2018年08月24日

船の舳先

ストーリーを書いているとき、
船の舳先にいるか?
それを意識しよう。


船の舳先は、
海を割って前に進む。
抵抗が強いので、それに逆らって海を割らなければいけない。

当たり前だがここにいることはしんどい。
だから楽な方向に逃げてしまうときがある。

ご都合の展開、
つまり向こうから幸運や都合が降ってくるとか、
迎えに来てくれるとかだ。
メアリースーはその典型だ。

主人公じゃなくて、別のキャラクターが舳先にいることもある。
主人公に舳先にいさせ続けることが辛いからで、
その人に代わって欲しくなったからだろう。

多少はいいと思う。
集団劇とはそういうもので、
代わりばんこに矢面に立ってもいい。

しかし舳先に立つのが辛いという理由で、
主人公を船の後方に位置させて、
顎で指示したりリアクションをするだけになったり、
眠らせてはいけない。

それはあなたが舳先から逃げている。
波風が怖いだけだ。



ストーリーを書くこととは、
舳先を書き続けることだと僕は思う。

ときに人生そのものより辛い。

舳先にい続けることはエネルギーが必要で、
上下左右に振られ続け、
ずっと警告ランプが出たまま前に進むことだ。
時には船が難破するかもしれないが、
その時は船を作り直したり小さな船に乗り換えてでも、
目的地に向かって波を切り続けなければならない。

これはとてもしんどい。

だが、だから物語は価値がある。

いかなる冒険をしたのか、
いかなるモチベーションがあったのか、
いかなる意味があったのか、
その価値が輝きを持つ。


さあ、今日も航海の続きをしよう。

燃料が足りないなら補給すれば良い。
どんな波風だ。
よく見ろ。
切り裂いて前に進め。
簡単な波はない。
いつもギリギリだ。

舳先に立ち続けろ。

座っていいのは、目的地について船を降りた時だけだ。
posted by おおおかとしひこ at 14:28| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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