2019年02月14日

冒頭の役割

オープニングからストーリーに入り込むまでを、
とりあえず冒頭ということにしよう。

せいぜい2〜3シーンであるべきだと僕は考えている。
4や5は多いな。
理想は1シーンで全部うまくいくのがいい。

だが、冒頭部に課せられた役割は、
よくよく考えると過酷なまでに難しい。


冒頭にあるべきことは、
大体以下のようなことだ。

1. 落ちへの前振り(枕)
2. 「いつ、どこで」を含めたベースの世界観
3. 興味の惹かれる何か(ツカミ。驚きとか笑いとかエロとか)
4. 非日常感(普通と同じだと3と相反する)
5. 主人公の大枠
6. 興味ある事件の発生(それはセンタークエスチョンの導火線であること。
センタークエスチョンと関係ない事件が起こっても続かない)
7. ムードやジャンルを雰囲気でわかること
8. テーマのイメージが冒頭に示されていると良い
9. 変化する前の世界が提示されていると良い
10. 最初はざわざわしている観客を、しんとさせる何か
11. 一体何が起こっているのか?この先どうなるのか?
という焦点の発生
12. 出来るならば、主人公自身への興味または感情移入
(共感ではない。もちろん共感を伴っても良い)


ぐらいかなあ。

ついでに、映画の短さで終わらせずに、
長大なシリーズものにするなら、
全体のイコンとなるトップカットからはじまるのが理想だろうね。


さあ。

なんと難しいのだろう?
これだけの要求を満たす2ないし3シーン書ける?

どんなストーリーでも、
初手からこれを書けたらいつでもプロになれるぜ。

大抵は、何かが足りない冒頭を第一稿で書いてしまうだろう。
そして、ああでもないこうでもないと、
順次リライトせざるを得なくなってくる。

(そしてその時に、全てを満たす冒頭を書けずに、
どんどん崩れていくのだ)


これだけの情報量をひとつずつ克明に示していたら、
とても複雑なよく分からないものになる。

全てをシンプルなワンアイデアのもとに表現する出来るのが、
最上の冒頭だ。

最上ではないものは、
何かは足りない場合が多いから、
ある程度ツカミが成功したら、
あとあと追加していくことになるだろう。

全ては克明に描けない。
だからシンプルで類推可能なものや、
最低限のものに冒頭を絞って行く。

冒頭にごちゃごちゃあるのは失敗だ。
理想は3分程度のワンシーンで没入できるのがいいだろう。
あるいは5分程度のワンシークエンスが次善かもだ。


そして当たり前だけど、
練りに練ったオープニングが、
本編中最高の出来にならないように。

ストーリーは、
オープニングを基準に、
それ以上どんどん面白くなって行き、
クライマックスで最高になるべきだ。



冒頭は、ほんとうに難しい。
これを初手からやるのは無理だ。

何度も何度も失敗作をつくって、
次第にうまくなるしかない。
posted by おおおかとしひこ at 17:16| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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