とりあえず、Column-Staggered(縦千鳥)には合わないだろう。
物理配列には、おおきく主流の3つがある。
Row-Staggered(横千鳥)
Column-Staggered(縦千鳥)
Outhogonal(格子)だ。
横千鳥は、つまり横の行(タイピング的には段という)が、
横にずれているやつ。
タイプライターからの伝統のやつだ。
(なぜずれたかは明らかになっていて、
キーの下にハンマーのアームがあって、
それらが段ごとに干渉しないように横にずらしたのだそうだ。
そんなアームなくなって何年経つんだよ!)
僕はこの左の傾きで左手が腱鞘炎になったようなもので、
親の仇のように憎い。
Q段とA段のズレが1/4U(Uは1キーの横幅の単位)のくせに、
A段とZ段のズレが1/2Uというのもむかつく。
JP配列で狭い範囲にキーを収めたキーボードなどでは、
A段とZ段のズレが1/4Uというやつもたまに見る。
代表的なのはhhkbJPで、
これがゆえにhhkb信者からは別物扱いされてるらしい。
変形版に、
左手側も右手のように内側にずれるべきだ、
とするハノ字型横千鳥(小太刀48)、
上段下段とも外にずれる楔形横千鳥(Treadstone)、
などがある。
このふたつは触ったことないので、ぜひ触ってみたい。
ふたつめは縦千鳥と訳語をつけてみた。
Staggerが(殴るなどして)ふらふらにさせる、
という意味なので、千鳥足の訳語は妥当かと。
縦千鳥は、長い中指担当のキーが縦方向(正面から見て上)にずれ、
短い小指担当のキーが正面から見て下方向にずれているものをいう。
しかし薬指に問題があると僕は考える。
男性はテストステロンの影響で、
人差し指<薬指の長さの人が多いが、
女性は逆であるという。
薬指担当のキーのずれを中指側に近づけるか、
小指寄りに近づけるかで、男性向け女性向けと、
物理が別れてしまうことになる。
残念ながら自作キーボーダーに女性が少ないため、
このへんの検証は出来てなくて、
「とりあえず俺が使えるからええやろ」の段階だ。
是非女性の方は縦千鳥を使ってみた感想を教えてほしい。
この変形版に、
指の放射状に縦方向を沿わせるものもある。
TRONキーボード(μTRONではなく)、
その直系であるエスリルキーボードが代表的か。
格子配列は、
幾何学的に美しいので、量産できるのが利点かも知れない。
僕はとにかく横千鳥が嫌だったので、
縦千鳥か格子のキーボードを使ってみたかった。
少なくとも左右対称をやってみたかった。
で、縦千鳥を去年夏のMaker Fairで触れた。
この時の感触でいうと、
薙刀式は縦千鳥に向いてないと感じた、
というのが本題。
薙刀式は片手のアルペジオで連接を打つことを意識している。
これが縦千鳥と相性が悪い。
上段中段下段が縦にずれていると、
空間認識を誤りやすい、と感じた。
私たちは平行な地面に立っている感覚で、
空間を把握していることを感じた。
その地面がずれているのは、
アルペジオで渡りづらかった。
たとえば小指下段→薬指中段が、おおきく距離が空いてしまう。
色々なキー間の距離感が全然変わってしまったので、
縦千鳥の色々なアルペジオが違和感があった。
(慣れが解消する可能性は0ではない)
左右交互打鍵重視の、行段系や新JISや月系列ならば、
縦千鳥でも気にならないかもしれない。
新下駄や飛鳥のように、連接が片手アルペジオにあるようなやつも、
縦千鳥は合わないかもなあと予測される。
今のところ自作キーボード×配列沼の人はあまりいないので、
そのへんの知見が流通してないけれど、
今後は増えるといいなあ。
もちろん、この三大物理配列以外にも、
3Dの配置や、
そもそも「人差し指に6個担当、中指以降に3個担当」
の法則を崩した物理配列や、
キーの大きさを一定にしない物理配列だってあり得る。
四角じゃなくて、三角や六角形でもいいかもだ。
なにも、行と列の整理に拘ることもないだろう。
フットペダルや手のひらキーなどの別のキーもあるだろうし、
ジョイスティックやフリックなどの別デバイスもあり得るわけだし。
そうしたときに、なお薙刀式が有効とも思えない。
その時はさらなる最適化が現れるかも知れないね。
とりあえず薙刀式は、
片手アルペジオが両手ともやりやすいキーボードが、
いいと思います。
配列屋さんはみんな自作キーボードやればいいのに。
僕より詳しいエンジニアいっぱいいるだろうになあ。
左手は右手より不器用ということもあるのか、
僕はなかなか左手の腱鞘炎、
尺側手根屈筋(まさに旋回させるための筋肉)が、
治らない感じでした。
右手の旋回は、デフォルトキーボードだと、
エンターやBSで使うこともありますね。
僕はこれを真っ先に不合理だと思ったわけです。
もちろん人によって旋回が得意
(新下駄の作者kouyさんは左手が得意と証言)
な場合もあるでしょう。
問題は、それがどのような機構で動いているのか、
解剖学的なアプローチがなされておらず、
人による対症療法、いわば民間療法に委ねられている、
という危険です。
(親指シフトの猫の手は、僕には合わなかった)
自作キーボードでは、沢山の物理配列が提案されています。
気になるレイアウトがあれば、イベントに出席して、
触ってみると知見が得られますよ。