だろう)
・拗音シフトから中段へのアルペジオが計算されていること
・左右のバランスが50:50になっている対称型であること

などが図から読み取れる。

日本庭園は左右対称を嫌い、イングリッシュガーデンは左右対称を好む、
ということを思い出させる。
作者のkouy氏はイギリス人のような、数学者のような、
論理の好きなきっちりした人なのかもしれない。

薙刀式に比べて、

・案外薬指小指は使うこと
・ホーム段同士のアルペジオによく使うこと

なども読み取れる。
上段、下段は単打の為に用意して、
使えるアルペジオなら使っている、という印象だ。

このへんは、
最初から人差指中指の上下段をアルペジオ前提で組んで、
積極的に利用している薙刀式とは違う設計思想である。
逆にいうと薙刀式は、
人差し指中指の三段でホーム段の代りをしているということになる。
新下駄は横に広く、薙刀式はそれをタテに展開した配列と、
指の設計の差があるということだ。
平屋とペンシルビルの違い、といってもよいかもだ。


飛鳥運指100.jpg


方程式の解のような新下駄の幾何学的運指と真逆で、
カンによる泥臭さで並べた飛鳥の成り立ちが、
この図からも伝わってくる。

飛鳥は、
「右手ホーム4キー(JKL:)と、両親指で打つ」
配列だと極論してもいいくらいの運指密度だ。

足りないならそれを左手ホームキー(ASDF)に、
それでも足りないなら上下段、
という感覚で並べてある印象。

親指のシフトの回数が多い
(連続シフトを使ってなお200文字中53がシフト。薙刀式は29)のも、
親指を使ってまで、
右手ホーム4キーでアルペジオをつくる為ではないだろうか。

僕が飛鳥にひかれたのは、
まさにこのような運指へのこだわりで、
僕が飛鳥に挫折したのは、
僕の苦手とする、左薬指、右薬指小指の多さであることも、
この図から読み取れる。
(新下駄が意外に左小指が多くて驚いた。
余裕があれば触ってみたかったのだが、ますますビビってしまう……)


さあ、ここまで作ったら、他の配列も気になるよね。
なので作ってみました。

NIcola運指100.jpg


予想通り、

・ホーム段が多いこと
・下段はほぼ使わないこと
・上段をまあまあ使うこと
・ホーム段のうち、薬指小指の外側の負担が高すぎること

が図に現れた。

とくに右手薬指の「い」「ょ」、小指の「ん」「っ」がむごいと思う。
僕は確実に指を壊されるだろう。

単純に、右手薬指小指と、人差し指中指、
左のそれらを入れ替えるだけで、
もうちょっとましな配列になるような気がするが、素人考えだろうか。

特筆すべきは「右シフトの多さ」だ。

飛鳥の合計シフト数53よりも多い右単独56で、
左シフトと合わせると計78ものシフト数だ。
全200文字の1/3以上シフトというのは、ちょっと煩雑に過ぎると考える。
(飛鳥は連続シフトによって数字上得をしている)
しかも右だけに偏っているのがとても気になる。

つまり親指シフトというのは、
「ホーム段8キーと右親指で打つ」配列である、
と極論してもよいのではないか。

その他は付け足しで、
この部分こそが親指シフトの心臓部かもしれない。

これは飛鳥が、
「右手ホーム4キーと2親指で打つ」ことと対照的であると思う。
逆にいうと、飛鳥は8×1を4×2に圧縮することで、
運指を圧縮したのだと言える。

ニコラの左親指は、これに比べればゴミ同然の機能かもしれない。


次は月だ。2-263式である。

月運指100.jpg


運指の混乱が、新下駄、飛鳥に比べるとみられる。

また、
中指シフトキーからアルペジオになる軌跡は、新下駄同様線で表現してあるが、
新下駄のシフトキーからのアルペジオが、いかに導線を設計しているか、
如実に差が出ている。

月設計当時は、
おそらくこのことに気づかれていなかったのだろうと考えられる。
(当時のスレにもなかったと思う)
そもそも中指逐次シフトのアイデアは花が前身だが、
その時にもDKからのアルペジオを設計しようという考えはなかったと思う。

ということで、
線があっちこっちにいってしまい、
おそらく運指が忙しい配列なんだろうなあ、
という印象が残る。
もちろんこれが完璧でないからこそ、
改良配列が百花繚乱となった歴史的経緯があるわけだが。

しかしこのせわしなさも、
次のQwertyを見れば歓迎ムードでしかない。

Qwe運指100.jpg


もはやねばねば納豆のような図だ。

打鍵数がすごいことになっているのは機構上理解しているとはいえ、
このように図で見せられると、
もっと楽なやり方はないの?と素人でも思ってしまうに違いない。

この図を見る限りでは、
右手はJNを交換し、
左手は、AFTの位置にTAFが来るようにするだけで、
ただちに運指が改善されることが期待される。

N, A, T, Yあたりが殺人的だなあ。

左小指は、僕はここから始めて悲鳴を上げ、
目的に対して薙刀式まで、ドットの数を減らしてきたわけだよ。
長かった一年半。


これをブラインドタッチで打てというのは、国策として間違いだ。
たとえば漢字を教える段階でこれを教えるには、
あまりにも洗練がされていない。

今若者がフリックで十分というのもよくわかる。
これを打つべきだと、胸を張っていえない。

YUIOを中段にするだけで、
新下駄のようにずいぶん楽になるんじゃないか。
(もっともQwertyを打つときは、
上段メインに構えることが常識かもしれないが)


さてJISカナだ。

JISカナ運指100.jpg


もうあほかと。
これに比べれば、Qwertyのほうがなんぼかましかもしれないよ。

・指の跳躍のべらぼうさ
・ホーム段とは関係ない運指
・左手いじめ(シフトキーふくむ)
・右小指いじめ

かにホームポジション(か=T、に=Iにホームを置く打ち方)は、
せめてこれをちょっとでもマシにしようという、
涙ぐましい努力であることが伝わってくるもんだ。

先日上げた安岡先生のページによれば、
NTTが最終的にこの配列を決定したそうだが、
当時の責任者は腹を切れ。
無知無能にもほどがある。
国際競争において、お前たちが日本語を破壊したのだ。

国賊レベルの戦犯であると考える。

僕は工学部時代、
ダムの設計者が百年に一度の災害には耐えるように作っていたが、
二百年に一度の災害で全壊してしまい、
自殺した技術者の話を聞いたことがある。
多くの罪もない国民の命を失うことは国賊だが、
母国語の文化をストップさせるのも国賊である。

これで日本人は書くことを異常に制限されたのだ。
CIAか謎の組織の陰謀でもあるんじゃないかと思ってしまう。


JISカナタイパーは、特殊能力者を名乗る資格があると思う。

これを全ての国民が常用することを考えるのは、
気ちがいの所業だ。





頻度上位100に関して、上位36%のみ見たので、
それ以下になると現れる別の何かがあるかもしれない。
だからこれはあくまで傾向としての議論だ。

また手作業の為、
蜂蜜小梅やTRON、月の他系列、下駄などの名作や、
行段系ローマ字などの調査は断念したので、
十分にひろい視野ではないことを断っておく。



少なくとも今回の調査から言えることは、
Qwertyローマ字なんて効率の悪いものからは卒業しろ、
JISカナは論外。
月、親指シフト(ニコラ)、飛鳥、新下駄、薙刀式か今回未調査の何かがベター、
ということだろうか。

その中でも、親指シフト(ニコラ)はベストの配列ではない、
というのは僕がいつも思っていることではある。


これらの可視化で、
自分の指と相談しやすいのではないか。


自分の例でいえば、
ホーム段をアルペジオで渡りまくる配列は性に合わないようである。
4本の指がバラバラの長さだというのに、
それを横一直線に並べている感じが気に食わない。
(エルゴキーボードなら別かもしれない)

飛鳥、新下駄、親指シフトは、
だから候補から外れてしまう。

みなさんの配列えらびや評価の参考にしていただきたい。
posted by おおおかとしひこ at 18:55| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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