2018年11月29日

空間的逆、時間的逆、関係的逆

逆を作るのは、クリエイティブなことの基本だ。
ふつうだと平凡だから、逆張りを考えるのは、
どんな尖ろうとすることの基本でもある。

ストーリーにおける「逆」は、
空間的、時間的、関係的な、
逆があるような気がする。


いつもと逆の場所。
いつもと逆の展開。
いつもと逆の関係。

こういうところに芽があると思う。

たとえば、
女子便所に間違えて入ってしまったサラリーマン。
死んだ人が生き返る。
後輩が先輩と立場が逆転する。

適当に作ってみたけど、なんでもいけそうだ。
ここでいかに常識を崩すすごい逆を思いつけるかだろう。

で、あまり逆ばかり並べてもしょうがない。
「全部逆張りしてりゃいいと思ってるだろ」
なんて読まれてしまう。

ひとつだけ強力な逆があれば、
他は全部順であるほうが、
その逆が強力に目立つ。

「何かだけ逆」なのがよい。


「すごい可愛くて、ファッションセンスも良くて、
他人には親切なのに、
自分にだけ当たりが強い女の子」
なんてのが気になるわけだ。

「ブスで、変な服で、人によって態度がバラバラ」
と全部逆張りをしても、
とっちらかるのだ。

「重力だけが逆さまの世界」なんてのが面白そうなわけで、
「重力が逆で、左右も反転して、
色も逆になり、前に進んだら後ろに下がる世界」
なんてSFは、さっぱり理解できないだろう。

「他は全部理解できるのに、
ひとつだけ強力な不可解がある」と、
人は安心してその謎に興味を持つわけだ。

その逆を、常識の世界で理解しようとして、
そのうちその逆の方が心地よくなってくる。

人の適応現象に、
物語は似ているかもしれない。


(たとえばMacで、
マウスのスクロールホイールを、
上下逆にするセッティングを試すとよい。
ふつうは「下に回すと下にスクロールする」だが、
「上に回すと下にスクロールする」に設定することもできる。
ひとつだけ逆だと強烈に違和感があるものだ。
しかし「飛行機の操縦桿と同じ」と思ったり、
「画面を触って上に飛ばしている(フリックと同じ)」
と考え方を変えた瞬間、慣れることができる。
しかも、その方が合理的なんじゃないか、
って人は思い始めることがある。

そして元に戻すと逆に違和感を覚える。
人の変化、成長とは、
このような適応現象に似ていると思う)



あとは、「逆のセンス」だけだ。

なにだけを一つ逆にすると、
面白いストーリーになるか?

その逆を理解し、
適応していこうとする過程が、
ストーリーそのものになるだろう。
posted by おおおかとしひこ at 13:34| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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