2018年11月17日

一人だけ違うリアクションをさせてみよう

全員が「なにい?!」と驚いている時、
一人だけ余裕があるとしよう。

なぜだろうか?


性格だからだろうか?
一人だけクールなキャラで、
キャラと違うから驚かないのか?
それはキャラクターというものを履き違えている。

どんなクールなキャラも、
驚いたり興奮したり下ネタを言う時もある。
人間だもの。

性格だから、と答えるのは、
全然物語を作り慣れていない証拠だ。

正解(のひとつ)は、
「その一人は知っていたから」だ。


ストーリーはコンフリクトである。
コンフリクトの原因は何か。
「それぞれが違うこと」だ。

性格や人生観の相違もあるだろう。
しかしそれは話し合って治るものではないから、
あまり物語になりにくい。

物語になるコンフリクトの原因は、
「立場の違い」だ。

目的の違いでもいいし、
同じ目的だとしても動機が違っていてもいいし、
あるいは、
「知っている情報の違い」があってもいい。

同じことを見ても、
目的や動機や立場や情報が違うと、
リアクションやそのあとの判断、行動が違うはずである。


勿論、その場にいる全員が、
それぞれの違う文脈に則り、
それぞれに違うリアクションや判断や行動ができるのが理想だけど、
それは初心者には難しい
(二人までしか画面内に出す実力がなかったりする)
ので、
まずは一人だけ違うリアクションを用意しよう、
というトレーニングのことを話そうとしている。


全員が驚くときに、一人だけ驚かない。
それを事前に知っていた。ずっと知っていたのだ。

全員が笑うときに、一人だけ笑わない。
笑いのツボが違うのか?
いや、その笑いは彼のトラウマに触れたのだ。

全員が泣くときに、一人だけ泣かない。
彼はそれ以上の悲しみを負い、
一人だけ冷静だったからだ。

全員が怒るとき、一人だけ怒らない。
彼一人だけ利害関係が異なるからである。

全員が喜ぶとき、一人だけ喜ばない。
彼一人だけ目的が違うからである。


こんな風に試しに考えてみると、
それぞれが異なる立場や目的で生きていることが分かると思う。

二人の場面しか書けない、
つまり、「自分と他人」程度しか認識の幅が少ない人は、
多人数の場面になったとき、
全員押し黙ってしまいがちになる。
どう扱っていいかわからないからだ。

これを生き生きと全員活写するのは難しいので、
まず一人だけ目立つやつを、
別のリアクションをさせてみよう、
という、
これは訓練であるわけだ。


その場面に、全員を集めてみたまえ。
そして何かリアクションがあるようなことを起こせ。
みんな同じリアクションをする中、
一人だけ違う奴がいる。

そこからストーリーが展開することが出来るだろう。

使えるテクニックだから、
マスターして損はない。
posted by おおおかとしひこ at 21:46| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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