2019年01月01日

次に書くシーンは、誰も教えてくれない

構成理論に対する勘違いは、
ここにあるのではないか。


構成理論を一通り勉強すると、
自分でも書けそうな気になってくる。
ちまたの脚本入門書は、
「ぼくでもかける!」と思わせてお金を出させるから、
必要以上に書けそうに思わせる。

しかし構成理論は、
あくまで骨格の、一部の関節を規定するだけだ。

背骨を想像しよう。
いくつ関節があるだろうか。
構成理論はそのうち、
「肩関節と股関節はここ」
というようなことを言っているにすぎない。

細かな関節は何も予言しない。
大体のシルエットしか言っていない。

構成理論は分析には万能だけど、
書く者には中途半端な理論だと思う。

つまり構成理論は一種のセミナー詐欺だ。
今からすごいことを教えます、
使いこなせるかどうかはあなた次第です、
といって高額の金をとって逃げていくやつだ。

ぼくはお金を取らない。
ここはボランティアでやっている。
だから「きみもかける!」なんて甘い嘘はつかない。
「あなたが書く以外、誰も進めてくれない」
というほんとうのことを書く。


次に何を書くべきか?
それは誰も教えてくれない。

自分で解決しないかぎり、解決できない。

ヒントはある。
「今までの流れ」だ。

今までの流れからして順当に続くのを、順目という。
今までの流れからして意外な展開を、逆目という。

そして、今まで順目できたのか逆目できたのか、
という更に大きな流れもある。

それが決めるかもしれない。

今、予測を裏切ったほうが面白いかな。
今、期待に応えるほうが面白いかな。

今どっちかは、動物的なカンで決めなさい。
そのカンは、経験と才能でしか磨かれない。


ずっと逆張りするバカは、中身がないと見抜かれる。
ずっと順当にしかしないやつは、詰まらないと言われる。

どうやったらドキドキして、
ワクワクして、
夢中になって、
心が翻弄されるか、
そしてどうやったら落ちへ向かえるか、
必死で考えるのだ。

落ちが決まってないのに、
どこへ向かうかなんてわかりっこない。
落ちも決めずにスタートするのは、
嵐に羅針盤なしで船を出すことだ。
迷走して大破するに違いない。


構成理論が役に立つのは、
「先に落ちを決めろ」というただ一点ではないかな。

最初は第一ターニングポイントすげえ、
とかってなるけれど、
その前後に何をすればいいかなんて、
自分で思いつくしかないからね。


何回か書けば、
第一ターニングポイントや第二ターニングポイントらしきものは、
自然に書けるようになってくる。

何回書いても、
次に書くべきシーンが何かは、
いつも分からなくなる。


僕は、
ただ必死に、
登場人物の目的と、
現在の状況を整理して、
順目の展開と逆目の展開を考えて、
直近の目的地とちょっと遠くの目的地と、
最終目的地を眺めて、
面白そうなやつを思いつくまで頑張るだけだ。


順目と逆目しかない。
それだけを考えれば、
次に書くべきシーンは、どっちであるべきか、
集中しやすいかもしれない。
posted by おおおかとしひこ at 08:23| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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