2019年02月20日

ストーリーが権力争いの場になっている

うちの若手が、ヘンテコな編集をさせられていた。
とあるCMの再編集。

タレント事務所「登場カットでアップにしてほしい」
プランナー「困ってる顔にしたい」
そんな絵は撮影していない。
プロデューサー「わかりました。若手に検証させます」

別シーンの困ったアップ顔をインサート(繋がるわけがない)
別角度のアップ(イマジナリラインを超えるので繋がらない)
ロングの絵をブローアップ(拡大率が大きすぎてボケる)
などなど、やる前から失敗とわかる編集をさせられていた。
「ほら、手がないでしょ?」というためだけの14タイプ編集。

バカなんじゃないの?
みんなで集まって繋ぎながら議論しなよ。
なんで全ての連絡がメールで飛び交って、
若手は一人きりで、命令された編集をやって、
出来たらメールで転送してんの?

若手は学ぶチャンスがなく、一人で部屋にこもって、
心を病んでいくだけじゃんか。
このバカバカしさに。

これは、映像分野だけの問題ではない。
事件は現場で起きてて会議室で起きてないのは、
00年代までだった。
今事件はネットワークでの一方通行で起きている。
一方通行だから、それが「どれだけ自分の意見が反映されたか」
の権力闘争のパワーゲームになる。

全員が編集室に集まれば、
「そんな編集あるわけないじゃないですか」
とその場でつないで見せ、撮影された素材を全部見ることも可能だ。
その場で議論して、ベストの結論を探せばいい。

一番悪いのは、撮影した監督に編集させず、
言うことを聞く若手に投げた(しかも遠隔で)、
反抗して仕事を失うことを恐れているプロデューサーだ。

僕は焼きそばパン野郎
(三年生に焼きそばパンを買ってこいと言われ、
一年生に買いに行かせるやつ)と呼んでいる。


いま、日本のビジネスを潰しているのは、
こうした野郎どもだ。
現場と上を合わせて会議を設けさせるのも、
間に立つものの仕事であるべきと、
上に教わっていないのだな。

こうして、意思疎通のないまま現場は進んで、
おそらくは崩壊する。
posted by おおおかとしひこ at 13:24| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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