2018年11月03日

倍にする練習、半分にする練習

実際に書き終えた原稿を持ってくる。

これは練習だ。
1. これを倍の文字数にしなさい。
2. これを半分の文字数にしなさい。


そもそもそのストーリーは、
その文字数が最適なのだろうか?

無駄があったり、
足りてなかったりしないのだろうか?

あるいは、
そのテーマに関して書き尽くしたことだとしても、
倍にするとしたら何が必要なのだろうか?

そのストーリーを凝縮して本質だけをあぶり出すには、
どうすればいいだろうか?

これは練習だ。
おそらく、元の原稿の文字はほとんど残らず、
全ての文字を書き直すことになるだろう。

原型がとどまらなくてもいい。
元のストーリーと同一性が本質的に保たれていれば、
ディテールはどうでもよいはずだ。


CMというのは不思議なもので、
15秒と30秒を2本作る。
同じストーリーでなければならない。

しかし全くディテールを変えてしまっては撮影の支障になるので、
「なるべく共通して使える奴は使う」
という暗黙のルールがある。

予算を圧迫しないよう、
それぞれの秒数を生かしたように、
CM監督というのは同じだが倍の違いのある2本をつくる。

こんな筋肉は、
ふつうにドラマや映画をやっていると鍛えられないと思う。

5分から10分程度の原稿が、練習にはいいかもね。

半分にしてみよう。
倍にしてみよう。

同じもののバリエーションにしなければならない。

オチは変えられないだろう。
導入は変えられるかもだ。
登場人物は減ったり増えたりする。
場面も減ったり増えたりする。
セリフもあるのとないのがある。
エピソードは足されたり削られたりする。

膨らませたり、縮めるのだ。


これは、
仕上がりと尺と、構造と構成の関係を、
手で知る練習である。

あるいは、何かを足したり引いたりすると、
全体がどうなるのか予測力を鍛える練習だ。
(「やってみなけりゃ分からない」なんてのは素人でも出来る。
プロはやる前から結果が分かっている。
逆に、結果が良くなると分かっているから、
頑張って書けるというものだ)


どんな感じのものならば、
どれくらいで書けばよいのか、
内容と大きさに関する感覚を、
こうやって鍛えることができる。

倍にしたり、半分にしたりする練習は、
そのうちリライトにも使えるようになる。
ここを膨らませてここを縮ませよう、なんて判断できるようになる。
posted by おおおかとしひこ at 17:18| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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