2018年08月13日

結果ではなく、原因を与える

彼女が微笑んだ。

この表情一つで、
「主人公に惚れた」ということを表現しようと思うから間違う。

結果で表現するな。
原因を与えるのだ。



表現の下手な人は、
結果だけをもって表現してしまう。

彼女の表情で、惚れたを表現する。
美味そうな顔で、料理のおいしさを表現。
彼の顔で、怒りを表現。

これは結果だ。
原因をまず描け。


命を助けて彼女を守った。
次の日、日常の場で再会。

オホーツクで獲れたホタテの出汁が効いている。

彼が嫌だということを先週からしている。


こういう原因があれば、

どんな笑顔であろうと好感を示せる。
どんな笑顔であろうと旨さを示せる。
どんな不快な表情だろうと怒りを示せる。


結果のみで原因を示すことは100%できない。
芝居は表情で決まるとか思ってるのは、
芝居をするのも見るのも素人だ。

表情はリアクションに過ぎない。
アクション-リアクションの関係が、
文脈というもので、
流れで、
線である。

どんなリアクションだとしても、
「あんなことがあったあとでは、
そりゃそうだろ」
と思わせれば勝ちだ。

つまり、
表情のリアリティや誇張の良さでは、
勝負は全く決まらない。
(漫画だと絵が上手いとか、
小説だと文章がいいとかあるけど)

勝負はそれ以前についていて、
アクションの前振りと、
アクション-リアクションの関係なのだ。


もしあなたが、
「この表情で勝負が決まる」
と考えているなら、
それはもう勝負に負けている。


そういう、キモになるリアクションというのは、
つまりはガワなのだね。

ガワに対する中身とは、
コンテキストということだ。



あなたはコンテキストを作り、
次へ繋ぐ。そしてリアクションを起こし、
次へ繋ぐ。

それがストーリーテリングで、
表情やリアクションは、
絵描きの仕事である。
posted by おおおかとしひこ at 16:17| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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