2018年12月15日

【薙刀式】キー入力を改善するファクター(この二年でやったこと)

これまでのまとめをしておく。

キー入力を改善するには、さまざまな要素がある。
いいキーボードを買う、配列を変更する、
などが直感的に考えられるものだけど、
細かいファクターがもっと沢山ある。
それのどれがあなたの指や環境に合うのか、
どの程度の効果があるのか、
「人次第」であるように思う。

以下に、それぞれのファクターを整理してみる。
あなたの入力改善(効率化、スピード化、疲れない)の、
参考にしていただきたい。


ざっくり、以下のようなジャンルがある。

1. キーの軸を良いものに
2. キーボードの物理配列を合うように
3. キーピッチを自分に合うように
4. キーのプロファイルを合うように
5. キーボードのセッティング
6. 配列を変える
7. 机と椅子を変える
8. 構え方、打ち方を変える
9. エディタを変える
10. モニタ環境を変える
11. 機能キーやショートカットを整える

これらのどのファクターがあなたに効果的か、
どの程度どれが効いてどれが効かないか、
あなたによって異なる。
だから効く順に並べているわけでもない。

それぞれに解説。


1. キーの軸を良いものに

一般的に安くて普及しているキーの軸
(キーが沈み、押されたというスイッチが入り、
また元に戻るという機構を実現しているもの)には、
パンタグラフ式(薄くてノートなどについている)か、
メンブレン式(デスクトップPCなどについている、立体的なもの)
だろう。

パンタグラフのほうが薄くて表面を撫でるように打てるから、
高速で打てるという人もいるし、
メンブレンのほうが打った感じがあるから使いやすいという人もいる。
これを変えるだけで改善することがある。

また、メンブレンのキーの形だが構造はパンタグラフという変わり種
(ディープパンタグラフ)や、
メンブレンでも構造を工夫したもの(エクストラタッチ)などが、
あったりするので触ったことのある人もいるかも。

一般的に、これらのキーの押下圧は、
55gから65g程度だ。
これはピアノの鍵盤とほぼ同じで、
おそらくピアノという先行機器に合わせて設定されたと考えられる。

ところが、ピアノの音符よりも、
キーボードのキーの方が僕は沢山打つと思う。
ライターや文章専門の人はとくにだ。

そのキーは、軽いほどいいと思う。

現行でキーを軽くするには、
軸を変更すると良い。
いきなり自作キーボードでも良いが、
大抵の人は「高級キーボード」に手を出す。

55g メカニカルチェリー茶軸
50g メカニカルチェリー青軸
45g メカニカルチェリー赤軸、静電容量
35g 静電容量、リベルタッチ、メカニカルgateron白軸(clear)
30g 静電容量

メカニカルや静電容量は、メンブレンやパンタグラフのような、
物理機構のことだ。
どういうものかは各自調べれば出てくる。

メカニカルの代表はフィルコのマジェスタッチだろうか。
僕はvortex core(赤軸)、マジックフォース(gateron白軸)
を持っている。
チェリー社のスイッチが普及しているが、
これのコピーである中国製gateronは自作キーボードで普及している。
ほかにKailh、マチアス、アルプス、板バネなどもあり、
(いずれも既製品キーボードでは入手しづらいが、
スイッチ単体としては入手できる)
これらの軸を自由に並べられることが自作キーボードの魅力だ。


静電容量方式は耐久性の高さで知られ、
価格帯も高い最高級キーボードである。
国内ではリアルフォース、hhkbが二大ブランド
(しかし中身の軸はOEM供給なので同じものだそう)だ。
これらの信者が日々色々なことを書いてるので、
ググればいくらでも出てくるだろう。

静電容量(とメカニカルの概ねのスイッチ)のいいところは、
キーストロークの半分あたりに認識点(アクチュエーションポイント)があり、
底打ちせずとも打鍵を認識することだ。
これによって、ガタガタ底まで打つ労力から解放され、
半ばまでしか打たない打ち方になってゆく。

国外では、
中国の NiZ、韓国のLeopordの2ブランドが静電容量。
いずれも上のもののクローン品と言われる。

しかしNiZはとても柔らかいので、
35gと言えどリアルフォースの30gより軽く感じる。

また、これまでの人間工学的調査から、
キー押下圧は35gあたりがちょうどいいという結果もある。
(人によって違うと思うけど、親指シフトの根拠はここ)

少し大きな家電店へ行くと、
これらの高級キーボードを触れる。
池袋ビックカメラパソコン館は、
沢山のブランドを揃えていて、なかなかだ。
秋葉原ツクモのキーボード館もいい。

しかしhhkbのBT版、NiZなどは通販でしか買えないため、
なかなか触る機会はないだろう。
僕は両方持ってるので、
触りたい人は申し出てくれば、都内ならいいですよ。



2. キーボードの物理配列を合うように


キーボードは全てにおいて同じ配列をしていない。

テンキーあり(フルキーボード)、
テンキーなし、
カーソルキーの島もなし(80%キーボード)、
ファンクション段なし(60%キーボード)、
数字段なし(40%キーボード)、
親指部分もほぼなし(30%キーボード)

がある。
小さい方が取り回しが楽でモバイルに向く。
しかし足りないキーをFNとの同時押しなどでカバーするため、
癖が強い。

僕は40%で全然良いのだが、
そのキーボードで他のファクターをカバーしているとは限らないので、
80%を使っている。

また、同じクラスでも、
キーの配置が他と違ったり、横幅が全然違ったりする。
会社支給のノートが、異常にBSキーが小さく、
もっとまともなキーボードはないのか、
と思ったことが、僕が配列変更をしようとしたきっかけだった。

DvorakJややまぶきRなどのキー配列変更ソフトを使用したり、
レジストリを書き換えたりして、
文字キーでないキーを入れ替えたりしている人は、
たまにいる。

また、キーボードは各国によって微妙に形が違う。
日本で入手できるのは、JIS配列かUS配列だ。

JIS配列はスペースの横に変換キー無変換キーがあり、
右小指外のキーが多く、エンターが縦長。
US配列はスペースが横一直線に長く、
右小指外は少なく、エンターが一列分で、記号配置が異なる。

US配列はタイプライターの歴史から継がれたもので、
左右対称に構えられるのが利点。
(JISは右が多い)。
記号配置が英語表記に便利なように配置してあるため、
プログラマーはUS配列を使う人も多い。
(もっとも、これだけが理由なら、キー配置変更ソフトで、
記号キーだけUS配列にするという手もある)

JISの変換キーと無変換キーはほとんど利用価値がないが、
親指で押せるいい位置にあるため、
これをシフトキーやコントロールキーやエンターやBSに当てる、
なんていうキー配置変更アイデアもある。

あるいは、この二つを、
左親指キー、右親指キーに見立てるのが、
親指シフトという入力方式だ。


配列は各国によって異なる。
フランス、ドイツ、ポルトガルなどでは、
USをベースにしつつ、キーの多少やALTGRキーの追加などがある。
言語によってアルファベット位置も変わっている。
つまり、現行のアルファベット配置(qwerty配列)が、
ベストとは限らないということがこれを見てもわかる。


キーボードでは、左右分割したものもある。
これは肩をすぼめて打鍵するより、
肩を開いたほうが肩が凝らない、
という人間工学的理由によるもので、
最近流行の自作キーボードは、ほぼ左右分割だ。
僕は「両手でこねるようにしたい」という直感から、
あまり好きではない。

また、人間の腕や指の動かしやすい面や位置にキーを配置するべきだ、
という人間工学的な理由から、
山形や曲面型や親指キーを横につけたものなど、
様々な異形キーボードが考案されている。
エルゴノミクスキーボードで調べると色々出てくる。
特に自作キーボードのColosseum60は、その極みだ。

左右分割かつ静電容量35gに、μトロンキーボードがあるが、
5万という高価ゆえに、今は生産終了している。
(まじでどっかで落札したい)



3. キーピッチを自分に合うように


キーピッチとは、キーの中心と隣のキーの中心との距離のこと。
キーピッチが広いと指を広げなければならず、
狭いと指が届くがせまっ苦しい。

現在フルキーボードと呼ばれるものは19mmで、
現行据え置きキーボードのほぼ全てはこれで生産されている。
大量生産上の理由だろう。

だが19は外人の手が基準で、日本人には大きいと思う。
80年代に日本純正を目的としたトロンプロジェクトの調査によると、
日本人の手の標準では17が良いとされた。
手の大きさによって、LMSの三種類を出すべきだとも。

しかし大量生産の理屈によってL型しかないわけだ。
NISSEのエスリルキーボードは、
L型とM型を販売する、トロン思想の末裔だ。

モバイル用に18、17、16などの小さいキーボードがある。
僕は先日17を購入したのだが、
ものすごく手に合った。
19だとブラインドタッチしにくいキーが沢山あるが、
17だと「全てに手が届く」感じがあった。

いつか17で自作キーボードを作りたい。



4. キーのプロファイルを合うように


プロファイルとは「横顔」の意味で、
キーを横から見たときの話。
現在の高級キーボードでは、
上段キーはこちらからみて上り坂に、
下段キーは下り坂になっていることが多い。

これは、指の動きに合わせているからだ。

キーがフラットなパンタグラフではオールフラットであることが多く、
これだと遠くが遠くなる。

プロファイルをつけることは、
遠くのキーを近くにするアイデアだと言える。

とくにhhkbの「ステップスカルプチャ」と呼ばれるプロファイルは、
角度がキツイので、指が届きやすい傾向にある。


またチェリーMX軸互換キーキャップには、
チェリープロファイル(低くて角度が緩め)、
OEMプロファイル(高くて角度が急)、
SAプロファイル(更に高く角度が急)、
DSAプロファイル(オールフラット、低め)、
XDAプロファイル(オールフラット、高め)、
などのプロファイルがある。
MX互換のスイッチを使っているなら、
キーキャップ交換してプロファイルを変える、という手もある。

とくにNiZは静電容量軸なのに、
MX軸互換のキーキャップがつけられるので、
改造のしがいがあるぞ。
OEMのキーの高さを利用して、
山形や谷型にしたことを僕は研究していて、過去記事にも発表した。


究極のキープロファイルは、
Kinesisのお椀型だろう。
あるいは前出のColosseum60も、なかなか凝っている。


また、プロファイルをきつくすると、
スペースキーの下り坂がきつくなるため、
スペースキーだけ上下逆づけをする人もいる。
親指だけ違う角度でついてるからね。

また、僕はスペーキーが凸型になっている意味が分からない。
丸の指と点でぶつかるから痛いと思う。
なので木を凹型に削り、両面テープで貼っている。
その木はパームレストに使う良い木材(高い)だったり。

自作キーボードでは、
最下段はたいてい逆づけの角度で、凹型だ。
これが答えだと僕は思う。



5. キーボードのセッティング

スタンドを立てる(チルト)、
畳んでフラットに置く、
手前に何かを挟み、奥下げにする(逆チルト)

がある。
逆チルトのほうが、指が滑るように入っていって、
打ちやすいと僕は思う。
人によるし、プロファイルによって適切な上げ分も変わる。

また、
パームレスト(掌を置いて固定)、
リストレスト(脈を取る所を置いて、手首は自由にする)
などの補助機材を使用しても良い。

レストはジェル入りの柔らかいやつより、
吸湿吸油に優れ、硬さの心地よい木材がおススメ。
特に生木にオイルで磨くと表面がしっとりするので、
樹脂を出し続ける木(リグナムバイタなど)とともにおススメ。
革加工したり、人によっては工夫するだろう。

パームレストの高さも、
プロファイルやチルトに合わせて色々ある。
僕は5ミリ、1センチ、1.5センチを揃えているが、
4センチというのも聞いたことがある。

また左右分割キーボードだと、パームレスト二ついるので、
これを嫌ってなるべく薄い分割キーボードを使う人もいるね。
Helix picoはその代表。


6. 配列を変える

ここまでは物理的なことだったけど、
論理的な配置を、
キー変更ソフトDvorakJややまぶきR、
キー変更 USBアダプタかえうちによって、
変えてしまう手もある。

ローマ字でも、カタナ式、SKY、けいならべなどに、
カナ配列でも、薙刀式、飛鳥配列、新下駄配列、月配列などに、
変えてしまうだけで、
日本語の頻度分布に応じた指の使用度、
なるべく指がつながる運指改善、
などが見込め、
スピードや疲労度に決定的な差がつくことがある。

僕の場合、qwertyローマ字のブラインドタッチに挫折し、
配列の不合理さに憤り、
合理的指使いを考え出し、
ブラインドタッチをカタナ式で初めてマスターした。
その後カナ配列を色々触りながら、
薙刀式v11(開発中、未発表)で打っている。

これまでの配列を総覧する記事はいくつか書いたので、
過去記事へどうぞ。

また、誰かの発明を頂くだけでなく、
自作に踏み出す手もある。
ちょっと改良すればいいかな、なんてやっていると、
沼にはまっていたりね。笑


7. 机と椅子を変える

物理に戻る。
机面の高さを変えるだけで、
キーボードのセッティングを変えたほうが良くなったりする。
また、椅子と机の天面の差でも変わる。

これは、腕を突き出す仰角が変わるからだろう。

僕は色々なカフェを転々として書くことが多いので、
各カフェで椅子と机の差が色々あることを知っている。
リストレストを何本か持ち歩き、
各カフェでセッティングを変えることをやっている。


8. 構え方、打ち方を変える

キーボードに対して手をまっすぐに構えるか、
ハノ字気味に構えるか、
体の中心を、GHにするか、Fか、Jか、
あるいはキーボードを正対して置くのか、
やや時計回りか、やや反時計か、
などによって、打ちやすさが変わる時がある。

また、打ち方を、
猫の手にして上から打つ、
掌を水平にして、指を伸ばす力で前に滑らせる(前滑り打法)、
などに変更することで、
腱鞘炎を防ぐことが可能になるかもしれない。


9. エディタを変える

重いエディタは、キーを押してからなかなか文字が出ないため、
無意識にキーを強く押してしまいがち。
せっかく軽いキーボードを買っても、
それでは意味がない。
マシンスペックを上げて動作を軽くするか、
エディタそのものを軽いものに変えよう。

たとえばワードは、
入力した文字を記憶する「エディタ」の機能と、
整形して印刷状態で見る「ワープロ」の機能の、
二つを同時に実現している。
使いやすいが、重いわけだ。

入力専用に特化したエディタを使い、
コピーしてワードなどに流し込んで印刷整形をしたほうが、
数万字単位の原稿では入力効率が良い。

軽いエディタには、
iText、メリー、サクラ、秀丸などがあり、
iTextが最速でおススメ。
軽いワープロには、
TATEditorがおススメ。

僕はiTextで書き、
このブログに貼り付けたり、
TATEditorに流し込んで整形したり、
図表がいるならワードに流し込んで整形している。



10. モニタ環境を変える

ノートPCは目線が下すぎる。
背を丸めて書くことになり、
習字の基本、「背筋をまっすぐ」が壊滅だ。
僕はノート否定派で、それにはこれが大きい。
だからMacBookは一生買わないし、
ポメラも不要だ。

僕はタブレットを、スタンドを使って縦置きしている。
それだけで目線が倍上に上がる。

目線の高さは水平やや下が良いという。
これを実現するために、
家ではノートPCを高い台に乗せ、
外付けキーボードという解の人もいる。
僕は家と外で同じ環境にしたいため、
タブレット縦置き、BTキーボードとマウスが、
最小セットだと思う。

あと意外に忘れてるけど、
エディタの「今書いている最新のところ」を、
画面中央にしたほうがいいよ。
エディタ画面の横幅を右から左一杯にするのは、
全体確認のときだけにしないと、
書いてるところが横移動しすぎて、
腰に良くない。

僕は15行程度に横幅を狭めて普段書き、
全画面と使い分けている。
(もともと縦置きかつ縦書きなので、
視線の左右移動も少ない)


11. 機能キーやショートカットを整える

たとえばHomeやEnd、Ctrlカーソル移動、
PgUpやPgDnを使ってない人が使うようにすると、
打鍵効率がよくなる。
たとえば漢字変換中に、
確定のエンターを押さずに次の文字を入れることで確定になったり、
選択のカーソルが遠いからショートカットを使うことで、
打鍵効率はよくなる。

これらがホームポジションに近いキーボードを買ってもいいし、
これらがホームポジションに近くなるような自作キーボードを作ってもいいし、
これらが近くなるようにキーを入れ替えても良い。

日本語は英語と違い、
変換操作を伴う入力だ。
これらの機能キーが手に近いほうがいいに決まっているが、
現行キーボードではなぜかそうなっていない。
それに気づいてないバカが設計しているからだ。

薙刀式ではBSキーをU位置に持ってきて修正しやすくし、
編集モードの導入で各種ショートカット、機能、記号を、
ホームポジションから打ちやすい位置へ変更している。




以上、僕がこの二年かけて工夫してきたことを、
すべて挙げてみた。

どういう人にどう効くか、
人によって異なると思う。
ひとつずつ試し、
参考にされたい。

パームレストやスタンドは数千円、
高級キーボードは1万から3万、
キーキャップは5000円から1万、
タブレットは7万前後、
の価格帯だ。
財布と肉体とで、検討されたい。

あとIMEの変更という要素もあったけど、
僕はMS-IMEを使ってるのでよく知らない。
ATOKやGoogle日本語も、いいかもだ。


また、これらは全て「キーボードで従来のIMEを用いて入力」
を想定した。
音声入力、漢字直接入力(漢直)、
タッチパネル入力(フリック含むデバイス)はまだ試していない。
posted by おおおかとしひこ at 13:55| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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