漫画はキャラクターなどとよく言われる。
ストーリーなんぞどうでもいいのかな。
(そんなことはないけど、
ストーリーとキャラクターの配分が、
よりキャラクター寄りなのかもだ)
一方映画は、ストーリーこそ最重要だと考える。
その差は、触れている時間の差だと思う。
二時間と、数年。
一気に見る二時間と、
週一で部分だけ見て、間に別のことをする。
その差のような気がする。
一気に見る二時間は、
焦点で引っ張り続けて、
それがどうなったかで落ちをつける。
休み休み見る長期連載では、
焦点だけで来週まで引っ張ることは難しい。
ネットのある今では、
特に予想が広まったりしてしまって、
焦点そのものだけではすぐにネタも尽きるだろう。
だから、長期連載では、
キャラクターの人気で持たせることが多い。
毎回ストーリーの焦点を都度考えるより、
一度作ったキャラを振り回す方が、
楽だし安パイだから、ということがあるような気がする。
ついでに、キャラクターは、
キャラクタービジネスになる。
これは歌舞伎の時代からあった、役者絵、
つまりブロマイドビジネスだ。
(もっというと、神の図像を売る、偶像崇拝ビジネスだ。
どんな宗教も最初は偶像崇拝を禁止するが、
そのうち偶像でキャラクタービジネスをお布施という形で展開する)
キャラクターグッズ、
コスプレ、ゲームなどの他メディア展開、
二次創作などのファンアート、
全てはキャラクタービジネスになる。
それはストーリー展開で稼げる、
一次ビジネスの額より全然大きい。
たとえばジャニーズのコンサートでは、
コンサートそのものの収入、楽曲での収入よりも、
コンサートでのグッズの売り上げ(物販)
の方が圧倒的に売れる。
ジャニーズは写真を他メディアに使わせないことで有名だ。
役者絵なるブロマイドは、
ジャニーズの独占商売にしているわけだ。
一時期ジャニーズ主演の映画のポスターなのに、
主役の写真が使えない時代があった。
今では解禁されてもいるけど、
似顔絵にしたり、別のビジュアルを強要された事情がある。
女性誌の紙面をネットに載せられなくて、
ジャニーズだけ塗りつぶされて、
「かまいたちの夜」状態になった事件も記憶に新しい。
それはすべて、一回のコンサートで数億円売り上げるという噂の、
キャラクターグッズのためである。
ジョージルーカスは、
スターウォーズを作った時、
脚本家や監督の微々たる権利を放棄して、
キャラクターの版権だけ確保したという。
これが、のちのちキャラクタービジネスの、
巨万の富を築くことになるわけだ。
オモチャやフィギュアやその他その他、
それでルーカスは一生食える。
長期にわたって触れるものは、
ストーリーではなくキャラクターだ。
ストーリーは、わずかな短時間で集中して見るものであり、
それは巨万の富を生まない。
だから、
よくわかってない人も、
「キャラクターが大事」と、
誤った認識を持つ。
たとえばキャラクタービジネスをやろうとしていて、
ストーリーの出来不出来のことをよくわからない、
製作委員会のメンバーなどだ。
どんなに魅力的なキャラクターでも、
クソみたいなストーリーなら詰まらないのに。
どんなに魅力的なキャラクターでも、
クソみたいなストーリーなら、
キャラクタービジネスには至らないのに。
役者絵で稼ぎたいなら、
その本番の舞台を最高にするべきなのに、
役者絵の出来不出来しか言わない、
プロデューサーや編集者が増えたのだろう。
キャラクターは、だから金になる。
その悪魔の囁きの正体を、よく知ろう。
あなたは魅力的なキャラクターを作らなければならない。
それは、
キャラクタービジネスや、
長期連載の為ではなく、
ストーリーをより面白くするためである。
キャラクターとストーリーの両方が
本気で面白かった時だけ、
キャラクタービジネスは大成功する。
そしてストーリーというのは、
わずかに限られた期間中に、
一気に駆け抜ける様式で書かれるものである。
本末転倒的な、
ストーリーとキャラクターの関係を知っておこう。
たとえばゲームの世界では、
レアキャラガチャとか言ってるよね。
これもキャラクタービジネスだ。
キャラ集めのゲームはすべてキャラクタービジネスだ。
ゲーム内経験がシナリオに相当するが、
プレイヤーによってシナリオが同じにはならないので、
ゲームとはもはやシナリオを放棄した、
仕組みの遊びになっている。
野球にたとえれば、
野球のルール=ゲームの仕組み、
野球選手=キャラ、
ストーリー=試合展開
ということだ。
つまりあなたは、
「二時間の試合展開をどう面白くするのか?」を考えてるだろうか、
ということだ。
二時間集中させるだけの、
興味深い焦点の移動を計算し尽くしているだろうか?
長期連載のものをコミックスで読むと、
また違うものになるだろうね。
でも人間の集中力は、
一巻から数巻程度だろう。
それ以上は、やっぱり長期的な付き合いになる。
ということは、やはりキャラクターが重要だ、
となってくるのかもしれない。
付き合う時間や集中力の差異を、
意識して見るとわかることがあるかもしれない。
そして、
映画とは、野球にたとえれば、
独自のルールをつくり(世界観)、
魅力的な選手を出し(キャラクター)、
最も面白い試合展開(ストーリー)を考え出さなければならない、
ということである。
2019年03月08日
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