ミスリードと近いけれど、テクニックとして。
ストーリーの中盤では、
一行は目的に対して右往左往する。
障害が立ちはだかり、それをクリアしようとしてだ。
センタークエスチョンという最大の障害を突破することがストーリー全体の目的だが、
それの部分問題をクリアしていくことで、
一般にストーリーは進んでゆく。
で、
正解だけを引き続けるのもつまらない。
右往左往とは、
成功したり失敗しながら、
「そのことを深く知っていく過程」
であると考えられる。
成功したり失敗することが成長につながるのは、
その試行錯誤が学習という、
それを深く知ることであるからだ。
(学習なきガチャは、ストーリーではない。
ただのランダムスプレッドだ)
専門用語でいうところの、
「バリアーポイント」(障害の前に敗北)
からの「リバーサル」(逆転策を見出し、前に進む)
は、正解だけを引き続けても面白くない、
ということである。
つまり、
作者は、意図的に失敗させる必要がある。
わざと失敗させて、そこから活路を見出させて、
逆転勝利しなければならない。
もちろんそれがわざとらしく、
意図的な失敗とバレてしまっては面白くない。
成功しそうに見せておいて、
登場人物も観客も気づいていない何かがあって、
その何かが、失敗したあとにわかるべきだ。
ミスリードと似ている、と書いたのはこういうことだ。
ミスリードも、わざとらしいものはバレバレなのでよろしくない。
いいミスリードとは、
登場人物も観客も、
「自然にそういう方向に誘導されたので、
死角に気づかなかった」がベストだ。
「死角があったのか!」とあとで驚くのがベストだ。
気づかせない為には、
視線を誘導し続けることだ。
焦点に釘付けにし続けることだ。
息つく暇もないほどの、
素晴らしい展開で引きつけるべきだ。
こういう意味で、
ミスリードと、意図的に失敗させることは似ている。
作者の掌の上のことだけど、
登場人物や観客は、本気で右往左往し、
活路を見出して喜ぶのである。
2018年10月29日
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