2019年02月10日

シャマランは低予算でもシャマラン(「ヴィジット」評)

アンブレイカブルシリーズの完結に感動して、
見てなかったやつをみた。

低予算にしては傑作だが、
ミスターガラスを見た後だと、
まあ低予算だなあという感じ。

しかしシャマランの特質は、
巧妙な伏線と解消だと考えると、
このパズルのような脚本技術はすごい。

以下ネタバレ。





すべてはクライマックスのためにあった。

「あなたを許す」と特効薬(エリクサーの訳語としては微妙)
を撮った姉のあと。
ここからがすごい。

僕はずっと、
怖がらせる爺さん婆さんは釣り餌で、
母の浮気相手が存在しなかった、
という狂気のどんでん返しを想像していた。
しかしそう来たか。

どっちが現実でどっちが狂気なのか、
その対比のさせ方がうまいなあ。


弟の、
タックルに行けず棒立ちして父に出ていかれたと、
信じているトラウマ。
そして菌が嫌いだという伏線。

これらがタックルへ結実する様は、
ものすごくうまいと思った。

それが成長譚にきっちりなっている。

そしてまさかのエンディングにラップ。
これも伏線があったからこその笑いだ。


伏線はこっそりでなく、
印象的にしなけれぼならない。

棒立ちのトラウマも、
心に染みるエピソードとして使われていたからこそ、
クライマックスで理解が早い。

伏線の手本のようなものだ。


ああ、それにしてもオムツ攻撃は、
映画史上に残る最悪の攻撃だな。

「小屋に溜まったやつを焼く」っていうワードだけで、
その恐ろしい匂いを想像させておいての、
伏線が効いていた。

「ラストナイトだからゲームをしよう」
っていうやや狂気からのブリブリブリの、
間の悪さがほんとうにすごい。


なにもかもが、
パズルのようにはまっていく。

そういえば爺さん婆さんと母はスカイプで話していない、
ということに気づいた時の恐怖。


たとえ低予算でも、
このような脚本技術の妙を堪能できて、
素晴らしかった。


トータルでは低予算乙でしかないが、
脚本技術が光る拾い物でした。
ハプニングより全然良かったね。


シャマランは、

1. アンブレイカブル
2. ミスターガラス
3. ヴィレッジ
4. サイン
5. スプリット、シックスセンス

を見とけば十分じゃないでしょうか。

ワースト エアベンダー、ハプニング、レディインザウォーター
posted by おおおかとしひこ at 15:57| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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