2019年03月20日

説明のコツ

認識の拡大していく方向に説明せよ(ボトムアップ)。
大枠を示し、細かい方向に誘導せよ(トップダウン)。
どちらかだ。混ぜてはいけない。


ストーリーの場合、
たいていボトムアップが使われる。

主人公が何か異常な事態に放り込まれることになり、
その視点から状況を理解するから、
全体が分からないまま進むことが多いからだ。

そのうちどこかで、
実はこうなっていて、
というトップダウン型の説明が来ることで、
ようやく全貌が理解できる、
なんてことがよくあるだろう。


最初からトップダウンだと、
説明が長くなるので、
そんなに使われることは少ない。

「スターウォーズ」の冒頭の部分は、
そうしたトップダウンのややこしさを、
ええい字幕でやってしまえ、という割り切りがあって興味深いものである。

この世界はこうなっていて、
その中のここに主人公は住んでいて、
こういう設定があって……
というのは、そんなにうるさくなければあってもよいが
(たとえばドラマ風魔で毎回ある前口上、
「その脚力は一日数千里を走り…」は、
キャラクター設定紹介という意味での、トップダウン的説明だ。
これが調子の良い言葉になってるものを、
歌舞伎など伝統的に前口上として七五調にしてきた)、
たいてい説明が長くなってしまうことが多いので、
ふつうはボトムアップ形式で話を進めてみてはどうだろう。


もちろん、
説明は冒頭部だけではない。
途中途中説明したほうがよければ、
随時説明を挟んでいくことになる。

一番いいものは説明が一切ないことだが、
それが物語の性格上どうしても難しいなら、
あえてきちんと説明シーンを作ってもよい。

「スターウォーズ」(オリジナル1、現エピソード4)では、
「デススターが無敵の要塞であるが、
この溝に進んだ先の建設中の排気口に爆弾を放り込むと、
攻略できる」ことが説明される。
これは、
出撃前のブリーフィングシーンとしてえがかれ、
観客と主人公たちが、
同時に情報を受け取るように工夫されている。
これもトップダウン的説明になっていて、
状況が分り易くなっているシーンである。


説明シーンは悪ではない。
効果的にすると、あとが最高に良くなる。
駄目なのは説明が下手なシーンなだけだ。

「ここで説明をいれるべきか」
「入れるとしたら、トップダウンがいいのかボトムアップがいいのか」
を意識しよう。
そうすると、説明を効果的に自覚して考えることになるだろう。

最悪なのは、
トップダウンとボトムアップがまぜこぜになっている、
どこに視点をおくべきか、分かりにくい説明だ。
posted by おおおかとしひこ at 13:03| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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