逆を作るのは、クリエイティブなことの基本だ。
ふつうだと平凡だから、逆張りを考えるのは、
どんな尖ろうとすることの基本でもある。
ストーリーにおける「逆」は、
空間的、時間的、関係的な、
逆があるような気がする。
いつもと逆の場所。
いつもと逆の展開。
いつもと逆の関係。
こういうところに芽があると思う。
たとえば、
女子便所に間違えて入ってしまったサラリーマン。
死んだ人が生き返る。
後輩が先輩と立場が逆転する。
適当に作ってみたけど、なんでもいけそうだ。
ここでいかに常識を崩すすごい逆を思いつけるかだろう。
で、あまり逆ばかり並べてもしょうがない。
「全部逆張りしてりゃいいと思ってるだろ」
なんて読まれてしまう。
ひとつだけ強力な逆があれば、
他は全部順であるほうが、
その逆が強力に目立つ。
「何かだけ逆」なのがよい。
「すごい可愛くて、ファッションセンスも良くて、
他人には親切なのに、
自分にだけ当たりが強い女の子」
なんてのが気になるわけだ。
「ブスで、変な服で、人によって態度がバラバラ」
と全部逆張りをしても、
とっちらかるのだ。
「重力だけが逆さまの世界」なんてのが面白そうなわけで、
「重力が逆で、左右も反転して、
色も逆になり、前に進んだら後ろに下がる世界」
なんてSFは、さっぱり理解できないだろう。
「他は全部理解できるのに、
ひとつだけ強力な不可解がある」と、
人は安心してその謎に興味を持つわけだ。
その逆を、常識の世界で理解しようとして、
そのうちその逆の方が心地よくなってくる。
人の適応現象に、
物語は似ているかもしれない。
(たとえばMacで、
マウスのスクロールホイールを、
上下逆にするセッティングを試すとよい。
ふつうは「下に回すと下にスクロールする」だが、
「上に回すと下にスクロールする」に設定することもできる。
ひとつだけ逆だと強烈に違和感があるものだ。
しかし「飛行機の操縦桿と同じ」と思ったり、
「画面を触って上に飛ばしている(フリックと同じ)」
と考え方を変えた瞬間、慣れることができる。
しかも、その方が合理的なんじゃないか、
って人は思い始めることがある。
そして元に戻すと逆に違和感を覚える。
人の変化、成長とは、
このような適応現象に似ていると思う)
あとは、「逆のセンス」だけだ。
なにだけを一つ逆にすると、
面白いストーリーになるか?
その逆を理解し、
適応していこうとする過程が、
ストーリーそのものになるだろう。
2018年11月29日
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