2018年07月12日

面白いとは何か

これにこたえることは本当に難しい。

ひとつあげると他にも答えがありそうだし、
そもそも一つに絞れるのかどうかもわからない。

しかし一つ言えるのは、
主人公と一体化できない、すなわち感情移入がうまくいかないものは、
面白くないと思う。


感情移入についてはこのブログでもたくさん考察していて、
大体芯のところをついてはいるかなあと思っている。

しかし、一回感情移入したものの、
外れることがあったり、
ふたたび感情移入したりする現象について、
あまり書いていなかったように思う。

何故感情移入が遠ざかったり、
また感情移入したりするのだろうか。

それは一回好きになった人に、
飽きたり、また好きになったりする現象に近いのではないかと思う。


まず一回好きにならせることは、
出来たとしよう。

(復習すると、共感するのではなく、
興味をもたせて、まずはシチュエーションに引き込み、
次第にその人の事情や内面を知らせてゆき、
いつのまにかこの人の成功を応援したいという気持ちにさせることであった。
その中でも、とくに自ら行動する人を、
注目するのであった)

それが、一回興味が外れることもある。
ストーリーが停滞したり、
他の人物に焦点が移っていたりして、である。

ということは、
また主人公に対して興味を持たせたり、
焦点を当てたり、
危機に追い落としたり、
もがかせるとよい。

主人公は、ストーリーの間中苦難が襲い掛かるようになっている。
それは飽きさせずに、
主人公に焦点を当て、
感情移入を深く継続させるための仕組みである、
ということが出来るだろうね。

ということで、
主人公に時々スポットを当てよう。


そのストーリーが主人公のメインプロットを外れていないことを確認するイベントが、
ピンチ(万力のような、挟むものの意味)というものであった。

これはシドフィールドだけが言っている概念だが、
分らなくはないと思う。
つまり、主人公への感情移入を途切れさせないような、
なんらかのことを時々起こすべきだ、
ということを言おうとしている、と僕は解釈している。


第一ターニングポイントまでは主人公と一体化していた物語が、
二幕に入ったとたんに減速してしまい、
主人公との一体化が薄れることはよくある。

それは、主人公以外のキャラクターや、
世界観の仕組みにスポットが当たったからで、
その間主人公については触れていなかったからだ。

それに対して主人公が何かを思ったり、
したりしていくと、主人公との一体化の感覚は継続する。

しかしそれだけでは足りなくて、
主人公に関してもう一段階何かが起こるべきだ、
というのがピンチポイントの意味するところだ。

好きになった人とただずるずる一緒にいても、
その好きは減退していくから、
その人をもっと好きになるような、
何かしらを用意せよ、
ということを言っている。


つまり、新しい試練があるとか、
その人の新たな面がわかるような何かがあるとか、
その人が新しい危機を克服するとか、
深くその人のことを知るとか、
そういうことがない限り、
一回好きになっても、
時間とともに減衰していく、ということなのだ。


ということで、
一回好きになったとしても、
次に主人公の魅力をさらに引き出すイベントが、
あるようにするとよい。

また、単純により好きになるのではなく、
嫌いになったり、一回嫌悪感を催したりするようにしたあとに、
挽回するようにするなど、
起伏をしかけていくと更によいだろう。

全ては関係している。
それを忘れないことだ。



ストーリーの起伏とは、そういうことも含むだろう。
主人公への一体感との、付き具合離れ具合、
も含むかもしれないよと。

主人公と一体化して、
次に起こるものをクリアしていくことを疑似体験できるようなものは、
確実に面白い。




以下余談。

僕がゲームをあんまり好まなくなったのは、
その一体化の努力のようなものが、ゲームには存在しないことかもしれない。

プレイヤー視点になってしまっていて、
三人称的な感情移入がどうでもよくなっている。
プレイヤー視点で行動することが感情移入ではない。
だからゲームの作者は、
三人称的な感情移入というものを知らないかもしれないね。

プレイヤー視点は強制的で、
感情移入なんてどうでもよい、知らない、
という意志さえ感じるので、
FPSもオープンワールドもVRもARも、なにも興味がない。

感情移入こそが、僕は芸術だと思っている節がある。
posted by おおおかとしひこ at 17:47| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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