2019年02月26日

とてもいいキャッチコピー

僕は普段色んなものをクソ扱いしているが、
それは世の中には良いものよりクソが多いからだ。
良いを良い、クソをクソと指差しているに過ぎない。

地下鉄で、すごくいいキャッチコピーを見た。


いまが、未来の始発です。東京メトロ



丸ノ内線に新車両が登場する広告で使われている。

正直、ドラえもんを使ってるのはダサい。
ドラえもんを未来の象徴に使うなんて、
21世紀に入った瞬間まででしょ。
20年遅れのセンスだ。
丸ノ内線をイラストにしたビジュアルデザインと、
全然あってなくていけてない。

ボディコピーはどうでもいいスペックの羅列で、
とくに丸ノ内線使用者じゃない僕にとっては、
どうでもいいことだ。

しかし、
最後にひとつだけ企業コピーのようにロゴについたキャッチコピーがあって、
そこの数センチの部分だけ、
光り輝いていた。

ああ、メトロを利用するっていいなあ、
と気分が良くなった。

僕はこの一文だけで、
一生メトロのことが好きだと思うよ。


ただ、
公式ページを見ると、
メトロのショルダーについてるのは、
相変わらず「すすメトロ!」という、
箸にも棒にもかからない、
愚にもつかないどうでもいい企業メッセージで、
なんと志が低いのだろうとため息が出た。


「いまが、未来の始発です。」は、
あと100年企業スローガンとして使える、
名コピーだと思う。

短く、上手いこと言ってて、
鉄道ならではの言い方で、
しかも希望に溢れている。

広告のコピーというのはこうでなくてはいけない。


ただ、
これから続々と新サービスが登場しないとしたら、
この名コピーも絵に描いた餅になってしまう。

コピーの温度感に比べて、
企業体質が付いてきてないのなら、
このコピーは役目を果たせないかもしれない。


で、気になって公式ページを見ても、
このキャッチはキャッチとして使用されてなくて、
「まもなく、丸ノ内線に未来が参ります。」
というただのダジャレになっていて、
志の低さに転げ落ちた。
CMもダサい。

新車両が闇のレールを走って、
銀座駅に到着するだけのワンカットで十分だろう。
ドラえもんを使うのは全く意味がないし、
高い金を払う意味もない。

しかも僕が感動したキャッチコピーが付いてこないときた。



ここからは業界人なりの文脈の読み方だが、
ポスターに件のコピーを入れたのは、
このコピーが気に入った人の意地だろう。

「まもなく…」なんていうどうでもいいダジャレ
(パロディとダジャレは、同じレベルの低さだ)
は、人目をひくだけのクリエイティビティはない。

メトロの広告はずっと前からレベルが低いが、
今回のキャッチコピーだけは感動した。


このキャッチで、出来ればなにかのシリーズを作ってください。
メトロがどう未来を作ろうとしているのか、知りたい。

広告は、希望を語り、人々を元気付け、
未来を明るくするべきだ。
(ハッタリだと困るけどね)
posted by おおおかとしひこ at 01:47| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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