実際に書き終えた原稿を持ってくる。
これは練習だ。
1. これを倍の文字数にしなさい。
2. これを半分の文字数にしなさい。
そもそもそのストーリーは、
その文字数が最適なのだろうか?
無駄があったり、
足りてなかったりしないのだろうか?
あるいは、
そのテーマに関して書き尽くしたことだとしても、
倍にするとしたら何が必要なのだろうか?
そのストーリーを凝縮して本質だけをあぶり出すには、
どうすればいいだろうか?
これは練習だ。
おそらく、元の原稿の文字はほとんど残らず、
全ての文字を書き直すことになるだろう。
原型がとどまらなくてもいい。
元のストーリーと同一性が本質的に保たれていれば、
ディテールはどうでもよいはずだ。
CMというのは不思議なもので、
15秒と30秒を2本作る。
同じストーリーでなければならない。
しかし全くディテールを変えてしまっては撮影の支障になるので、
「なるべく共通して使える奴は使う」
という暗黙のルールがある。
予算を圧迫しないよう、
それぞれの秒数を生かしたように、
CM監督というのは同じだが倍の違いのある2本をつくる。
こんな筋肉は、
ふつうにドラマや映画をやっていると鍛えられないと思う。
5分から10分程度の原稿が、練習にはいいかもね。
半分にしてみよう。
倍にしてみよう。
同じもののバリエーションにしなければならない。
オチは変えられないだろう。
導入は変えられるかもだ。
登場人物は減ったり増えたりする。
場面も減ったり増えたりする。
セリフもあるのとないのがある。
エピソードは足されたり削られたりする。
膨らませたり、縮めるのだ。
これは、
仕上がりと尺と、構造と構成の関係を、
手で知る練習である。
あるいは、何かを足したり引いたりすると、
全体がどうなるのか予測力を鍛える練習だ。
(「やってみなけりゃ分からない」なんてのは素人でも出来る。
プロはやる前から結果が分かっている。
逆に、結果が良くなると分かっているから、
頑張って書けるというものだ)
どんな感じのものならば、
どれくらいで書けばよいのか、
内容と大きさに関する感覚を、
こうやって鍛えることができる。
倍にしたり、半分にしたりする練習は、
そのうちリライトにも使えるようになる。
ここを膨らませてここを縮ませよう、なんて判断できるようになる。
2018年11月03日
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