前記事のつづきのこと。
挫折の原因のひとつは、これにあるのではないか。
物語とは変化である。
それももとに戻る可逆的変化ではなく、
おこった出来事に影響をうけ、
元に戻らないぐらいの劇的変化を描く。
影響を受けるだけではなく、
影響を与え、互いに影響しあうわけだ。
これによって、
ストーリーが始まる前とはまったく違う、
人格、性格、人間関係、世界の在り方、価値観が変容すること、
しかも全く元に戻らないようになることが、
物語の結末であり、その意味である。
ということは、
元に戻らない変化をどう作るのか、
ということが物語を書くことである、
と言っても過言ではないだろう。
変化は不安で、怖いものだ。
どうなるかわからないから、
なるべく元に戻りたい。
本命に振られるのが怖いから、キープをつくる、
みたいな心理だろう。
この恐怖に耐えられないから、
物語を前に進めることができなくて、
挫折に至るのではないか、
というのが本題である。
人間関係が壊れるのが怖くて、
告白できない、みたいな心理だろうか?
なにも現実ではないのだ。
やってみればいいではないか。
そのときに違う方向にいってしまったな、
と感じたら、
その前に戻ってリライトすればいいんだよ。
壊れるのが怖いから、時間を前に進められない、
できるだけこのままでいたい、
なんて思うから、
ストーリーはちっとも進まずに、
トンネルに入らない状態で、
ずっとキープがかかっているんじゃないか?
物語は起伏である。
変化の起伏である。
もう元に戻れなくなると知って、
ゴールを目指す冒険だ。
もちろん主人公は、それを知ったうえで、
冒険の旅に出る決意、宣言をしたうえで冒険に出る。
それが第一ターニングポイントであることは、
すでに多少の勉強をしたら知っているだろう。
それはストーリーが始まって、
わずか1/4のポイントであることも、
知っているだろう。
あとは、元に戻れない海を、
ずっと泳ぎ続けることに等しいのだ。
変化を恐れて冒険しないのは、
第一幕にとどまりつづけ、
物語が始まらないことを意味する。
恐がる女が、冒険を怖がり、
トンネルを抜けようとしないのだろうか。
これは女差別だろうか、僕はわからない。
変化を恐れるな、
なんて通りのいい結論になるのは、
あんまりおもしろくないね。
変化にはリスクがある。恐怖や不安もある。
リスクを取ってその先を描き、
その冒険を成功に導くのが、
あなたの仕事なんだよね。
だから第一幕は大事なんだ。
そのリスクをいとわないくらいの、
動機を描く必要があるからね。
モチベーションのない人が、
変化の恐怖を乗り越えて、冒険の旅に出るはずがないからね。
もう元に戻れない。
それを覚悟で、よっぽどの理由で、賭けに出る。
そしてそれを成功させる。
物語というのは、
バーチャルでそれをやり遂げることだ。
2019年02月23日
この記事へのコメント
コメントを書く