周りは万全のお膳立てだったのに、
真ん中が全然ダメだった。
映画としては中の下か下の上どまり。
以下ネタバレ。
往年のファンとして泣き所たくさんありましたよ。
ロッキーが「お前の時代だ」って最後拳(利き手)でタッチして、
座ってしまう、という引退シーンも泣いた。
ドラコが「あの体育館」に帰ってきたときも鳥肌が立った。
あのドラコの嫁(スタローンのリアル嫁だよね)が帰ってきたのも良かった。
でも、それだけだ。
これは、ロッキーとドラコの物語であるべきではない。
アドニスの物語であるべきだ。
アドニスって名前すら覚えてないぜ。
ドラコの息子は名前すら覚えられなかった。
「Zガンダム」で、
カミーユよりもアムロとシャアが目立ってしまったように。
「キン肉マン二世」で、
万太郎よりもラーメンマンが目立ってしまったように。
二世よりおっさんが目立つべきじゃないんだよ。
それが失敗の、大きな原因だね。
脚本論的にいうと、
動機の弱さが致命的だ。
「お前が親父を殺したんだ!
なんで壁に写真なんかかけてんだ!」
と、アドニスとロッキーは感情的に決裂するべきだ。
「俺はクリードかも知れないが、
その前にアドニスだ!」
という場面を見たかった。
シリーズをなぞるだけのものになってしまっていて、
アドニスオリジナルのストーリーが全然なかった。
一方、
ドラコ親子は最高だった。
彼らが主人公であってもいいとすら思ったよ。
母に捨てられた感じ、
試合の途中で帰られてしまった感じは最高だった。
彼が主役ならば、
母不在のまま勝利する場面だよね。
自立を意味するシーンとしてね。
ドラコとロッキーの、
レストランでの対面の場面。
「俺にとっては昨日だ」
というドラコのセリフは最高だった。
この凄まじい動機の強さ。
これに匹敵する、
あるいは勝る、
アドニスの動機がなければ、
彼は主人公とはいえない。
「俺にとっては昨日だ」に対するセリフが、
「What's your name?」「Creed!」
「What's your name?」「Creed!」
では、
やっぱり弱いね。
前作の「I'm not a mistake」に匹敵する、
いや、凌駕するほどのものがない限り、
今作は続編たり得なかっただろう。
娘が耳聞こえない程度じゃ、
逆境としては足りない。
物語は動機である。
お前はなぜ戦うんだ?
に対する、
明確な答えがない限り、
戦う物語は物語たり得ない。
続編で、
ドラコ親子をやるつもり?
タイトルは「DRACOS」かな。
ちょっと見てみたい。
彼らが死ぬ気になる物語は、
今回のぬるさを突き抜けてくれるだろう。
敵はMr. Tの息子ですかね。
2019年01月13日
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