ぼくは万年筆だと考えている。
先日万年筆をたっぷり試してきた。
店頭のメモ用紙は全部僕の字で埋め尽くされた。(変なおじさんですいません)
万年筆の書き味を知るという段階で、検討はまだ先の話。
メーカーや種類が多すぎて把握しきれないので、
何が何かまでは語れない。
しかし、
押下圧0かと思えるほどの、
「紙に触れただけで毛細管現象で字になる。あとは動かすだけ」
という感覚は、
ボールペンや鉛筆を普段使っているぼくにとって、
新鮮な感覚であった。
つまり万年筆は押下圧0(付近)で、横に動かす方に力を使う。
それは「字を書く感覚そのもの」という気がしている。
キーボードは押下圧が高すぎる。
僕はNiZを絶賛しているが、
万年筆はこれのさらに何分の一か何十分の一かの押下圧だ。
薙刀式配列では続け字を意識している。
片手アルペジオと左右交互打鍵の軌跡が単語や一文に相当するような、
一連に注力できるようなことをずっと考えてきた。
上下運動ではなく、
水平曲線運動が字を書くことである、
という感覚だ。
だから僕は、万年筆の押下圧なみのキーボードが欲しい。
(透明シールを貼ってわずかな凸凹をつけた、
ブラインドで打てるフリック型キーボードは出ないのかな。
そのとき薙刀式のアルペジオが火を吹くだろう)
飛鳥配列は、少なくともニコラ批判から始まったから、
ニコラを仮想敵にしていただろう。
そのニコラ、親指シフトはqwertyとJISカナを仮想敵にしていた。
月の派生は2-263を仮想敵としていた。
その後の百花繚乱の配列は、
それぞれの配列と比べてどうか、などと議論していた気がする。
それはローカルな進化を競う上ではいいけれど、
簡単に袋小路に入るよね。
自作キーボード勢がそろそろ、
ベストの配列ってなんだろうと、
ハード(物理配列)とソフト(論理配列)の融合をしだすだろう。
そのときにようやく、何とこれは比較されるべきか、
考えるかもしれない。
フリック。音声入力。
このへんが今手軽な入力方法の代表だ。
しかしこれらには欠点があり、
「本格的な文章には向かない」
という構造上の問題を抱えている。
(フリックは精々三本指しか使わず効率がわるく、
編集操作において簡略化されすぎている。
音声入力は口述筆記と同じ欠点を持ち、
書いているうちに構成がよれてくる)
僕は本格的な長い文章、
たとえば脚本や小説を書く為に、筆記具を使う。
それに適した筆記具は、
紙とボールペンなのか万年筆なのか、
NiZ+iText+Surface+薙刀式なのか、
ポメラなのか、
iPad+親指シフトなのか、
なんなのか、
というだけのことなのだ。
で、今のところ、
膨大な紙のメモと本文と、
それを一緒くたにした透明ファイルと、
ボールペンのセットに勝るものはなくて、
電車ではフリック、
タブレットとキーボードが展開できる場所と時間があれば、
ブログ更新に薙刀式を使っているだけで、
「本格的な文章」の第一稿にはデジタルは使っていない。
(手書きの清書には薙刀式。
メモを取るのは手書きかフリックが一番早い)
薙刀式の敵はほかの配列か?
僕は飛鳥でも新下駄でも親指シフトでも音声入力でもなくて、
紙と万年筆だと思っている。
何がその仮想敵かで、
そのものの性格や用途や、立ち位置が分かるかも知れない。
一度万年筆の良さを味わうと、
たしかに他の筆記具が馬鹿らしくなる。
僕は安くていつもズボンの左前ポケットに突っ込める、
いつものボールペン(ぺんてる中性ハイブリッド青108円)のほうが、
機動性があると考えてはいる(ポメラより起動が速い)が、
万年筆に変えてもいいのかなと考え始めている。
それにデジタルはなにが勝るかだけなんだよね。
「書く生活」を考えると、毎日充電だけでもう面倒。
4万字書くまでインクが切れないボールペン(先日検証)ぐらいの充電になりたい。
(フル充電から0まで、1万字くらいかなデジタルは。電源難民によくなる)
その上で何がアドバンテージがあるのか、
薙刀式側から見たり、
万年筆側から見たりしている。
2018年07月14日
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