「奈良の子は10歳の誕生日になると、
鹿を絞め殺さなければならない。
その儀式がいまだに残っているところがある」
と咄嗟に嘘をついたら、
北海道出身の人は一瞬信じた。
この隙をついて、
もっともらしいディテールをその場で思いつき、
重ねていく。
「古い家なら床の間に、大体鹿の角の上に日本刀が飾ってあって、
それは代々の儀式の鹿の角」
「吉野杉は遺伝子が特殊なため、花粉症にはならない」
「それゆえ、東京の人が吉野に引っ越してくると、
花粉症が治ることがある」
「親不知を抜いたあとは、持ち帰って家で砕く習慣がある」
などなどなど。
関西人が真顔で「そういうところがまだあるんや」なんて言うと、
純朴な北海道人は信じてしまう。
その前に北海道にはない、
在日の話とかしてたのが効いてたかも。
ああおもろかった。
これが僕らのおしごとです。
本当にありそうなギリギリの嘘をつく。
一個で弱いなら、多角度から抑えていく。
畳み掛けて、そういう世界なんだとしてしまって、
だとするとこうなんだよ、
とどんどん演繹していく。
こうなっているのには訳があってね、
とリンクさせて行く。
そのうち「ほんとうにそうかも」
と一種の回転が起こり始める。
これが僕らのおしごとです。
当の北海道人はしばらくポカンとしていた。
関西人二人いると調子に乗るわ。
ケンミンショーで見るように、
各県には嘘のような本当の話が沢山ある。
(たとえば、長野で蜂の子を食べるって知らない人も沢山いる。
蝉の幼虫を中国人は食べるそうだ。
川口市の公園で「食用の蝉の幼虫採取禁止」
の札が出て話題になった)
たとえばどういうそんな感じの嘘をつく?
適当に県を選び、練習してみよう。
2018年08月22日
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