2019年01月23日

次使うものを、つねに伏線で張っておく

伏線とは、ミスリードからのどんでん返しなどの、
大技にだけ使うものではない。
むしろ、目立たないように、ストーリーをスムーズに行かせることに役立つ。


雨が降るシーンがあれば、
事前に曇り空を映しておくとか、
天気予報を映しておくとか、
「まさか雨なんて降らないだろう」と前に言わせておくとか。

そういうことを仕込んでおくだけで、
雨が降ったときに、そういえばそうだと思ったんだよな、
と思わせることが出来る。

つまり、
雨が唐突な点であったものが、
ひと工夫するだけで線になるのである。


伏線は難しいテクニックのような扱いがあるようにおもう。
全く難しくない。
次来るものを、上手に前振っておこう、
というだけに過ぎない。


簡単なものは、直前の伏線である。
「押すなよ!」だって立派な伏線である。
(次に押せば)

ワンシーン挟んで伏線が生きるようになると、
なかなかの達人に見える。
数シーン飛んで伏線が生きるように作ると、
その伏線が効果的に記憶されていれば、
「ああ、あれの!」という展開になるだろうね。

開始当初の伏線が、最終的に回収される、
最も遠投が、みんなの大好きな伏線とどんでん返しだろうけど、
そこまでやらなくても、
伏線というのは、いくらでも作れるのだ。

どうも展開が唐突だなあ、と感じたら、
自然な展開をいくら考えてもうまくいかないのなら、
前のシーンに伏線を置いてみてはどうだろう。

それを利用して、ストーリーは加速することができると思うよ。


次に何が来るのか、作者は分っている。
しかし次に何が来るのか観客は知らない。
その差をうまく利用するのだ。


作者が知りようがないものは、そもそも伏線にも出来ない。
伏線とは、すべて分かったうえでの、技巧だということが分る。
伏線など張らずにライブ感で描くものには、
このようなストーリーの技巧が見られない。
だから唐突だし、辻褄が合わなくなり、破綻する。

破綻しないストーリーとは、
次に何が起こるか作者が分っていて、
観客は分っていなくて、
その差を上手に伏線で誘導出来ているもの、
というように定義できるかもしれない。
posted by おおおかとしひこ at 14:41| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。