配列調整したことのある人しか分からないかも知れないけれど、
「ずっと居場所が定まらない音」ってのがある。
重要な音は決まる。
作者が大事だと思う背骨を先に決めて、
この方向性で走ろうと思うからね。
それを一個動かしたらそれ以降にやった全てのことがご破算になるから、
ここを決めたら動かさないのは、
ものづくりの鉄則だろう。
だけど問題なのは重要でない音。
出現率が低い、
連接も目立ったものがない、
そういうやつ。
薙刀式でいうと、「ね」だ。
「ぬ」は最もマイナーな清音だが、
最もマイナー、という立ち位置が明確だから、
B裏に早々に決定して、
そこから一回も動いていない。
(「ぬま」とか打ちにくいんだけど、
そこまで出てくる言葉でもないし)
エ段そのものがマイナーなのは、
ローマ字でEが一番出ない母音であることからも分かる。
「ね」の連接で考えるのは、
「ねつ」「ねた」「ねる」「ねて」「ねえ」
「よね」「だね」「かね」「すね」「しね」
あたりかなあ。
そんなに強い結びつきでないものばかりだねえ。
だから、「ね」は、
たいてい他の音を調整した時の、
「あまり場所」になることが多い。
これまでずっと左手側だったくせに、
左手の負担軽減という最近の傾向により、
前バージョンでは右手側にしたりした。
しかもP裏という、何指で打つべきか分からないところ。
(僕は薬指推奨)。
作者にとっては、
こういう厄介な音だからしょうがない、
と分かっている音でも、
使用者にとってはその意図はまず伝わらない。
配列図を見ても、
それを読解できるのは恐らく後半に至ってだろう。
新下駄配列で、
暗黒大陸に苦労している。
マイナーな濁音の何が何か区別がまだつかない。
で、
これらは薙刀式にとっての「ね」かもなあ、
なんて思った次第。
薙刀式では、「ね」よりもメジャーな音で、
「ろ」「せ」「け」「ひ」「ほ」「む」「め」
あたりの場所が定まらず、
ずっと調整を繰り返している。
「は」「を」「き」「み」あたりが定まらず、
それの影響も受けている。
そうなると「ね」なんかは吹けば飛ぶ音で、
余った席につく、
みたいな感じ。
他の配列の制作記なんかを見てると、
「え」「や」「ゆ」なんかもさまよえる音になりがちで、
これらは調整役みたいなことになっている。
薙刀式では幸い、
拗音同時押し、外来音同時押しのために、
8母音の位置は動かさずに済んでいる。
つまり、
作者の考えが読めた時に、
その配列の使い方を「理解」し、
忘れないんじゃないかなあ、
なんて考えている。
この道具はこう考えられていて、
こう使う想定か、と道具から学ぶ感じ。
新下駄配列を触ることで、
全く違う考え方に触れられて好奇心を刺激されている。
しばらくは苦労の連続だろうけれど、
その意図を見出せると楽しくなる。
で、最終的には、
「その指さばきは分かるけど、
自分の言葉ではそうはならないなあ」
ってなるのは目に見えているので(笑)、
元に戻っては来るんだろうけど。
でも、配列のあり方、考え方はたくさんある、
ということを学ぶのに他の配列を触るのはおススメです。
話を元に戻すと、
さまよえる音は、
不定形である言葉を、
10×3の規則正しい空間に並べようとする歪みから生じるのかも知れないね。
多くはうまく並べられても、
微妙に例外が出るみたいな。
配列作者はその最高解を求める求道者なのかね。
「最強の格闘技は何か?」
に似ているかもなあ。
だから面白いんだね。
あるいは、
「規則正しい配列に並べない」という解は、
自作キーボードによって実現するかも知れない。
各キーが同じ大きさである必要はないし、
レイアウトが幾何学的である必要もないし、
各キーが別の向きでも高さでもいいはずだ。
普及という点ではどうかと思うが、
自分用の万年筆と考えればアリかもしれないね。
「ね」はさまよう。
いっとき「/」裏にしたことがあった。
たかが0.4%の出現率追加のくせに、
右小指に痛みが出たので戻した。
運指的には良かったのだが、
頻度的に問題がある、
ということもある。
(左手だと、QAZWSXCの裏をさまよった経歴あり)
最近思うのは、
「配列図でキーが余ってるからって、
貧乏性のようにそこに音を埋めなくてもいいんじゃない?」
ってこと。
押しにくいキーは使わない、
という勇気も必要かもしれない。
そのかわり押しやすいキーでのシフト機構を増やせばいいのでは?
などとも考える。
「使い続ける」のはどっちが楽か、ということだと思う。
今編集モードを2面に増やしていて、
「全部を埋めず、使いやすいキーだけを使う」
なんてことをやっている。
他はほぼほぼフィックスしてきたので、
v9へのバージョンアップが見えてきた。
一日一万字目標は、
配列が練れてきたのか、
僕の手が鍛えられてきたのか、
楽になりつつある。
毎日だとまだしんどいけど。
(そんなに書くこともないから助かってるだけ)
qwertyローマ字時代に、一日一万字なんて考えられなかった。
生産性爆上げなのは間違いない。
2018年08月14日
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