最初に書いたものから、リライトするとき。
コントラストが足りないなら、
もっと強くするとよい。
たとえばもっともコントラストが足りない代表は、
主人公のつらい状況やそこから脱出したい気持ちと、
最終的な大成功の対比だ。
暗部があるから、明部が明るく感じるのだ。
同様に、
途中のボトムポイントと、
最終的な大逆転のコントラストも強いほうがよい。
大敗北からの大逆転は、力強く、
勢いがあり、出来るだけ大逆転のほうがおもしろい。
不幸は徹底的に不幸に。暗く、さみしく、痛く。
幸福は徹底的に幸福に。砂糖と蜂蜜をかけて。
負けは徹底的に、勝ちも徹底的に。
これ以上ない大逆転のコントラストを、
さらに彫り込んでいこう。
第一稿では、なかなかそこまではいかない。
もちろん、それを意識してはいるだろうが、
この大逆転のためなら、
最初はもっと暗くてもいいな、
ということがあったりする。
で、最初これだけ不幸にするなら、
もっと最後にジャンプアップしたほうがいいね、
となることが、とても多い。
だとして、
現在の因果関係だけでは不自然になるのなら、
そうなるのに必要なのは何かと考え、
足したり改変していくべきだ。
目的は、コントラストを強めることである。
弱めることってあるんだろうか。
そのコントラストが、
他のコントラストを邪魔しているときかな。
たとえばキャラの対比が強すぎて、
ストーリーの起伏が目立たないなら、
それを弱めることは、あったりする。
テーマが浮き彫りになるべきコントラストが弱いなら、
そこを強めつつ、かつ他の不要なコントラストを弱めたりすると、
中心がくっきりとしてくるだろう。
人は、一番コントラストの強いところを印象的に覚えるのは、
絵画も写真も音楽も、
ストーリーも同じだと思う。
コントラストが最も強いところは、
つまりはダイナミックレンジが一番あるところで、
それって出力の限界と出力の最も小さなところの対比だからだ。
「そのもの」が持つ出力の巾を、
人は印象的に覚え、それがそのものであるように記憶する。
わかりやすいのは、ベートーベンの「運命」の冒頭だろうか。
あのダイナミックレンジ、
大きさと間で、人はテーマであるところの運命を記憶する。
その最もコントラストが強い、
中心となるダイナミックレンジの最大部分は、
キャラ同士の対比であるよりはテーマであるほうが、
ストーリーとして優秀だと僕は思う。
どん底をどう表現するか。
大成功を表現するか。
その落差をどう表現するか。
それらは点であり線ではない。
しかし点と点の距離は、線である。
コントラストは、自動的に線を生む。
2018年07月13日
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