2018年07月27日

はじめてふりかけ

ラストチャンス、ファイナルふりかけ同様、
「はじめての」「最初の」「第一の」は、
ふりかけに使える。

つまり、平凡な状況をドラマチックに変えれる。


・私の初めての彼氏になってよ。
・黒人大統領就任後の、公への第一声。
・人類で初めて月に一歩を記した男。
・はじめてのおつかい。
・探偵事務所を開いて、これが最初の仕事かよ!
・はじめての一人暮らし。
・ここを突破した人はいない。あなたがはじめての人になる。
・はじめてやったバイト。
・初任給。
・ここにきた日本人は、あなたがはじめてだね。
・関西人ではじめて納豆を食べた男。
・はじめて乗る電車は緊張する。

などなどだ。

ラストチャンスふりかけが、クライマックスにかかって来るのに対して、
はじめてふりかけは、
物語のスタートにかかってくることが多いだろう。

それはこれから予感させる大きな期待や責任や、
不安と関係する。


これを利用したものに、
「○○、はじまる。」という糞キャッチコピーがある。

CMでは、
何かが人生にはじまる瞬間で終わることができる。
15秒しかないからね。
だから、ちょっといいことがあって、
何か始まりそうな予感があって、
それを○○サービスとひっかけて、
「○○、はじまる。」
と終わると、
なんだかいい気分になる。

これらはひとつの型になっていて、
この10年くらい使い古されたパターンだ。

例:
バンドやろうぜ!
なんでだよ!
でも面白そうじゃね!
でも出来ないよ。
やってみなけりゃわからなえじゃんか。
みんなではじめる、それがバンドだ。
「みんなの学割、はじまる。」

とかね。
誰でも作れるので、やってみるといい。



CMの長さだとこれくらいでいい感じになるけれど、
「はじまってどうなるの?」がストーリーだから、
そこに面白い展開やラストのオチがないと、
ただの出落ちになるだろう。
(極端にいえば、ストーリーの最初にはじめてふりかけをかけ、
クライマックスにラストチャンスふりかけをかければ、
ある程度ブースト可能だ)

CMにおける、
「○○、はじまる。」文法は、
第2弾がないことが多い。

「はじまって、どうなる」に責任を取れない。
だからCMの「はじまる」は、出落ちしかないことに留意されたい。

ああ、出落ちだけのファイアパンチという糞漫画に、
構造的に似ているね。



ストーリーは出落ちではなく、
線として続く何かを書くことだ。

出落ち連発にならないように、
劇薬をうまく使おう。



あなたのストーリーが最後までちゃんと書けないのは、
ストーリーが出来てないにも関わらず、
「○○、はじまる。」で始めてしまったからかも知れないね。

そうではなく、
はじめて終わる、一連のものを作ってから、
はじめてふりかけをかけると、
魅力的なスタートになることが多いよ。
posted by おおおかとしひこ at 10:53| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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