ザ・デストロイヤーが死んだ。
僕にとって、はじめて知った悪役だ。
「山」といえば富士山だ。「悪役」に名はない。デストロイヤーのことだからだ。
子供の頃はほんとうに悪い外人だと思っていたけど、
大人になると、悪役というものは正義を際立たせるためにつくられたものだ、
とわかるようになる。
悪役はだから、正義と悪を知って、正義を見せるために存在する。
デストロイヤーはだから、正義の味方だ。
彼が死んで、悪はほろびたのか?
正義こそがほろびかかっているのではないか?
私たちはデストロイヤーを失った。
正義をも失ってはならない。
UWF新日の対抗戦の大一番。
UWFの象徴であった高田のミドルキックをドラゴンスクリューで落とし、
武藤が極めた技はなんと足四の字。そんな馬鹿なと声をあげた。
キャプチュードでも膝十字でもV1アームロックでもない、古典中の古典中の古典技。
作りに時間がかかりすぎ、相手が待っていないとかからない技。
しかしドラゴンスクリューの痛みからならば、その時間の空白を作れる。
そして一度極まった四の字がどれだけ痛いかは、
デストロイヤーの真似をした小学生なら全員知っている。
あの台本は誰が書いたのだろうか?
デストロイヤーを、プロレスを、心から愛する者だと僕は思う。
あの日UWFは終わり、あの日昭和プロレスも終わった。
デストロイヤーのオリジナルホールドでだ。
2019年03月08日
この記事へのコメント
コメントを書く