2018年08月13日

【配列】打鍵動画の作り方

僕は映像業界の人間なので目をつぶっても出来るけど、
知らない人は分からないかも知れない、
打鍵動画の作り方。

用意するもの
iPhone、小さな三脚ふたつ
ゲームバー(Windows10に標準装備の画面録画ソフト)
編集ソフト(Premierがいいけど素人にはしんどいから、
簡単な動画編集ソフトを探してください。
昔ならiMovieがすごく良かったんだけど…)


【撮影準備】

打鍵動画で難しいのは、
「2キャメ撮影」(2台のカメラ)という点。
手元と画面を、二台のカメラで別々な撮り、
編集時に合成しなければならない、
ということ。
初心者にはここが難易度が高いかなあと思います。

先に一台のカメラで適当なものを撮り、
マルチ画面に編集できるかを練習しておくと、
撮影はスムーズにいくでしょう。

(16:9の画面の中に、上下分割で2画面を置くなら、
それぞれは左右がとても余るか上下をカットする必要があります。
その余分を見て撮影時はフレームを見てください。
左右分割にするならば、
逆に上下が余り、左右をカットする必要が出てきます。
仕上がりをイメージした撮影をしておかないと、
あとで死んじゃうので、テスト撮影をしたほうが良いでしょう。
映画の世界では、Shoot for editなどといいます)

2キャメ撮影とはいえ、
ひとつは手元、
ひとつは打っている画面なので、
「画面をどう撮るか」という問題があります。
画面録画にはWindows10標準のゲームバー
(AltGで起動)があるので、
これを使うのが楽です。

問題は、変換候補窓が録画できないこと。
これを諦めればゲームバーでも良いと思います。
変換候補窓や候補選択の様子まで収録したい場合は、
別途画面録画ツールのインストールや操作が必要です。
(Macならグラブで一発なのに、Windowsはろくなものがない)

またノートやタブレットだと、
画面収録ソフトは重くて、
飛び飛びにしか撮れてない可能性があるので、
これもテストしてください。
(SurfaceでBandicam録画をしたところ、
FPSのコマ落ちがひどくて、
打鍵の快速感を伝えるには不十分でした。
相応のスペックのPCか、軽いゲームバーか、
という二択になるでしょう)


画面録画時は、内蔵マイクをオンにして、
打鍵音を拾ってください。
あとあとの編集で、
「二つの動画の時間をシンクロさせる」
材料になるからです。

マルチカメラで撮影するときは、
それぞれの素材が一体何時何分何秒のものか、
全く分からなくなってしまいます。
時刻で同期を取るのもいいですけど、
動画は1秒30コマもあるので、
秒間数打鍵する打鍵動画では、
ズレは1コマあっても違和感があります。

なので、複数の画面をビタで合わせる方法が必要です。
で、同時刻の基準に、
キーの打鍵音を使うのです。

また、カメラが動画撮影をスタートしたら、
一回大きく柏手を打つと良いです。
その「パン」の音を基準に、
複数のカメラ素材をシンクロさせられます。

映画のカチンコの音は、
熟練した助監督が打てば1/30秒以内のパルス信号になっていて、
これで絵と音(撮影部と録音部が別々に収録している)
をシンクロさせています。

カチンコがあれば最高ですが、
ほとんどのご家庭には常備されてないので、
小さなホワイトボードや手帳に、
「文章例2、テイク2」などと書いて、手元撮影カメラに見せ、
それを声で言って、画面収録にも入れて、
それから柏手を打つと、
編集の時に、
「どれの何?」と混乱しなくて済みます。

映画業界にはこれをやってくれるスクリプターがいますが、
今回はいないので、自分で記録を取ることになります。
ノートを用意して、
「文章1、テイク3、冒頭に緊張あり、BSしすぎ」
などとメモを取って置くと、
後日の編集する私が、
現場の空気を思い出す役に立ちます。

勿論撮影後即編集というスケジュールも可能ですが、
大抵は一回寝るので、
忘れてしまうんですよね。



さて、テスト撮影はOK?
二画面合成も出来た?
(「画面の上に画面を重ねる (編集ソフト名)」
などでググるとやり方が出てくることが多いよ!)

二つの素材のシンクロは出来て、
何10もの素材をファイルナンバー以外に区別できるような、
「どの文章のテイクいくつか」が把握できる仕組みもある?

ここまで準備して、撮影です。


【撮影】

カメラは何にしましょうか。
一眼のいいやつ?
webカメラ?
僕はもうiPhoneでいいや。
電話なので、わりとマイクもいいしね。

気をつけるのはバッテリー。
フル充電と予備バッテリーも用意。
撮影中断して充電、の憂き目に合わないように。

30分長回しでどれくらいメモリとバッテリーを食うかのテストも是非。


良さげなシチュエーションを用意しましょう。
木の大きなテーブルが最近の流行りかな。
その配列の雰囲気、やさしさとか暖かさが表現できるからかしら。
天気がいいときは窓際の光を受けてもいいです。
曇りなら撮影中止もありだぜ。

小さめの三脚ふたつをキーボードの脇に置き、
棒か板を渡して固定、
そこにカメラを固定します。
棒は金属棒のほうが振動を拾わなくてベストですが、
そんなものはご家庭に転がっていないでしょう。
(映像制作会社にはよくあります)
ホームセンターなどで適当なサイズの板を買い、
三脚の上に渡すのがよいですね。

固定は養生テープ(引越しなどに使うやつ)
が、あとあと剥がせるので楽です。
ガムテだとベタベタになっちゃう。

カメラの固定ですが、
操作する部分を養生テープで覆わないように注意。
(僕一回バッテリー交換があり、
そこをぐるぐる巻きにしてたことあります…)

iPhoneの場合、ガラスでツルツルですぐ滑るので、
輪ゴムを巻くと摩擦で滑りにくくなります。
iPhone撮影での固定のTIPS。
板にしたのは、iPhoneが乗りやすいから。
(一眼レフだと重いので鉄パイプ2本が妥当かな)

カメラセットして、
(上の例は俯瞰ですが、
斜め水平から撮るやり方もあるでしょう)
画面収録準備が出来たら、
ようやく打鍵です。

これが緊張するんだよなあ。
何回かやって慣れてください。
「いつもの70%出ればよしとする」
を推奨です。

あるいは、その体勢のまま(カメラを回さず)
普段の打鍵をしてみたほうがよいです。
カメラという物理がある体勢での打鍵に、
まず慣れていないので。

15分とか30分とか打ってみると、
カメラを意識しない、
文字に集中できるような感覚になってきます。

その時にようやくスタート。

ホワイトボード準備、
カメラスタート、画面収録スタート、柏手。
ホワイトボードのける。

で、打つ。

終わったら、
カメラストップ、画面収録ストップ、
スクリプトのメモ。
(PC上でなく物理が速いです。編集作業時も参照しやすい)


これを繰り返します。
何かを忘れてると、編集時に苦労します。
思った感じが出ていれば、終了。


ちなみに「撮影された動画」全てに言えることですが、
「思った感じが思ったほど出ない」ものです。
自分はもっと速く打ってたはずだが、
などと思うものです。
人間の印象って、そんなもんなんですよね。
一部分を切り取って強烈に記憶する性質があります。



【編集】

まず2キャメ素材のシンクロを取ります。

NGで捨てる奴は最初に捨てましょう。

タイムラインに素材を並べ、
柏手の絵と音で合わせればOK。

エフェクトを適当にかけ(編集ソフトによります)
マルチ画面をつくり、
両者の素材がシンクロしていることを確認します。
内蔵マイクは音が悪いことが多いので、
シンクロを確認できたらオフにしてしまいましょう。

打鍵音はとても小さいことが多いので
(静音キーボードならとくにね)、
ゲインを上げて大きめに出力します。
あとあと音楽を重ねた時用です。
一回ゲインを上げとけば、あとで下げるのは容易です。


で、プリロールとアウトロール
(打鍵動作前にカメラが回ってる部分と、
打鍵動作が終わってカメラが切られるまでの部分)
の無駄をカットし、
必要な部分だけを並べ、
音を調整。

解説字幕が必要ならそれも載せ、
音楽が欲しければ載せましょう。
(YouTubeは音楽規制が厳しいので、
フリー音源をYouTube内で検索して、
いい感じのを選曲しましょう)
面倒なら音楽なしもひとつの選択肢。
ソリッドな打鍵動画なら音楽なしでも情報量はあります。


また、長い打鍵の中で、
「ここは見せたい」という一瞬のきらめきがあると思います。
そこは是非短めにコピーして、
ダイジェストを別に作ることをお勧めします。
その配列、その打鍵のハイライトは、
誰もが見たいものでしょう。


何度も見直して、
納得がいったら完成。
納得がいかないなら、再撮影という手もありますよ。

完成したら.mp4かh264に書き出して、
YouTubeにアップするのみ!


ちなみに僕の作ったものは、
カタナ式動画、薙刀式動画があるのでおヒマな時にどうぞ。
一応プロなのでこれくらいはお茶の子です。
(一番の問題は打鍵の緊張を突破することだったなあ)
posted by おおおかとしひこ at 12:31| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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