2018年12月31日

【薙刀式】配列の習得の仕方のこつ

人によっては二週間でマスターともいうし、
数ヶ月かかることもある、配列習得。

向き不向きはあるものの、
数週間でだいたい打てるようにならないなら、
練習方法が悪いかもしれない。

あいうえお順に覚えていないか?
そんな覚え方は最悪だ。
「頻出文字順」で覚えるのがベターで、
もっといい覚え方は、
「頻出組み合わせ」で覚えるのが良い。


配列を覚えるのは、丸暗記ではない。
運動記憶で覚える。

「あ」はあそこにあり、「り」があそこにあり、
「が」があそこにあり、「と」があそこにあり、
「う」がここにある、
という覚え方をするのではない。
「ありがとう」という一続きを覚えるのだ。

私たちがどうやって言葉を覚えたか、
思い出そう。
思い出せない人は幼稚園児を観察しよう。

人間は、
「その言語を構成する音素を全て把握してから、
言葉を覚え始める」のではない。

ママ、パパ、ブーブーなどの、
「よく使う単語、興味のある単語」から覚え始め、
発音できる音の数を増やしていき、
ある程度言葉を使えるようになってから、
初めてそれらを音素一覧表として、
「整理する」のだ。

「最初に活版印刷の活字をワンセット購入し、
一つずつ選んで使う」というのは、
丸暗記による方法。
それは確実だがとても遅い。

たとえば社会の暗記科目が頭から出てくる速度は、
車の運転でとっさに出来る事よりも、
はるかに遅い。

丸暗記は、私たちが生きる速度より、
かなり遅いのだ。

言葉は生きる速度で繰り出される。
丸暗記で英語が喋れないのはそういうことだ。

丸暗記を呼び出すよりも、
「手元にある使えるセットを組み合わせる」ほうが、
言葉の速度に近い。
カタコトでも伝わるのは、
速度が言葉の速度だからだ。


配列を丸暗記しようとしてはいけない。
それは使えない英会話と同じである。

使える音をまず覚えて、
それだけで組み合わせていって、
あとは使える音を増やしていけばよい。

そのうち、文字一覧表で整理して、
出来ない音をチェックしていくことになるだろう。



これは運動に近い。

脳の記憶の方法には二種類あることが知られていて、
記憶される場所が異なることも知られている。

宣言記憶と手続き記憶といわれ、
前者は丸暗記、後者は運動的、
前者は海馬、後者は小脳や神経系、
といわれている。

あなたが配列をマスターするのに時間がかかっているのは、
丸暗記したのち、
それで運動しようとしている、
二重の手間をかけているからかもしれない。

ブラインドタッチが自在に出来る人に聞いてみるとよい。
「Aの二つ右隣は?」と。
丸暗記しているなら即答だろうが、
ブラインドタッチしている人ほど、
即答できない。
指を動かして、ああDか、とわかる。

これが、配列を覚えることが、
宣言記憶でなく手続き記憶で覚えている証拠だ。
運動記憶なので、運動しないと出てこないという欠点を持つわけだ。
しかし脳の判断を必要としない、
小脳や神経系の記憶なので、
「無意識に打てる」のである。

配列習得は、頭の中で配列図を思い出せるようになることではないのだ。


無意識に反応できるように記憶するには、
毎日の反復が重要だ。
家から駅の道は、もはや無意識になっているだろう。
いちいちどこの角で曲がるか意識しなくても、
無意識の回路として出来上がっている。
これは反復による効果だ。

駅から家までの道を書いてください、
と言われても咄嗟に出てこないだろう。
手続き記憶を宣言記憶の状態に変換することは、
意外と難しい。
逆も同じくで、代表的なのが英会話だ。


あなたの配列習得は、違う場所に記憶したものを、
違う場所で使おうとしている困難が生じているかも知れない。
それは、練習方法が間違っているのだ。


運動記憶としての練習方法は簡単だ。

合理的な配列ならば、
中段キー(ホーム段)も最も使う。
まず中段キーの10(無理なら8でもよい)をマスターする。
それも、得意な指からだ。
薙刀式では右人差し指に「あ」がある。
次に得意な指を。薙刀式では右中指に「い」だ。
この二つで言葉を作る。

愛、いあ、あいあいあい、いあいあいあ

まあ大した言葉はできない。
しかし人にとって最も大事なことば「愛」をここで覚えられるのは、
薙刀式が「物語を書く」ことを第一の目的としたからだ。

次は右薬指「う」、左人差し指「か」あたりかな。

愛、会う、言う、赤、会、買う、うかうか

などを作ることができる。
配列によるだろうけれど、
とても原始的な言葉が作れるだろう。

私たちは赤ん坊のころからの、
言語習得を再現しているのだ。
幼児が50音から始めないように、
原始的な組み合わせからはじめるのだ。

この要領で、中段キーを全て覚えて、
中段キーだけの言葉を作るとよい。

次に上段を覚え、
上段だけで言葉を作り、
次に上中段で言葉を作り…
と、順次増やしていく。

優秀な配列ほど、
学習の初期の方に、
原始的で強い言葉があるべきだと僕は思う。

そう思わない配列もあるから、一概には言えないが。


で、
下段、シフト文字の中段…と拡張していく。
例外的な特殊シフトもあるだろうから、
それはそれで覚えていく。


こうすれば、
「全部フルコンボしたわけではないが、
遅まきながらも簡単な言葉で書ける」
ようになるのに、
早くて一週間、遅くても二週間で到達すると思う。

これを「マスター!」と言う人もいる。
「英会話をマスター」の基準をどこに置くかと同じで、
カタコトでも意思が通じればマスターと考えてもいいし、
ネイティブほどいかないとマスターと言わない人もいるだろう。


あなたが配列習得に半年以上かかっているのは、
ネイティブクラスに使えないとマスターと判断せず、
かつ間違った練習方法をしている可能性がある。

運動記憶でカタコトで進めていく、
という基準にすれば、
毎日20分程度で、一ヶ月もあればいけると思う。

(初日だけは丸一日取ってください。
うまくいくと、初日だけで単打文字全部ぐらいまでいけるかもなので、
その配列のいいところを味わえる。
快感の記憶がないと最後までなかなかいけなくなる)


カタコトまでいけば最高で、
あとはやればやるほど増えてスムーズになっていく。
半年もたてば、ネイティブになる。



配列は記憶ではない。
感触とか運動だ。

RTC2018(日本最高峰のタイピング大会)の、
トップタイパーの打鍵をみると良い。
これが丸暗記の脳から毎回引き出されているわけがない。
明らかに条件反射的だ。

条件反射の運動記憶として、
タイピングはある。


つまりタイピング、配列習得はスポーツである。
配列習得は、フォームのマスターが一番近い。
posted by おおおかとしひこ at 15:01| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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