2018年09月11日

面白い事と人気がある事は違う

面白くて人気があるのがベストだ。
しかしそれは必ずしも一致しない。


無名の者が最初面白くて人気になり、
詰まらなくなるが人気は継続し、
次の無名の者が面白さにおいて凌駕したら、
次の人気者の誕生となる。

そのループにおいて、
今は、
「人気だが面白くない。
次の面白いやつが出てこない。
だから静かに死んでいく」
というジレンマにはまっている状態である。


面白いやつが、いなくなったわけではないと思う。
それを、俎上にあげることをしなくなったと思う。

今ある人気者で回すことばかり考えて、
次の面白さを開発しなかったツケが、
回ってきているのが今だと思う。

それは、大きく言うと、
投資の問題だと最近は思うようになった。


本来投資はギャンブルだ。
明日雨が降るかは誰にも分からない。
しかし日本の投資は、
「確実に儲かるものにベットする」
方針が多いように思う。

「株始めたんですよ」
「儲かる?」

というよくある会話は、
株は確実に儲かるかどうかを尋ねているわけで、
「余剰の金をどぶに捨てるつもりで、
まだ無名の面白いやつが世に出ることを後押しし、
当たればラッキー、当たらなくても次」
ということを意味していない。
むしろ、「確実に儲けたい」を意味している。
確実に儲けたいなら、額に汗しろや。


映画は大金の運用で、
それが個人や会社の金なら問題ないのだが、
銀行から借りるから問題なのである。

銀行から借りるときに、
「全額失うこともあります」
と言ったら貸してくれないから、
「これこれこうなって儲かります」
という客観的な証拠を出さなければいけないわけで、
それが「数字を持っている芸能人」と、
「何万部売れた原作」しかないから、
「人気芸能人が原作を実写化する」ビジネスしかなくなってしまったのだ。

つまり、おおざっぱに言うと、銀行が悪い。

あるいは、そういうメソッドしかない銀行なる投資組織に、
金を借りて作る奴が悪い。




僕らは面白いものをつくりたい。
そして人気になりたい。

人気になって、面白くないものは嫌だ。

面白いが人気のないのも嫌だ。

面白くなくて人気もないなら死ねばいい。


たったそれだけなのに、
いま、面白いものはつくれなくなっている。
なんとつまらない時代だ。

面白いものは、金をかけずにつくらないといけない。
ユーチューバーの台頭は、
ざっくりいうと、銀行の貸付が悪いからである。


僕は経営のことが良く分っていない。
銀行に金を借りずに映画をつくって、
ヒットさせて、回していくことはできないのだろうか?

今どのプロデューサーに訊いても、
「それは資金を回収できるの?」
という。
それは銀行からの問いを、こっちに丸投げしてるだけだよな。

面白いからつくろうぜ、回収はなんとかなるよ、
というプロデューサーがいない限り、
映画文化は花開かない。

景気は多分回復しない。
起爆剤としての東京オリンピックは、
むしろ経済を圧迫しているだろう。
現場がまったく潤わず、上級国民だけが儲かるシステムにどうやらなっている。

金の回収ってどういうことだろうか。

面白いからみんなが金を払う、
ということになっていないから、
話がシンプルじゃないんだね。
人気者なら金を払う、
になっているから、問題なんだよね。

人気者には金が払われる。
面白いものは漫画村みたいにタダで。

そう考える大衆のせいで、
結果次の面白いやつは出てこれなくなっている。


この負のループを突破するには、
「次の面白いやつに、人気者を呼んできて噛み合わせる」
という商売をしなければならない。
それをすることがプロデューサーの仕事で、
つまりはそれをやれる人がいないということだ。

面白いものかどうかの目利きがない。
あるいは、面白いものをつくったのに人気になれなかった過去が、
未来をびびらせている。


僕は、面白いものの作り方は知っている。
あとは金のことや、人気者をどうやって呼んでくるかが分からないだけだ。

ということで、今こつこつやっていて、
早ければこの冬にでも動きがあることをやっている。
うまくいかなければ、来年はこつこつ小さい仕事でつなぐだろう。


プロデューサーが足りない。
どこにいるんだ?


銀行は、人気者を欲しがる。
大衆は、面白いものと人気者を欲しがる。
脚本は、面白いものを提供すべきで、
プロデューサーは、それらをまとめるべきだ。

シンプルに考えよう。
面白いことを書け。
posted by おおおかとしひこ at 15:11| Comment(5) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大岡さん
いつも楽しく拝見しております。

クラウドファンディングで成功した『この世界の片隅に』の方法は、いかがでしょうか。

「これは絶対に面白い」と思う者が作品を作ります。「確かに面白そうだ」と思う者が、銀行にかわって資金を提供します。「本当だ、面白そうだ」と思う人が映画館に足を運んで料金を支払ってくれます。

今後の映画制作の指針にはならないでしょうか。
Posted by 虎次郎 at 2018年09月20日 19:01
虎次郎さんコメントありがとうございます。

クラウドファンディング自体は、
金策に色々走ったが、集まらないので、
最後の手段(これで達成しなかったら解散)、
くらいのニュアンスでプロの世界では捉えられてますね。
クラウドファンディングに参加する人よりも、
映画の想定観客のほうが、桁が違う多さだからです。
1万人が参加したってだめです。
興行ってのは10万人単位の観客が必要で、
それってベストセラー並が最低ラインなのです。
なんせ制作費の3倍回収してトントンですから。
(この興行システムもなんだかなあとは思います)

あと、残念ながらそこまでお金を出すのは、
「内容のファン」ではなく、
「誰かのファン」のことが多いです。
コアなリテラシーの高い人だけでなく、
多くの浮動層を取らないと映画ビジネスは成り立たなかったりする。

もっと個人の範囲ならば、
(最近だと「かえうち」のようなニッチ商品)
クラウドファンディングもいいでしょうけどね。
演劇なんかはそれがギリギリ回転している感じですね。

とりあえず30億集めないとなあ…宝くじでも足りない。
(制作費10億PA20億)
Posted by おおおかとしひこ at 2018年09月20日 22:45
大岡さん

映画は、お金がかかりますね(苦笑)。

とても、よく分かりました。
ありがとうございました。

私は、ハリウッド並の制作費100億円ぐらいで、大岡さんに超大作を制作してもらいたくて、うずうずしてます。
どんな映画を制作されるのか、観てみたくてたまりません。

きっと、多くの人にとって「人生を変えた一作」になると思います。

観たい。本当に観たいです。
Posted by 虎次郎 at 2018年09月21日 14:12
ハリウッドも中国マネーに頼りだし、
曲がり角に来ているような来ていないような。
作品を作ることと作品で商売をすることが、
どんどん乖離しているような気はします。

最近執心のキーボード関係でいうと、
「かえうち」は非常に優れたクラウドファンディング製品で、
何かの賞を取ってもいい出来だと思うのですが、
クラウドファンディングでスペックを数字で公開できるのが、
物理製品の強みだと思います。
「270感動し、520人生を変える」などのようにプレゼン出来ないのが、
クリエイティブなものの欠点であり美点でもあるという。
Posted by おおおかとしひこ at 2018年09月21日 15:06
大岡さん

ありがとうございました!

これからも、楽しく拝見させて頂きます。
Posted by 虎次郎 at 2018年09月21日 16:12
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