2019年03月12日

潜在需要のしらべかた

「ググって出てくるか出てこないか」は、
いまやわりとポピュラーな需要の調べ方だと思う。

で、出てきた時の方が需要がある?
出てこない時の方が需要がある?


誤ったマーケティングは、
「出てきたほうが需要がある」と考えること。

「みんなが言及しているから、
それは売れ筋であり、
それを売れば皆が買う」
と考えるのは、商売人として三流だと僕は思う。

なぜなら、今からそれを手配しても、
既存の市場に後発で参入することであり、
もうブームは去りつつあるからだ。
美味しい上澄みは終わっていて、
カスを掠めとることは可能だ、
という程度だろう。

消費者の立場から見ればあきらかだ。
独創的ななにかが出てみんなが飛びついたあと、
二番煎じや三番煎じが出てきて、
あまつさえパチモンが出てきて、
その市場自体に魅力が失せることは、
しょっちゅうあることだ。
(このときに、オリジナルを超えた改良版が出れば、
市場は再び息を吹き返す)
「市場とは魅力や輝きを金で手に入れること」
だと僕は思う。

ググって出てきたら需要があるので、
後発参入する三流たちは、
自らが市場を終わらせにくる。


僕は、
「消費者として欲しいもの」を作るのが、
もっとも正しいマーケティングだと考えている。
あなたは消費者の一人であり、
この世の中に溢れる何かに詳しければ詳しいほど、
どこまで探してもないものの存在に気づく。
ないならつくる。
それがものづくりの原点だ。

あとは、それがどれくらい強烈に欲しいか、だろう。
自分の中の飢えや渇きを埋めるために、
ものづくりはするべきだ。
でないと満足などあり得ない。

それが、他の人も欲しいものかどうか、
を見極められるかどうかが、
商売人としての目だ。
みんな欲しいか、そうでもないかだ。

ただ、特定の個人が猛烈に欲しいものは、
他の似たような誰かがちょっと欲しいものになる可能性は高い。
日本のマーケットだけで考えなくとも、
いまやグローバルでアマゾンとネットとクレジットがあればなんとかなる。

たとえば僕が散々はまっている自作キーボードは、
ニッチだけれど強烈な需要がある。
この流れを感じ取れなかった日本の家電メーカーは、
商売人として三流だ。
二年前くらいにその芽はあったのだから、
キットを作って売り出せば、
今頃mint60以上にバカ売れだったろう。
その10年以上前から、
「キーボードをカスタマイズ出来ればいいのに」
なんてみんな思っていた。
潜在需要を感じ取れなかった大企業糞病だ。
去年の夏、当時至高と思っていたhhkbのユーザーミートアップに参加し、
企業の人(開発ではなく営業や広報だろう)と、
直接話せた。
僕は30gモデル(なんなら20でも10でも)が欲しいと訴え、
会場のユーザーは大きな拍手をしたにも関わらず、
企業の人はその潜在需要に気づいてない顔をして、
それで終わりになった。
その時点で、こいつらは三流商売人だと、
僕はhhkbを見限った。
たぶん彼らは、キーボードを使ってないのだ。

同時期、実は僕はカタナ式キーボードを、
数社に売り込むことをためしにやってみた。
当時自作という知識がなかったので、
金型製作に1000万とかの開発費で、
どこも頓挫した。
今ならカタナ式キーボードは、
少量生産なら1万+人件費で生産できることを知った。
(いつか試作品は作るかもしれない)

各企業は、大企業病になっている。

需要がある、と感じるセンサーは、
ユーザーとしての実感だけだ。
ググっても出てこない。

自分が強烈に欲しいものは、
他の人も強烈に欲しい可能性がある。

そしてそれはいまないなら、
ググっても出てこない。


創作物を商売にするには、
それをどうにかして投資案件に持ってこれることで、
それができる人が一流なのだろう。

僕は商売人としては二流だから、
お金持ちにはなれないし、
たいして作品が流布するわけではない。
しかし強烈なファンがいることくらいは自覚している。
まあいつか誰かに発見されるまで、
淡々と積んでいくさ。



さて。

いま、邦画の商売人は、三流だらけだ。
だから邦画はもう斜陽だと思う。
日本の大企業も、商売人としては三流だ。
だから日本も斜陽だ。

ググって出てくるものしかつくっていない。
似たようなのしか出てこないし、飽きたと思われてるのに、
なぜ気づかないのか?


ググって出てこないものをつくる人を、
クリエイターという。

あなたはコピーヤーか?
クリエイターか?
posted by おおおかとしひこ at 12:05| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。