2018年12月27日

どん底

どん底から這いあがった人は強い。
どん底を抜けた人は、ひとつ成長する。

あなたの主人公は、どんなどん底に落ち、
そして復活してくるのだろうか。


どん底がない物語を考えよう。
それはきっと、
主人公が本気で何かを達成しようとしていなかったり、
最悪の障壁から逃げていたり、
喜怒哀楽が中途半端な物語になっているのではないだろうか。

主人公が本気で何かを達成すればしようとするほど、
障壁は大きくなるだろうし、
どう避けてもその最大の障壁はやって来るし、
そうすれば喜怒哀楽は最大のふり幅を取らざるを得ない。

小成功や小失敗だけでやりすごそうとしてきた、
都合のいい物語は、
このような、
「一番陥りたくない暗黒の穴」
を避けようとする。
それは、作者が、そこから抜け出る方法を思いつかないことと、
表裏一体だと思う。

いくらでもどん底は考えられる。
最悪の事態なんて複数パターン考えられるだろう。

しかし実際にそれを描かないのは、
そこを避けるようにするのは、
そこからの奇跡の逆転劇を、
そこからの内面の成長を、
そこからの駆け上るようなクライマックスを、
描くだけのアイデアやリアリティーにたどりついていないからだ。

そこそこが、主人公の生まれ変わる場所であり、
そここそが、敗北ロードが勝利ロードへ反転する瞬間であり、
そここそが、夜明け前の最も暗い場所である。
人生を振り返ったときに、
「あれが最もきつかったが、
あれを乗り越えたからこそ今の自分がある」
というポイントの筈だ。

どん底を描こう。
そこからの立ち上がりを描こう。
それが物語だ、と言っても過言ではない。

どん底を経験していない主人公の勝利なんて、
ただの表面的な話にすぎない。
自分の人生の参考にもならないし、
テーマなんて見いだせないし、
感情移入にも値しない。


どん底があるから、
起伏、浮沈を計算できる。
これ以上最悪な状況はないように、
各所を計算すればよい。
書いている途中で最悪なことを思いついてそう書いてしまい、
計画のどん底がたいしたことなくなってしまうなら、
さらにどん底をどん底にするように考え、
そこからの立ち上がりもさらに強くするとよい。
思い付けばだけど。

あなたの主人公は、どん底を回避していないか。
前に進もうとおもえば思うほど、
最悪の失敗に陥る。
その沼の底からどう立ち上がるか、
何を得て帰って来るのか、
そこが問われている、
その方法こそが主人公のアイデンティティーになる、
ということを、
考えに入れておこう。

覚悟せよ。
あなたは、
誰もが目を瞑り忌避する、最悪のどん底から、
見事に復活する男(または女)を、
書かなくてはならないのだよ。


そのどん底は、ボトムポイントといって、
クライマックスの前の、第二ターニングポイントの前の、
近くにあるだろう。
120分映画なら、
大体75分から85分あたりにあるはずだ。
posted by おおおかとしひこ at 11:36| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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