伏線とは、ミスリードからのどんでん返しなどの、
大技にだけ使うものではない。
むしろ、目立たないように、ストーリーをスムーズに行かせることに役立つ。
雨が降るシーンがあれば、
事前に曇り空を映しておくとか、
天気予報を映しておくとか、
「まさか雨なんて降らないだろう」と前に言わせておくとか。
そういうことを仕込んでおくだけで、
雨が降ったときに、そういえばそうだと思ったんだよな、
と思わせることが出来る。
つまり、
雨が唐突な点であったものが、
ひと工夫するだけで線になるのである。
伏線は難しいテクニックのような扱いがあるようにおもう。
全く難しくない。
次来るものを、上手に前振っておこう、
というだけに過ぎない。
簡単なものは、直前の伏線である。
「押すなよ!」だって立派な伏線である。
(次に押せば)
ワンシーン挟んで伏線が生きるようになると、
なかなかの達人に見える。
数シーン飛んで伏線が生きるように作ると、
その伏線が効果的に記憶されていれば、
「ああ、あれの!」という展開になるだろうね。
開始当初の伏線が、最終的に回収される、
最も遠投が、みんなの大好きな伏線とどんでん返しだろうけど、
そこまでやらなくても、
伏線というのは、いくらでも作れるのだ。
どうも展開が唐突だなあ、と感じたら、
自然な展開をいくら考えてもうまくいかないのなら、
前のシーンに伏線を置いてみてはどうだろう。
それを利用して、ストーリーは加速することができると思うよ。
次に何が来るのか、作者は分っている。
しかし次に何が来るのか観客は知らない。
その差をうまく利用するのだ。
作者が知りようがないものは、そもそも伏線にも出来ない。
伏線とは、すべて分かったうえでの、技巧だということが分る。
伏線など張らずにライブ感で描くものには、
このようなストーリーの技巧が見られない。
だから唐突だし、辻褄が合わなくなり、破綻する。
破綻しないストーリーとは、
次に何が起こるか作者が分っていて、
観客は分っていなくて、
その差を上手に伏線で誘導出来ているもの、
というように定義できるかもしれない。
2019年01月23日
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