彼女が微笑んだ。
この表情一つで、
「主人公に惚れた」ということを表現しようと思うから間違う。
結果で表現するな。
原因を与えるのだ。
表現の下手な人は、
結果だけをもって表現してしまう。
彼女の表情で、惚れたを表現する。
美味そうな顔で、料理のおいしさを表現。
彼の顔で、怒りを表現。
これは結果だ。
原因をまず描け。
命を助けて彼女を守った。
次の日、日常の場で再会。
オホーツクで獲れたホタテの出汁が効いている。
彼が嫌だということを先週からしている。
こういう原因があれば、
どんな笑顔であろうと好感を示せる。
どんな笑顔であろうと旨さを示せる。
どんな不快な表情だろうと怒りを示せる。
結果のみで原因を示すことは100%できない。
芝居は表情で決まるとか思ってるのは、
芝居をするのも見るのも素人だ。
表情はリアクションに過ぎない。
アクション-リアクションの関係が、
文脈というもので、
流れで、
線である。
どんなリアクションだとしても、
「あんなことがあったあとでは、
そりゃそうだろ」
と思わせれば勝ちだ。
つまり、
表情のリアリティや誇張の良さでは、
勝負は全く決まらない。
(漫画だと絵が上手いとか、
小説だと文章がいいとかあるけど)
勝負はそれ以前についていて、
アクションの前振りと、
アクション-リアクションの関係なのだ。
もしあなたが、
「この表情で勝負が決まる」
と考えているなら、
それはもう勝負に負けている。
そういう、キモになるリアクションというのは、
つまりはガワなのだね。
ガワに対する中身とは、
コンテキストということだ。
あなたはコンテキストを作り、
次へ繋ぐ。そしてリアクションを起こし、
次へ繋ぐ。
それがストーリーテリングで、
表情やリアクションは、
絵描きの仕事である。
2018年08月13日
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