長かった。
カタナ式を模索する中で手を痛め、
それからはずっとどこかが痛かった左手。
今朝、一年半は続いた、
起きたときの左手の痛みがないことに気づいた。
毎朝の呪いが解けたのだ。
以下その顛末。
僕は、そもそも入力の改善をしたかった。
Qwertyローマ字のブラインドタッチをしたくて練習したが、
あまりの効率の悪さに、配置が悪すぎるだろうと、
配列を改良することを決意する。
ローマ字配列を模索する中で、
カタナ式が形になりかかったころ、
左薬指を痛める。
腱鞘炎だ。
僕はそれまで左薬指を実生活で使ったことがなかった。
おそらくほとんどの人がそうだろう。
頻度を少なくしていたとはいえ、
人生で一番薬指を使って、耐えられなかったのだろう。
僕は沢山文章を書いてきたが、
薬指を使って書いたことがなかった。
だから薬指を痛めた。
腱鞘炎人生のはじまりだ。
以来、カタナ式は左薬指を使わない配列へ舵を切った。
ついでに右小指も使わないようにして、
両小指左薬指を使わない、
特殊な配列へ変貌を遂げた。
効率化、腱鞘炎、両方が僕の動機となった。
さらにローマ字からカナに入力を変えて打数を減らすことを考え、
下駄や飛鳥をやってみて、
薙刀式を思いつき、
押下圧の低いキーボードを探し、
配列を合理化し、
ついには既製品にない軽いキーで自作キーボードをつくったのも、
合理的な入力がしたいという前向きの欲望と、
手の痛みをなんとかしたいという後ろ向きの欲望の、
両方の要求があったからだ。
今朝、一年半つづいた、
左手の痛みがないことに気づいた。
長い道のりは、
朝起きて痛みがない、
という当たり前の日常が帰ってくることで報われた。
最初は左薬指が犯人であったのは確実だ。
まだカタナ式の左薬指にMとPがあったころ、
おそらくはMのせいで痛くなった。
長掌筋を中心に痛みが治らない。
薬指を不使用にしても、完治はしなかった。
最近、ようやく左親指犯人を疑うようになる。
親指はカタナ式でも薙刀式でもセンターシフトとしてよく使う。
先日打鍵動画を撮って、変換にもよく使っていることを自覚する。
最近、親指キーを自作していたのはそれが理由だ。
で、三代目親指木製キーをつくったことが、
直接の腱鞘炎治癒に効いたことになるかもしれない。
それに替えて数日で効果があったからだ。
パームレスト、マッサージ、ツボ療法は、
結果からいうとそんなに効果がなかったかもしれない。
しかし解剖図を見て、自分の腕の中にどういう筋肉があるか知るとは、
大切な勉強だったかもしれない。
結局、「押しやすい親指の自然な角度」に親指キーをつくることが、
ぼくにとっては正解だっただけのこと。
ちなみに、
長掌筋だけでなく、
左肘の中がずっと痛かった。
それは繋がりで、
上腕三頭筋(二の腕の裏側)、脇を経て、
肩甲骨の後ろから背骨につながる筋に至るまで、
ずっと凝っていたことは自覚していた。
最近、新しいストレッチを知って、
それを試したら、
母指球から背骨まで繋がっていることを自覚した。
痛みは連動している。
https://www.health-sunchlorella.jp/3minutes_stretch/19/?_ga=2.77642132.1015955474.1553934452-1862487098.1553934452
で、親指犯人説が濃厚となる。
薙刀式は左薬指をわりと保護していて、5%しか使っていないから、
それより何倍も使う親指のほうを疑わなかったのは、
むしろ不合理だった。
「強い親指」という神話を信用しすぎていた。
親指自体は痛まない。
親指に繋がっている筋(とくに肘中心)が、痛む。
僕は肘が痛いが、それは親指の傷みを、
体が勝手に肘の中の腱でカバーしていたからだ。
改善はそのストレッチと、
全体的なストレッチと、
親指キーの改良で行った。
銭湯に通い、血をなるべく通す。
実際、長い筋のどこが痛んでいるかは、
日によって違う。
今日凝っている場所が、明日も痛むかは分からない。
親指の酷使をどこで肩代わりするかは、
微妙な筋同士の緊張で決まる。
親指を使わない配列の検討も考え、
新下駄などを触ってもみたが、
僕には合わなかった。
言葉と指の動きがシンクロしなかった。
センターシフトまたは親指シフト系列が、
僕には合っているようだった。
元祖親指シフト(Nicola)や飛鳥の21-219もやってみたが、
それも手に合わない。
薙刀式を改良していくしかない。
文章を書くことをやめるか、
フリックで書くなどすればよかったかもしれない。
しかし、原因を突きとめ、それを改良したいという、
解明したい好奇心のほうが勝っていたかもしれない。
逃げるのではなく、立ち向かってねじ伏せたいと思っていたのかもしれない。
で、
直接の完治要因は、
ストレッチ、
20グラムにした押下圧、
そして三代目の木製親指キーだと僕は思う。
親指キーはのちほど写真を撮ってアップする。
パームレストなしで、
自然に手首をテーブルにつけて手をキーボードに置いたとき、
親指のついている場所は、
4指の平面より下にある。
しかしキーボードはそうなっていない。
だから親指を上に無理やり上げて打鍵し続けることになる。
それがおもな原因だと考える。
(親指シフトはそれを防ぐため、親指と4指が同一平面上にくるように、
お化けの手、猫の手で指先で打つことを推奨している。
しかしそれは手を浮かし続けることになり、
僕には無理だった)
だから、
4指より下に親指が構えられるように、
ふつうのキー面より下に、
親指が接触できるように、
親指キーを工夫した。
具体的には、
ステムの上に平面がある構造に対して、
積層してスカートをつくり、
スカートごと凹型に削って、
親指接触部分を、上面より下位置になるようにした。
しかも、親指は4指と伸びる方向が違う。
45度斜めに接触できるようにした。
親指という丸い物体が触れられるような、
凸でなく凹にしてある親指キーはほとんどない。
しかも一番触れるスペースキーが凸になっている意味がわからない。
凹にしたスペースキーを、
一年くらい工夫していた。
それがようやくまともに機能した。
自作キーボードというブームがなかったら、
自分でつくるという発想に至らなかったかもしれない。
それはとても感謝する。
僕の腱鞘炎を治したすごい親指キーは、
写真を撮るまでお待ちを。
2019年03月30日
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