どんなリライトを施そうが、
どんなに中身とガワの組み合わせを探ろうが、
基本的には自由だ。
しかし動かすべきでない部分があり、
それを核とするべきだと考える。
核がブレたら別物になってしまい、
もう何が何だか不定形になるからだ。
その核とは、冒頭、クライマックス、結びをつなぐ線のことだ。
冒頭で提示された問題が、
最終的にどういうことを争って、
最終的にどう決着して意味が確定したのか、
その部分は触るべきではない。
一旦フィックスしたら、直すべきではない。
勿論、より良くなると考えれば手を入れても良い。
まあ、前のが良かったと戻ることもあるけれど。
ストーリーの核は、
結局冒頭と結末の関係性に尽きる。
「内向的な引きこもりが、仲間を見つけた」は、
機動戦士ガンダムのそれだ。
「型破りの忍びが、伝統の忍びと現代の忍びの、
合わせ技の部分を見つけた」は、
実写風魔のそれだ。
ここはリライトするべきではないと、
僕は考えている。
前振りと落ちと、そこから得られる意味(テーマ)は、
リライトするべきではない。
そのゴールがもっとも生きるように、
リライトをするべきだと考える。
そもそも、リライトしなければいけないほどの、
冒頭、結末、そこに至るクライマックスだとしたら、
そもそもその話は面白くない。
そう考えるべきだ。
さっさと次の話を組み始めたほうがいいくらいだ。
僕が数稽古を勧めるのも、
こうしたうまくいった経験、
うまくいかなかった経験、
うまくいきそうだったのにうまくいかなかった経験、
うまく行かなそうだったけど、うまく行った経験、
などを積めるからである。
生涯数本の経験の人は、
これらを上手に捌けない。
ストーリーに関してはヤリチンにやるべきだ。
で。
まずはその核が、
ガワと中身の関係が完璧に出来ていて、
そこに手をつけないようになるべきだ。
逆に、そこがピークになるべきで、
それ以上にいいやつができると、
核が弱くなってしまう。
たとえば、
「あしたのジョー」におけるミッドポイント、
力石の死は強烈だが、
強烈すぎて、
核がそっちになってしまった。
後半戦は力石の死にどういう意味をつけるか合戦になってしまい、
核がなんなのか分からなくなる。
最終的には「真っ白に燃え尽きる」
が見つかったからいいものの、
それがなければ「あしたのジョー」は凡作だったろう。
逆に「北斗の拳」は、二部以降はクソだ。
修羅の国編以降何もなし得ていない。
ラオウで終わってれば神だったのにね。
引き延ばしがクソ量産に力を貸している。
ケンシロウが記憶喪失になることで、
「これまでの意味を思い出し、総括する」
ということを意図したことは読み取れるが、
ジョーの「真っ白に燃え尽きる」には全く及んでいないため、
北斗の拳のラストなんて誰も覚えていない。
もっとも、
この二つの例は、
最初から計画された一気読みの作品ではなく、
継ぎ足しながらやっていく連載であることに注意されたい。
だから核をどこに置いていいのか分からないまま、
勢いで進むしかない、
という条件下で書かれている。
ここで議論しているストーリー論は、
映画のような、
「最初から最後まで一気見する」
を前提としているから、
そういうものの核は何か?
ということを考えるべきだということ。
もしこれらが映画で、
ミッドポイントで力石の死やラオウの死など、
最高に来る場面があったとしても、
そこがピークになってしまい、
「後半覚えていない」作品になることは確実だ。
映画のストーリーとは、
「一本まるまる出す」ことが前提のストーリーだ。
漫画で言えば読み切りだ。
じゃあその核ってなんだと考えれば、
前振り(冒頭)と落ち(結末)の繋がりの意味で、
そこに至る最大の山との関係性ということだ。
機動戦士ガンダムが、
連載形式にも関わらず映画的ストーリーに落ちているのは、
最初からシリーズ構成があり、
全体像を作ってから部分に取り掛かっているところである。
最初から4クールという枠組みがあり、
それで何を核とするべきかを貫いたのだ。
(実際何話か短縮されたらしい。
そこではもっとニュータイプについて突っ込む予定であったという。
それがあれば完璧な作品になることが予想されるが、
そこの飢餓感ゆえに続編が作られたことを考えれば、
商売上は「ちょっと足りない」は重要かもしれない)
映画の話なのに映画が出ていないのがアレだけど、
核があるのとないものの例を示したかったので…
あなたのストーリーの核はなんだ?
それは完璧か?
リライトは、それ以外を徹底してやったほうがいい。
そもそも核がそこそこならば、
そこそこの作品だ。
次を書くのだ。
たくさん書いて技術を学ぶには、
回転の速い短編がいい。
核を保つ経験、
核を動かして失敗する経験、
核を動かしてたまたま成功する経験など、
たくさん経験しておくべきだ。
2018年10月10日
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