薙刀式はスペースキーをシフトに使う、親指シフト系の末裔だ。
だから親指キーはよく使う。
ふつうのPBTだと固くて指が痛くなるので、
柔らかい木材、チークを削り出して自作キーキャップを作ってみた。
チークは、柔らかいから加工しやすい。
しかも樹脂がしみだしているので、
表面がしっとりしていて、蝋のような手触りをしている。
硬いPBTに比べ、
柔らかく衝撃を受け止めてくれるだけでなく、
やすりで表面を均すと滑りもよくなる。
手の油の吸収もよい。
水には強くないが、
そもそもキーボードに水は厳禁だから気にしないことにした。
僕のキーボード、miniAxeは平らな設計なので、
親指の角度に合うようにななめに削る。
しかも、親指を置いたときに凹型になっていることが理想だ。
粘土で最初はつくろうかと思ったが、
木材で出来そうだと思い、つくることにした。
以下、そのビルドログ。
東急ハンズで、
チーク材を買ってくる。
厚み5ミリ、幅20ミリの細長い板が手に入った。
これをのこぎりで約20ミリ幅に切り、
やすりで19ミリ角正方形(1Uの巾)に整える。
中心を取り、
5ミリ径のドリルで穴を2ミリの深さまで開ける。
円柱型の穴をあけたいとハンズで相談して、
特殊なドリルを買った。
(木材用がいいのでは、と店員にはいわれたが、
それより刃質のよい竹用を買った。
竹は固いので、それを砕ける強い刃だ)
電動ドリルの刃先パーツではあるが、
所詮2ミリの深さなので、
手でごりごりと回して開けた。
ここにステムをはめて接着する。
ただし、キーキャップのステムを他から流用するため、
径5ミリだとギリギリ入らない。
三か所くらいに微妙に先端をずらして、
三つの穴が重なったように開け、
ステムが摩擦で入るように開けていく。
ステムはPBTのキーキャップから流用しようとしたが、
PBTは接着が難しい材料なので、
3Dプリンタで作られたRomlyさんのロープロファイルキーキャップから削り出す。
材料がナイロンなので、
これなら木材との接着が簡単になるはず、と踏んだ。
せっかく作られたロープロファイルキーキャップを、
ニッパーで砕きながらステムだけを取り出す。
やすりで削って、円筒状態のステムにする。
小さくて丸いので、転がってなくしがち。
あとは木材にはめ込み、木工ボンドで固定。
穴にボンドを満たし、
ステムを埋め、はみ出したものをへらで整える。
平面に円柱が埋まった状態だと、
ななめに打ったときに軸が折れやすいだろうから、
木工ボンドでヘリを三角にして補強する感じ。
ステムの垂直をちゃんと取り、
軸の回転をしないように接着するのが難しい。
木工ボンドが粘り始める前に固定しなければならない。
ちなみに、
ステムの十字の溝は、
よく見ると太いものと細いものがある。
これでキーが90度間違ってつかないようになっている。
太い溝のほうが横方向、
細い溝のほうが縦方向だ。
木の木目を考えると、
親指の沿う方向に木目があったほうがいいので、
木目と平行に細い溝が来るようにすればよい。
固定したら念のため12時間ほど乾燥させる。
当初はOリングをかまして斜めの補強としたかったが、
ステムの穴があんがい深くなってしまい、
Oリングの挟まる余地がなくなってしまったのが反省点。
(足が折れるまでどれくらいかかるか、
いま耐久試験というわけだ)
で、
「5ミリ厚の板の真中に、
円筒状のナイロン製ステムが固定されたもの」
が出来上がった。
これをやすりで削っていく。
最初は荒いサンドペーパーで形を整え、
最終は320番で表面を滑らかに滑れるようにする。
まずは親指の角度がななめにつくように、
半径5センチ程度の棒にやすりをつけて、
シリンドリカル状の凹型をつける。
こちらから見て上り坂のシリンドリカル溝があるようにする。
高低差でいうと3ミリ程度。
奥を5ミリのまま残し、手前を3ミリくらい削って、
高低の坂をつくり、かつそれがシリンドリカルになるようにする。
次に、親指が手のまっすぐ方向からみて、
45度くらい内側に伸びたときに接触するような感覚の凹もつくる。
親指と木材の間に紙やすりを挟み、
ひたすら「親指が接触して、すり減ったような感じ」
を削りつづけることでつくる。
親指はキーにむかってまっすぐ構えるときもあるし、
やや斜めになるときもある。
その親指を接触した時のシミュレーションをするわけだ。
単なるシリンドリカル溝だと、ななめに親指が接触すると痛いからね。
納得のいく形状になってきたら、
角を丸め、全体的に細かいやすりをかけて滑らかにすればOK。
ついでに、
この凹型に似ているDSAキーキャップに替えた。
以前のDSAよりスフェリカルの食い込みがきつく、
撫で打ちがやりやすくなっているキーキャップ。
(納得いかなかったら、表面をやすりで削ろうかと思っていたが、
ちょうどよかった)
親指部分は低いほうがいいと思ったので、
Romlyさんのロープロファイルキーキャップをそのまま使用している。
出荷状態ではざらざらだけど、やすりで磨くとつるつるして触り心地がすごくよくなる。
手前の高さは自作木製と同じだが、
坂のない状態なので、端に親指が接触することになり痛い。
(しかし頻度的に使うキーではないので、
割り切った)
ということで、
すこぶる快適なキーキャップができた。
吸い付くような角度と手触りが最高。
チークは家具にも使われるので、
耐久性自体はある。
量産できるかな。
親指キーだけでなく、全キー木製だと最高かなあ。
軸の耐久性などは、これから試験。
2019年03月07日
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