2018年10月08日

起伏をどう作るか

目的を持たせろ→それに向かって走らせろ
→邪魔をいれろ
→それを乗り越えるのが目的になれ
→以下くりかえし


邪魔は、この場合、
大きな邪魔でも小さな邪魔でもよい。
軽くジャンプすれば飛び越えられる溝でも、
悪意をもって妨害してくる人間でもよい。

目的を遂行するとき、
上手く行きかけたときに限って、
それが上手く行かなくなるトラブルが起きる。それを障害という。

障害は大きなものでも小さなものでも、
人間によるものでも、
物体やスケジュールの都合や天候やタイミングの悪さなどの非人間によるものでも、
悪意があってもなくても、あるいは本人にとっては善意でも、
なんでもよい。

機能する障害は、
目的遂行の障害になり、
主人公の焦点を変えられる、
ターニングポイントになればよいわけだ。

今やろうと思っていることがある。
その大きな先の目標があるかもしれない。
それが、とにかく計画通りにいかないようにするとよい。
そのことをどうクリアするか、
どう切り抜けるか、
どう追い抜くか、
などの「攻略」そのものがストーリーである。

(攻略そのものが楽しみなのだから、
主人公以外の人間にクリアされては面白く無い。
にも拘わらず、メアリースーに取り憑かれた作者は、
ご都合主義で毎回クリアしたがる。
人生の攻略をしたことがない弱者だからだ、
と断言しよう。
ゲーム的な架空の世界を描きたがる人は、人生攻略経験が乏しく、
ゲームの攻略経験の方が豊かな人だ、
と偏見を述べておく。
映画はゲームの攻略ではなく、人生の攻略を描く)


で、
目的が出来てそこに向かっていく部分が「起」で、
障害があり上手く行かなくなっていく部分が「伏」ということになる。

それを受けてさらに攻略法が見つかり、
工夫していけそうになったところが「起」で、
さらに別の障害によってうまくいかなくなっていく部分が「伏」ということになる。

うまくいく部分が起で、
うまくいかない部分が伏だ。

完全にうまくいくことはない。
完全にうまくいってしまったらストーリーは終わりだ。
つまり起伏とは、ストーリーをどう引っ張るか、
という事だ。
うまくいこうとして、やっぱりうまくいかなくて、
でもまたうまくいきそうになって、
さらにうまくいかなくなって。
で、またうまくいきそうになって。

その繰り返しが我々の心や主人公たちの心を揺さぶるのが、
起伏だ。

しかも、同じ障害や同じクリアの仕方じゃ面白くない。
毎回違う障害、違う攻略方法でいくのが面白い。
しかもどんどんむずかしくなり、
どんどん鮮やかにクリアしていくのが望ましい。

初稿ではなかなかこうはいかない。
だから、リライトで調整することが多い。


うまい起伏は、
上手に調整されているものだ。
小さな波から始まり、
徐々に大きくなっていき、
ついには津波になるように、
どんどん大きくなってくように調整されている。
初稿でそんなにうまく書けることはほぼない。
だからリライトで調整する。

起伏が足りないなら、
もっと気持ちが上下するように。
どん底はよりどん底に。
うまくいくときは天にも昇る気持ちに。

伏を効かせるには、起を高くする。
高い所からの落ち込みのほうが落差があるからだ。
つまり最高のピークで悲劇が起こる。
逆に起を効かせるには、伏を低くし、
逆転の駆け上がりを強くしていくとよい。
つまり最悪を突破するやり方が分かる。

弱くすることはめったにない。
いまある面白いところ以上に起伏をつけていったほうが、
より面白くなることは確実だからだ。
面白さを弱めることはないだろう。
むしろあなたはリライトで、より面白くなるように書いていくのだ。


起伏が初稿に書いていなければ、
リライトで起伏を強めることも出来ない。
そもそも起伏について書いていなければ、
起伏も作りようがない。
とくに中盤やクライマックスは起伏のシーソーゲームである。
起伏を作る事こそが中盤を書くことだといっても過言ではない。

何回、起伏を作るのか。
それは尺によって異なる。
名作を研究し、何回あるのか考えてみよう。
ジェットコースターと呼ばれるものほど多いだろうね。

起伏を作ろう。
序盤で作ってもよい。
中盤の起伏はそれより上下動が激しくなり、
終盤のそれはもっと乱高下するだろうね。

そのマックスの振れ幅がクライマックスに来ると最高だね。
そういう風に、
起伏を書こう。

最初からそう書くのは難しいから、
とにかく工夫して起伏を書き、
それ以上の起伏をリライトで作りこもう。
何回起伏は書き直してもよい。
どんどん山と谷が深く高くなっていくだろう。
posted by おおおかとしひこ at 11:05| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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