2019年01月27日

昇華(「神さまがくれた娘」批評)

インド映画。
ハリウッド映画の「アイアムサム」を翻案したもの。


単純に口コミで見始めたのだが、
途中で「アイアムサム」に似てるなーと思い始め、
裁判所の廊下の数段の階段で転ぶところで、
思わず再生を止めて調べてしまった。
公式に翻案してるそうな。

ということは、
これは「同じ設定の異なる物語」
として楽しむことになる。

結論から言うと、
インドならではの、人のあったかい感じがよく出ている映画になっている、
と感じた。

両方を比較することも脚本の勉強になるので、
この名作二本を是非比較してほしい。

自分だったらどうするだろう?と考えるのも良い。




以下ネタバレ。




大きな構成が、こちらのほうが巧みだと感じた。
インド映画特有の長さにもあっている。

最初は変人コメディからはじめ、
ひと騒動あってから、
長い長い回想をはさみ、
たっぷり感情移入させたうえで、
現在に戻ってくる。
トップシーンの意味がわかったところで、
「私たちは、娘を取り戻さなければならない」と、
センタークエスチョンを示してインターミッション。

この前半戦の構成が巧みであった。

父娘の交流が、
元のものよりたっぷり描かれていて、
インド特有の感情もろだしの感じがよかった。
お話をつくるところもとても良くて、
ここはインドオリジナルだろうなあと。

IQテストの医者の買収のところが最高で、
これも多分オリジナルだよね。

裁判劇自体は大して面白くないからか、
色々な工夫をしてはいたが、
やや中弛み感があったかな。


しかしラストが凄かった。
ハリウッド版もそうだったっけ。
近くに暮らすみたいなオチだったような気がするが、
あんな田舎に引っ込んでしまっては、
二度と会えないではないか、
と心配してしまう。

しかし、「月経由で話をする」と言う伏線を巧みに使った、
月バックの後ろ姿に、
なんだか希望を暗示させて、
それがすごくよかったなあ。


設定は同じ。
キャラクターも事件(祖父による親権裁判)も同じ。
サブや構成が大きく異なる。

この二本を比較して論じるのもなかなか一興だ。
表にして比べると発見があるだろう。


僕は、インド人特有のアホさや明るさや暖かさが、
この映画の救いになっていたと思う。
いつかタミル地方に観光にいきたい。
posted by おおおかとしひこ at 18:02| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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