2018年08月22日

ありそうな嘘

「奈良の子は10歳の誕生日になると、
鹿を絞め殺さなければならない。
その儀式がいまだに残っているところがある」
と咄嗟に嘘をついたら、
北海道出身の人は一瞬信じた。

この隙をついて、
もっともらしいディテールをその場で思いつき、
重ねていく。


「古い家なら床の間に、大体鹿の角の上に日本刀が飾ってあって、
それは代々の儀式の鹿の角」
「吉野杉は遺伝子が特殊なため、花粉症にはならない」
「それゆえ、東京の人が吉野に引っ越してくると、
花粉症が治ることがある」
「親不知を抜いたあとは、持ち帰って家で砕く習慣がある」

などなどなど。

関西人が真顔で「そういうところがまだあるんや」なんて言うと、
純朴な北海道人は信じてしまう。
その前に北海道にはない、
在日の話とかしてたのが効いてたかも。


ああおもろかった。

これが僕らのおしごとです。


本当にありそうなギリギリの嘘をつく。
一個で弱いなら、多角度から抑えていく。

畳み掛けて、そういう世界なんだとしてしまって、
だとするとこうなんだよ、
とどんどん演繹していく。
こうなっているのには訳があってね、
とリンクさせて行く。

そのうち「ほんとうにそうかも」
と一種の回転が起こり始める。

これが僕らのおしごとです。



当の北海道人はしばらくポカンとしていた。
関西人二人いると調子に乗るわ。



ケンミンショーで見るように、
各県には嘘のような本当の話が沢山ある。
(たとえば、長野で蜂の子を食べるって知らない人も沢山いる。
蝉の幼虫を中国人は食べるそうだ。
川口市の公園で「食用の蝉の幼虫採取禁止」
の札が出て話題になった)

たとえばどういうそんな感じの嘘をつく?
適当に県を選び、練習してみよう。
posted by おおおかとしひこ at 01:42| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。