2018年08月23日

みっともない場面をつくる

主人公がずっとカッコいいと思ってるのは素人だ。

主人公ほど、カッコ悪くてみっともない場面をつくれ。
人間は完璧ではない、
しかし人間は完璧なゴールへたどり着ける、
を描くためだ。


完璧な人は魅力がない。
なんでだろ。
強烈な欠点は、強烈な長所とペアだからかもしれない。

欠点だけしかない人も、
完璧な人と同様にどこにもいないのかもしれない。

すごくいいのに、
一点だけ残念な点がある、
という人が魅力があるのか、
欠点がいくつもあって、
長所もいくつもある、
という人が魅力的なのかはなんともいえない。

そのキャラクター次第かも。


人は自分より劣るところを見ると安心する。
全部自分よりスペックが上だと嫉妬する。

欠点があることで引き摺り下ろされて、
庶民的になることで人気を得ることもある。


みっともない場面をつくれ。

恥じ入り、もう消えたいと思う場面だ。
そしてそこから逃げられない箱庭をつくれ。
その人はそれを挽回しようとして必死になるだろう。

それは強烈な動機になるし、
説得力のある動機になるし、
似たような経験をしている人は感情移入の起点になるし、
欠点と長所を示す場面も作れる。

美味しいところだらけではないか。


カッコつけようとしてるから、うまくいかない。
あるいは失敗を恐れてなにもしない若者みたいになって、
ストーリーが進まなくなってしまう。

失敗もストーリーで、挽回もストーリーだ。
むしろ大逆転こそがストーリーなのだから、
失敗と挽回はペアである。

失敗しない人がかっこいいんじゃない。
失敗をそれ以上の成功で挽回するやつがかっこいいんだよ。


出来るだけみじめな失敗をさせよう。
人生オワターな感じのやつがいい。

リアルな人生はそれで終わるのかもしれないが、
ストーリーはそこがはじまりで、
完璧なラストに至って終わりである。


主人公がみっともない場面にならないのは、
そのストーリーはまだ始まっていないのかもしれないよ。
posted by おおおかとしひこ at 10:11| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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