前に湧き水と汲むことにたとえてみたけれど、
その泉は、言葉そのものではない。
書きたいと思うなにかであり、
汲んで、つまり書く行為によってはじめて文字になる。
水は言葉の形をおそらくしてなくて、
非言語的な、
衝動のようなものではないかと考える。
久しぶりに大きな絵を描いている。
B4サイズだけど300dpiなので、
10GBの重さのデカ絵だ。
絵はどうやってできるのか?
アイデアスケッチはあった。
僕のスタイルは手書きで線を描き、
スキャンし、デジタルの厚塗りで仕上げる。
最近は線は鉛筆だったけど、
思いついて黒パステルで、木炭風に描いてみた。
新しい画材なのでテストになんか描くか、
とスラスラ描いていたら、
これこのまま使えるやん、
と切り替えて、
当初のスケッチとは違うが、
構図と構成要素は似た絵が、するすると出てきてしまった。
これは、
湧き水と言葉の関係に似ていると思った。
絵を描く前には具体的な手の移動線は考えていない。
でも、手を動かしてみて、
最初の線に出会ってしまったら、
その線が次の線を湧き水の中から引き出して、
次々に線にしていく感覚がある。
言葉も多分同じ。
モヤモヤとしたアイデアや思いのようなものがあり、
最初の言葉に出会った時、
それはその言葉を発端に、
次々と言葉にトランスフォームしていくような気がする。
最初の言葉が触媒で、
次の言葉が次の言葉を呼ぶ連鎖反応のような感じ。
小説家はストーリーを書くときに、
「最初の言葉が決まったら最後まで書ける」
とよくいう。
実際の感覚で言えば、
全ての湧き水を貯めるまでは、
なかなか最初の言葉は出てこない。
ストーリーがおおまか出来ていても、
どの言葉から始めるべきかは何万通りもあり得る。
しかし、水がたまってさえいれば、
最初の言葉が言葉になったら、
水は次々に言葉になっていく気がする。
思考速度と前には書いたけれど、
実感としては、
水が言葉になる速度、みたいな感覚。
水が沢山たまっていればいるほど、
その速度は速いような気がする。
(堰を切ったように言葉が次々に出てくる状態)
で。
絵を描いているときは、
線が線を連れてくる。
色が隣の色を連れてくる。
ここにこういうものを置くならば、
ここにはこういうものを置こうという判断。
絵全体を眺めるときにも、
部分だけを見ているときにも思う。
絵を描くときは時々全体を引いて眺めるのがコツで、
全体としてまとまりがあるかを見ておかないと、
部分に気をとられることが多い。
言葉も大体同じだと僕は考えている。
書いてるその水際では、
微視的な言葉の選択の連続だ。
しかし時々俯瞰して、
あのことは大体尽くしたから、
あとアレとアレを言及しなくては、
などと全体のバランスを見ながら書いていくことになる。
口述筆記の弱点はここで、
水際しかないから、
全体を見渡す手段がないことにある。
(音として消えて無くなる言葉を、
文字によって俯瞰できるようにしたことが、
文字の優秀さかも知れない)
僕が音声入力に否定的なのは、
言うことは、
この書くという行為とは異なると考えているからだ。
(もっとも3000字程度までならどっちでも同じかも知れない。
僕が考えているのは1セッション1万字程度の話)
言葉を見ることで次の言葉を決める行為は、
色を塗ったことで次に塗る色を決める行為に、
どこか似ていると思う。
反対色でコントラストを取るのか、
似た色で連続するのか、
よくある組み合わせにするのか、
新規の組み合わせにするのか、
ベタな流れか、安心の定型か。
前のを参考にしながら次を決める。
それこそが書くという行為のような気がしている。
で、その「言葉化する速度」が、
おおむね1500字/10分が上限のような気がしていて、
タイピングはそれに追いつけばいいんじゃないか、
ということを言おうとしている。
どんな文章でも1500字/10分は、
だいぶ上級者だと思う。
僕の薙刀式では、
他人の文のコピー打鍵は900ないし1000ぐらいで、
自分の言葉なら900から1500程度で、
小説など最も脳を使う速度は500程度だ。
2000字/10分の人はいるのだろうか。
200字/1分は、初速なら可能だけど、
30分や2時間その速度が持つとは思えない。
水が言葉になり、言葉が言葉を連れてきて、
言葉を見て言葉を決めるのは、
そんなに速くないと思うんだ。
いや、これは僕の実感でしかなくて、
世の中には2000や3000や5000もいるかも知れない。
IQ200とかと話したことないから、
「頭の回転」がどれくらいなのかわからない。
(実際IQが高い人は言語で考えていなくて、
考えだけで先に結論を出し、
あとでそれを言語化するパターンが多いらしいが)
自分の実感をとりあえず書いてみた。
ここまで打鍵速度からの逆算で、
思考速度を考えてる人は見たことない。
でも、配列って実用のためにあるんだとしたら、
なぜそこを測定していないのかが分からないよ。
ほんとにみんな日本語書いてんのかな。
すごく書いてたのは飛鳥のRayさんだが、
どれくらいの速度なのかまでは数字が出てこなかった。
タイピングゲーム(コピー打鍵、日本国憲法)に関しては出てきたが、
僕が知りたいのは創作打鍵だ。
創作打鍵に関しては親指シフターが一大勢力だけど、
勝間さんの分速200字以外に、
具体的数字が全然出てこない。
毎日ブログや原稿を書いてるシフターたちは、
文字数と時間を示してほしいものだ。
それこそが配列変更予備軍にとって、
一番知りたい情報のはずだ。
薙刀式は、
1500字/10分(日記程度の軽い文章を書く)
1000字/10分(ブログなどの論説文を書く)
650字/10分(自作小説の手書きからのデジタル化)
500字/10分(脚本を書くとき)
ぐらいにはなれる。
トップスピードではなく、巡航速度の話。
また試す人全員がなれる保証もない。
合わない人もいるかも知れない。
2018年07月16日
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