2018年09月12日

既に何かはじまっている

登場した時に、何もしていないということはない。
全ての人は、登場している時に何かの途中だ。

で、それをその後にうまく使えるようにするのだ。


登場したときに自転車に乗っている人は、
その自転車を主人公が奪うとか、
その自転車に二人乗りになるかになる。

登場したときに本を読んでいる人は、
そのえらい言葉をあとで引用するとか、
ちょっと前に読んだところにヒントがあったぞってなる。
あるいはその本が水で台無しになるとか、
その本の角で殴るとか、
必ずそれは使われる。

登場したときに葬式にいく途中の人は、
葬式に間に合わなかったことで、
何か別のドラマが起こる。

つまり、
その後に起こることありきで、
登場時にしていることを考えると良い。

それがあからさまだと、
「迎えに行っている」とバレることになるから、
適度な距離を離した方がいいのは当然だ。


仮にあとで起こることが思いついていないときでも、
「今の文脈と全然違うことの途中」を伴って、
登場させると良い。
それを利用して次のことを思いつけるからだ。
継ぎ足しに見えないようにするには、
伏線を利用する。
登場時にあったことを少しあとで使うと、
スムーズにいくだろう。

逆にそれを使う段になって、
自転車じゃなくバイクがいいなとなったら、
登場時をその場で書き換えてしまえばよいのだ。

落ちが思いつかないなら、
最初の方のシーンに答えがある。

主人公は何をしている最中にストーリーが始まったのか?

それと関係することを落ちに持ってくると、
うまいこといくことがとても多い。

他の登場人物も同じで、
主人公が自転車を奪いやすいように自転車で登場して、
リアクションとしてその人物は、
通りがかった出前蕎麦の自転車を奪い、
チェイスが始まるとよい。
で、そのチェイスが終わったら二人でその蕎麦を食べれば良いのだ。


あとで利用するべきものを前振るのは、
ストーリーテリングの基本だ。
あるいは、前にあるものを利用して落ちを作る。

そのループで話は前に進む。


初登場を工夫するのは、その為だ。
キャラクターの第一印象を強めるだけではないのだ。
posted by おおおかとしひこ at 14:53| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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