2019年03月07日

【薙刀式】自作木製キーキャップ

薙刀式はスペースキーをシフトに使う、親指シフト系の末裔だ。
だから親指キーはよく使う。
ふつうのPBTだと固くて指が痛くなるので、
柔らかい木材、チークを削り出して自作キーキャップを作ってみた。
miniAxe_cheak_Thumb1.jpg


チークは、柔らかいから加工しやすい。
しかも樹脂がしみだしているので、
表面がしっとりしていて、蝋のような手触りをしている。
硬いPBTに比べ、
柔らかく衝撃を受け止めてくれるだけでなく、
やすりで表面を均すと滑りもよくなる。
手の油の吸収もよい。
水には強くないが、
そもそもキーボードに水は厳禁だから気にしないことにした。


僕のキーボード、miniAxeは平らな設計なので、
親指の角度に合うようにななめに削る。
しかも、親指を置いたときに凹型になっていることが理想だ。
miniAxe_cheak_Thumb2.jpg

粘土で最初はつくろうかと思ったが、
木材で出来そうだと思い、つくることにした。




以下、そのビルドログ。


東急ハンズで、
チーク材を買ってくる。
厚み5ミリ、幅20ミリの細長い板が手に入った。
これをのこぎりで約20ミリ幅に切り、
やすりで19ミリ角正方形(1Uの巾)に整える。

中心を取り、
5ミリ径のドリルで穴を2ミリの深さまで開ける。

円柱型の穴をあけたいとハンズで相談して、
特殊なドリルを買った。
(木材用がいいのでは、と店員にはいわれたが、
それより刃質のよい竹用を買った。
竹は固いので、それを砕ける強い刃だ)
電動ドリルの刃先パーツではあるが、
所詮2ミリの深さなので、
手でごりごりと回して開けた。
ここにステムをはめて接着する。

ただし、キーキャップのステムを他から流用するため、
径5ミリだとギリギリ入らない。
三か所くらいに微妙に先端をずらして、
三つの穴が重なったように開け、
ステムが摩擦で入るように開けていく。

ステムはPBTのキーキャップから流用しようとしたが、
PBTは接着が難しい材料なので、
3Dプリンタで作られたRomlyさんのロープロファイルキーキャップから削り出す。
材料がナイロンなので、
これなら木材との接着が簡単になるはず、と踏んだ。

せっかく作られたロープロファイルキーキャップを、
ニッパーで砕きながらステムだけを取り出す。
やすりで削って、円筒状態のステムにする。
小さくて丸いので、転がってなくしがち。


あとは木材にはめ込み、木工ボンドで固定。
穴にボンドを満たし、
ステムを埋め、はみ出したものをへらで整える。
平面に円柱が埋まった状態だと、
ななめに打ったときに軸が折れやすいだろうから、
木工ボンドでヘリを三角にして補強する感じ。
miniAxe_cheak_Thumb3.jpg

miniAxe_cheak_Thumb4.jpg


ステムの垂直をちゃんと取り、
軸の回転をしないように接着するのが難しい。
木工ボンドが粘り始める前に固定しなければならない。
ちなみに、
ステムの十字の溝は、
よく見ると太いものと細いものがある。
これでキーが90度間違ってつかないようになっている。
太い溝のほうが横方向、
細い溝のほうが縦方向だ。

木の木目を考えると、
親指の沿う方向に木目があったほうがいいので、
木目と平行に細い溝が来るようにすればよい。

固定したら念のため12時間ほど乾燥させる。
当初はOリングをかまして斜めの補強としたかったが、
ステムの穴があんがい深くなってしまい、
Oリングの挟まる余地がなくなってしまったのが反省点。
(足が折れるまでどれくらいかかるか、
いま耐久試験というわけだ)


で、
「5ミリ厚の板の真中に、
円筒状のナイロン製ステムが固定されたもの」
が出来上がった。
これをやすりで削っていく。

最初は荒いサンドペーパーで形を整え、
最終は320番で表面を滑らかに滑れるようにする。


まずは親指の角度がななめにつくように、
半径5センチ程度の棒にやすりをつけて、
シリンドリカル状の凹型をつける。
こちらから見て上り坂のシリンドリカル溝があるようにする。
高低差でいうと3ミリ程度。
奥を5ミリのまま残し、手前を3ミリくらい削って、
高低の坂をつくり、かつそれがシリンドリカルになるようにする。

次に、親指が手のまっすぐ方向からみて、
45度くらい内側に伸びたときに接触するような感覚の凹もつくる。
親指と木材の間に紙やすりを挟み、
ひたすら「親指が接触して、すり減ったような感じ」
を削りつづけることでつくる。
親指はキーにむかってまっすぐ構えるときもあるし、
やや斜めになるときもある。
その親指を接触した時のシミュレーションをするわけだ。
単なるシリンドリカル溝だと、ななめに親指が接触すると痛いからね。

納得のいく形状になってきたら、
角を丸め、全体的に細かいやすりをかけて滑らかにすればOK。


ついでに、
この凹型に似ているDSAキーキャップに替えた。
以前のDSAよりスフェリカルの食い込みがきつく、
撫で打ちがやりやすくなっているキーキャップ。
(納得いかなかったら、表面をやすりで削ろうかと思っていたが、
ちょうどよかった)
親指部分は低いほうがいいと思ったので、
Romlyさんのロープロファイルキーキャップをそのまま使用している。
出荷状態ではざらざらだけど、やすりで磨くとつるつるして触り心地がすごくよくなる。
手前の高さは自作木製と同じだが、
坂のない状態なので、端に親指が接触することになり痛い。
(しかし頻度的に使うキーではないので、
割り切った)


ということで、
すこぶる快適なキーキャップができた。
吸い付くような角度と手触りが最高。
チークは家具にも使われるので、
耐久性自体はある。


量産できるかな。
親指キーだけでなく、全キー木製だと最高かなあ。
軸の耐久性などは、これから試験。
posted by おおおかとしひこ at 20:50| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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