新しいキャラが登場するとき、何をしている途中?
まさか赤ん坊ではない限り、
「何もしていない」ということはない。
既に何かの途中に主人公に出会う。
つまり、彼または彼女には目的があり、
すでに行動を開始している状態であり、
その道すがら主人公と、偶然または必然的に出会っただけの事である。
他人の人生の途中、主人公の人生とクロスしただけのことだ。
主人公の人生ばかり考えていると、ここに想像が及ばない。
主人公のストーリーに都合のいい人だけを考えてしまい、
新キャラが道具のひとつに成り下がってしまう。
だからいうことを聞くだけの駒になってしまう。
それは、人間を描いていない。
どうしたら人間になるのか。
「その人にはその人の都合や別の目的がある」
ということにすればよいだけの話だ。
つまりコンフリクトだ。
主人公は東京へヒッチハイクしたいが、
止まってくれたトラック運転手は東京へ都合よく向かってくれない。
新潟ゆきだったりする。
主人公はヒロインキャラに恋をする。
しかし彼女は別の人が気になっている。
ピンチの状態に助っ人が来た。
しかし彼の要求はこちらの限度額を超えていた。
何故なら彼の動機は借金返済だからだ。
もし思いつかなくても、
なんでもいいから適当に付与しておこう。
そのキャラクターが自分の都合と合わないときに、
文句を言い始めるだろう。
そのときに、両者がどう合意するか、決裂するかが、ドラマを生む。
そもそも偶然出会うなら、どういう目的の途中かを考えやすい。
必然に出会うなら、
どちらかがどちらかに会いに行ったわけだが、
会いに行く方の目的は明確にしていても、
会いに来られる方の目的が明確にないと、
「ただの聞き役」になってしまい、
「目的や都合を持っている生きた人間」にはならないだろう。
だからたいていの人間は、
「なんで今頼むんだよ。ちょうど忙しい最中なんだ」
って言うはずだ。
「待っていたよ。君の望みを今すぐかなえよう」
なんていうのは、
ご都合か、利用しようとしているときだけだ。
たいていの人間(とくに物語の人間)は、
「今していること」があるのだ。
その人は、なにの途中でここに登場したのか?
すぐ答えられるなら、明確なコンフリクトがこのあとにやってきて、
ドラマが作れる。
なにも作っていないのはやばい。
突っ立っている棒の、ご都合キャラになる。
サービス業のサービスを受けに行くシーン、
たとえば床屋で髪を切る、性的サービスに行く、飯を食いに行く、
などだったとしても、
床屋はいま別の目的を持ちながら髪を切っているし、
風俗嬢は別の目的を持ちながらサービスしてくれるし、
ウェイトレスや食堂のおじちゃんは、
別の目的の最中に仕事をしているだけだ。
その人の仕事と別の目的があるから、
その人はその仕事をしている。
それが人生だろう。
仕事が目的になっているわけではないからね。
趣味を同じくしている人の集まりでもそうだろう。
背景や仕事など、文脈がバラバラだけど、
その集いに来たはずだ。
あるいはトーナメント参加者が全員同じ文脈で参加しているわけがない。
それぞれにはそれぞれの理由があって、
そこに集っている。
それが面白いように書くのが、面白いトーナメント場面というものだ。
思惑や目的の差異から生まれるのがドラマである。
それがないなんてありえないのだが、
新キャラを出したときに、
それを考えてすらいないことが、
稀によくあるものだ。
新キャラが登場した時、
なにの途中?
なにかの途中にここに出現した、
と考えて設定しておくと、
人生の合流地点が描きやすい。
2018年08月29日
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