2018年09月23日

途中で挫折するのは、ストーリーの勢いがなくなっているからだ

今書いている自主小説は、ミッドポイント手前で立ち止まったままだ。
どうにもここから上手く書けそうにないなあ、なんて足踏みしていて、
これが続くとエタる(挫折)んだろうなあ、
なんて思っている。

何が問題か最初から見ていくと、
どんどん勢いが落ちてきていることに気づく。


勢いというのはなんだろうか。
ストーリーはどうやって前進する勢いを得るのだろうか。

ひとつには、主人公たちの動機の強さがある。
あと危険がある。
後ろから追い立てられ、前に進みたいという意志があるとき、
人は前に進むと言える。

で、それだけでは足りないときに、
前に進む理由を、
「敵をより許せなくする」
というやり方がある。

前に進む者を妨害する者を敵ということにしよう。

前に進むのは、
ただの主人公側の個人的都合だけであるとき、
ストーリーの前進力は低いと思う。
勝手にやってろや感が出てくる。

感情移入をしていればまだましだけど、
感情移入をしていたとしても、
「この人たちが勝手にやっているだけの、惰性」
としてストーリーを追うことになってしまう。

よほど好きであれば別だけど、
そこまで第一稿で好きになるキャラクターを
作れるとは限らない。
(たいてい細かいエピソードは第二稿以降で思いついたりする)

なので、たとえば「敵は反社会的」
という風に持って行くとよい。
悪を倒すことに正義を持たせる。
そうすると、主人公たちがやらなくてはいけない理由が明確になり、
なるほどもっと前に進むべきだ、
と、ストーリー自身が言うようになってくる。

それは設定段階でそう直してもいいし、
追加エピソードを足して、
ベールがはがれていくようにしても良い。
(一見良い人に見えていた悪役が、
あることをきっかけにして内面が暴露されるなど)

「敵の排除が、この人たちの個人的願望ではなく、
もっと広い所で意味のあることをしている」
となると、
主人公の前進に勢いがついてくる。

それは必ずしも、
「誰もが称賛する正義の味方」
でなくても良い。

「誰も理解しないけれど(人によっては非難する人もいるだろうが)
これは正義である」
という方が燃えるよね。
僕が仮面ライダー世代だからだろうか。



敵を明確にしよう。

それは目的を明らかにし、
焦点を絞り、
焦点に価値を与えることになる。

第二幕は、コンフリクトだ。
主人公が前に進むときに、誰がどう立ちはだかるかだ。
それをもっと悪くしてしまえば、
とりあえず勢いが出る、ということだ。

ハリウッド映画はとくにその傾向が強くて、
「悪役は徹底的に悪く描く」法則がある。
これはガンダム以降スタンダードになった、
「敵にも言い分がある」という日本の物語より、
原始的で強い。
だからハリウッドのストーリーにはパワーがあるとも言えるし、
典型的過ぎて食傷になるとも言えるけど。

そもそも前進力が失われ、
挫折が見え始めて来たら、
とりあえずカンフル剤を打とう。
挫折するよりも、完走しないと、リライトすら出来ない。

書いている途中に、いままで書いた所をリライトし始めるのはおすすめしない。
一回直してもまたどこかで挫折しそうになり、
また最初から書き直すことをしてしまい、
つまり作業量が級数的にどんどん増えていくことになるからだ。

最後まで勢いで書いてから整理してリライトする方が、
最終的には作業量が少なくて済むだろう。


最近の例でいうと、
「ダンガル」の悪役コーチは、
ベタだけれど良かった。
彼があそこまで悪でなかったら、
姉の苦しみや、
そこから抜け出ることへの前進力
(父が都会に出ていく無茶)が失われていた筈だ。

「ただの近代的なコーチで指導がいまいち」な微妙さだったら、
我々は父娘を応援しづらいし、
登場人物もあそこまで必死に動かないだろう。

適切な敵は、登場人物を動かし、
前進力を増すことになる。
もちろんベタな悪でなくても良いが、
良くできた敵は、ほんとうに憎い悪であることが多い。

ディズニーの映画では、
デカい悪役のほかに、小悪党がいることが多い。
(校長の横にいる教頭的なキャラクター)
そういう奴を作ってみても良い。

ムカつくほどの小悪党をぎゃふんと言わせたい、
と観客が思えば、
主人公の前進が小気味良くなってくるだろう。


ストーリーの勢いは、どこから出てくるのか。
主人公側だけでないこともある。

勢いさえ取り戻せば、
挫折からは救われると思う。
posted by おおおかとしひこ at 19:17| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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