登場した時に、何もしていないということはない。
全ての人は、登場している時に何かの途中だ。
で、それをその後にうまく使えるようにするのだ。
登場したときに自転車に乗っている人は、
その自転車を主人公が奪うとか、
その自転車に二人乗りになるかになる。
登場したときに本を読んでいる人は、
そのえらい言葉をあとで引用するとか、
ちょっと前に読んだところにヒントがあったぞってなる。
あるいはその本が水で台無しになるとか、
その本の角で殴るとか、
必ずそれは使われる。
登場したときに葬式にいく途中の人は、
葬式に間に合わなかったことで、
何か別のドラマが起こる。
つまり、
その後に起こることありきで、
登場時にしていることを考えると良い。
それがあからさまだと、
「迎えに行っている」とバレることになるから、
適度な距離を離した方がいいのは当然だ。
仮にあとで起こることが思いついていないときでも、
「今の文脈と全然違うことの途中」を伴って、
登場させると良い。
それを利用して次のことを思いつけるからだ。
継ぎ足しに見えないようにするには、
伏線を利用する。
登場時にあったことを少しあとで使うと、
スムーズにいくだろう。
逆にそれを使う段になって、
自転車じゃなくバイクがいいなとなったら、
登場時をその場で書き換えてしまえばよいのだ。
落ちが思いつかないなら、
最初の方のシーンに答えがある。
主人公は何をしている最中にストーリーが始まったのか?
それと関係することを落ちに持ってくると、
うまいこといくことがとても多い。
他の登場人物も同じで、
主人公が自転車を奪いやすいように自転車で登場して、
リアクションとしてその人物は、
通りがかった出前蕎麦の自転車を奪い、
チェイスが始まるとよい。
で、そのチェイスが終わったら二人でその蕎麦を食べれば良いのだ。
あとで利用するべきものを前振るのは、
ストーリーテリングの基本だ。
あるいは、前にあるものを利用して落ちを作る。
そのループで話は前に進む。
初登場を工夫するのは、その為だ。
キャラクターの第一印象を強めるだけではないのだ。
2018年09月12日
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