2018年07月14日

それは引きで終わるのか寄りで終わるのか

シーンはどうやって終わるのだろうか?
引き(ロングショット、ワイドショット)か?
寄り(クローズアップ、タイトショット)か?

脚本家が厳密にカット割りまで考える必要はないが、
その意味を考えることは必要だ。


さらに次のシーンとの順列組み合わせでいえば、

引きで終わり、引きで始まる
引きで終わり、寄りで始まる
寄りで終わり、引きで始まる
寄りで終わり、寄りで始まる

の4パターンがある。

そもそも終わり方は引き寄りどっちだ?


引きで終わると、一旦休止だろう。
寄りで終わると、次へ焦点を移しやすい。

寄りから始めるとインアクションから始められる。
(すでに何かが起こっていて、
いきなりその渦中に観客を巻き込む。
たとえば銃で撃たれて死ぬ人から始めて、
引くと戦争中である、とか)

引きから始めると、ゆっくりとセットアップから始めることになる。
これから起こることを慎重に、
周囲から丁寧に描くやり方だ。



引きで終わり、引きで始まる:

一旦話は終わって、次の話もゆっくり始まる。
ブロックとブロックの切れ目かもしれない。
テンポは一番遅い。


引きで終わり、寄りで始まる:

ゆっくり終わって、余韻を引きずらないうちに、
いきなり何かに巻き込む。
テンポアップに使われる。


寄りで終わり、引きで始まる:

謎や何かを強烈に残し、
その焦点を維持したまま、じっくりとスタートする。
これから何が起こるかワクワクさせながら引っ張れる。


寄りで終わり、寄りで始まる:

ハイテンポの維持。
同じものの寄りで繋ぐと、
そこに因果関係を暗示できる。
(あの子はどうしてるだろう、という顔で終わり、
彼はどうしてるだろう、と心配するその子から始めると、
両思いを暗示できる。
鍵で終わって扉から始めると、
その扉の鍵であることを暗示できる。
モンタージュ効果だ)



つまりは、
何でも終わるか考えることは、
次をどう始めるかを考えることだ。

次をどう始めるかも考えてないのに、
つまりは流れも考えてないのに、
寄りだの引きだの決められないのだ。

もしとりあえずシーン終わりまで書いて、
次が全く出てこないなら、
次を考えずに終わらせてしまったのだと言える。

次が出来てから、今のシーンを終えるべきで、
そのつなぎを考えずに、
シーンの終わりは決められない。

なぜなら、シーンの終わりは次のシーンへの前振りだからである。
posted by おおおかとしひこ at 17:31| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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