黒人と白人の問題?
それは歴史的にある。
しかしたとえば秋田県民と東京の人、
などのように、
「異種人種」の間での居心地の悪さがある、
というように考えれば、
「黒人と白人の問題」を全うに扱っているのではなく、
それは後半からの怒涛の展開のための、
隠れ蓑でしかないことにきづくはず。
つまり、黒人白人は、後半の展開を隠すガワでしかない。
以下ネタバレ。
これ、一応ホラーに分類されるそうな。
怪物に追われるのがホラーというように定義すれば、
たしかに白人村というモンスターに追われる映画にはなる。
だとすると。
第一ターニングポイントが遅すぎないか?
第一ターニングポイントは、
黒人がパーティにいて、
フラッシュで異変を見せたところが順当だろう。
そこはミッドポイント近くにあって、
それまでずっと退屈だったよ。
「表面を繕っている」という不穏さは察せられたから、
あとはその正体が何かでしかないので、
それが黒人を性奴隷にするため(催眠術と手術で)、
というのは大して面白くなかった。
怪物の正体が詰まらないホラーは、
ホラーとしてはダメだと思うんだな。
紳士こそ変態である、
というのは白人社会の基本の描き方だから、
そこは全然不気味に思わない。
実社会でもスーツを着てる人の方が、
本音を隠し持っていて、
全く腹を割らないことに僕らはよく遭遇するではないか。
僕は、やや退屈な前半戦で、
幽霊とかそういうやつなのかと思っていたが、
「幽霊よりも生きてる人の方が怖い」
なんてことにならなかったのが残念だ。
空港警察の伏線がここで効くのか、
というラストは技ありだけれど、
それがこの作品のテーマと関係ないのが残念。
で?
この作品のテーマはなに?
遺伝子に嫉妬していること?
だったら、もっとそこに踏み込むべきだ。
弟との格闘戦で、
遺伝子が違うってこういうことなのか、
と絶望させるように持っていってもいいはずで、
さらにいえば、
遺伝子が違うことの恐怖をホラーにすればいい。
極論すれば、白人黒人の話にしなくてもいい。
白人とアジア人とかでもいいだろ。
人種的に無理があるなら、宇宙人にしなさい。
宇宙人が地球に住み始めて何百年か後を時代にして、
その村に挨拶しに行く男の話にすればいい。
遺伝子が違う人種に愛を抱けるのか?
ということになってくるけどね。
つまり黒人社会へ帰還するラストは、
全然白人とは分かり合えないという意味になってしまい、
なんだかなあと、思ってしまう。
もっとも、黒人白人は、単なるガワなんだけど。
これを面白いといっている人は、
ガワが面白いと言っているだけで、
中身の本当に面白い映画を見たことがないのかも知れない。
大衆はいいものを見てないから、
この程度のガワで騒ぐのだろう。
この程度のガワなら過去にたくさん見てきたおじさんは、
全くいいと思わなかった。
ホラー映画にテーマや中身が必要?
必要だ。
もしないなら、
それはホラー映画ではなく、
「映画」のない「ホラー」止まりだろう。
それはただのジェットコースターであり、
から騒ぎのパーティにしかすぎない。
僕は面白い映画を見たい。
異なる遺伝子を動物で表現した「ズートピア」のほうが、
映画として100万倍上等だ。
これに脚本賞をあげた人は、
前半の黒人白人のリアリティ溢れる会話劇に、
賞をあげた人なのだろう。
なんと表面しか見てないことか。
『ゲット・アウト』とは直接関係のない話なのですが、映画を観る場合、字幕で観るべきか、吹き替えで観るべきかか、どちらが良いのでしょうか。
あくまで、セリフの妙であったり、セリフによるキャラクターの描き方を学ぶという意味においてです。私は両方の選択肢がある場合は、吹き替えを観るようにしていました。そのほうが情報量が多いので、見比べると字幕では不足が多いと感じていたためです。
アドバイス、よろしくお願いいたします。
僕は字幕派ですね。
全部聞き取れるわけではないけど、
大抵強いセリフは英語でも短くて強い書き方になっていると思います。
たとえば。
スパイダーマンの、
「大いなる力には大いなる責任が伴う」よりも、
「Great power has great responsibility」
のほうが、概念が少なくてスッキリしていて、
名台詞だと思います。
同様に、ライムライトの
「Time is a great author.
It writes always perfect endig.」
を名セリフとして訳出するのは大変難しいと思います。
本編の流れを理解されつつ、
後々引用される哲学として言葉が成立するようには。
ここでは、
「時間は偉大な作家だよ。
いつも完璧にラストを作るのさ」
(時間が経てば美化されるという大意)
とでも訳しておきましょうか。
中学生でもわかる単語なのに、
訳が大変難しい名文です。