2019年01月29日

トラブルバスター

どんなことも一発で解決する、
凄腕のトラブルバスターも、
ひとつだけ解決困難なことがある。
自分自身の問題だ。


これは二つの要素を持つことになる。

・無能無知ではなく、行動力があり、問題解決能力が一通りあること
・しかし全知全能ではなく、弱点を持つ人間味があること

この相反する二要素の間で、
ドラマが作れるわけだ。

「どんなことでも解決できる特殊部隊の軍人が、
赤ちゃんの世話?」なんかはその典型。
ハリウッドで好まれるパターンだ。

前者の要素がないと、
問題解決能力のないヘタレが、
右往左往するだけになる。
それでは大きな事件の解決を実行できるはずがなく、
ストーリーのスケールが半径2メートルに収まってしまう。

小説など内面重視のものには向くかも知れないが、
映画は、画面のスケールが話のスケールになる。

カメラを向けた対象の大きさが、
単純に大きさになるわけだ。

たとえば、人間関係のことをただ描くにしても、
家の中やオフィスでやるよりも、
南極でやるとかにしてしまうのが、
映画というものの醍醐味である。

そのために、主人公を南極観測隊にしてしまえばいいわけだ。


後者の要素がないと、
人間ドラマにならない。

出来ることをただやるのは、
ドラマではなく処理とか日常とか仕事である。

ドラマとは、出来ないことを成し得る時に起こる。

ハイジが立ってもドラマにならない。
クララが立つから、ドラマになるのだ。

クララの場合、「立てない」という器質から始まっているが、
具体的には心の問題(恐れ)であった。

つまり、ドラマとは、
恐れや恐怖や心配を、
どう乗り越えるのか、
ということを描くことである。

ただの無謀ではなく、確信を持った下準備だけでもなく、
勇気と関係があると思う。

ハイジは何かを乗り越えたっけ。
あんまり覚えてないや。



さらにもうひとつ。

・そのトラブルバスターの特殊能力で、
個性、オリジナリティをつくれること

軍人、長距離ドライバー、ボクサー、
どんな鍵でも開けられる、ピアニスト、
相場師、占い師、詐欺師、教師、科学者、
などなど、
古今東西の特殊能力が対象になる。

あなたが詳しいジャンルを描いてもいいし
(部活モノはとくに経験した部活を描くことが多いよね。
少年スポーツ漫画は大体そうだ)、
全く知らないジャンルを取材しながら書いてもよい。

面白ければどちらでもよいだろう。


なんでも解決するトラブルバスターが、
ひとつだけ解決できない事件。
それは自分自身の問題だった。
そしてそれを、どう乗り越えたか。
その乗り越え方が、その作品のテーマになる。
posted by おおおかとしひこ at 09:20| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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