2019年04月12日

【キーボード】miniAxeのススメ

今朝作者さんに補足されたようなので、
miniAxeのススメをまとめてみる。


miniAxeのいいところ

・コンパクトでミニマルなこと。
僕は人より手が小さいようで、19mmキーピッチがつらい。
色々試したところ、16ないし17が合うような手だ。
自作キーボードではほかにErgo42も作ったが、
とてもじゃないがデカすぎて常用できない。
(片手キーボード2枚作りたくて作ったんだけどね)

常用するには10行3列が限界で、
さらに減らしたいくらい。

もしキーピッチが16なのがあれば
(そのようなキースイッチとキーキャップがないと無理なのだが)、
4列や小指外があってもいいかもしれないが、
現実はそうはいかないので、
指の範囲を限定したい。

それには、このコンパクトなレイアウトは最高だ。

親指部分が少ないのは残念だが、もう慣れた。
自作配列薙刀式を使うために、
内側を左右ともSP/Shiftにしてある。
僕の常用する記号は薙刀式に格納してあるので、
使わない記号はRaise/Lowerに押し込んだ。
本格的にプログラミングするとき
(といっても僕の人生ではキーマップいじるときだけ)は、
別の記号表記付きキーボードを使ったりする。

あくまでminiAxeは、日本語を書くためのデジタル万年筆がわりである。


・ホットスワップ対応なところ

キースイッチを抜き差し出来るのは大きい。
実際にはキーキャップ交換時にスポッと抜けて、
挿し直すことのほうが断然多いが(苦笑)、
「いつでもスイッチかえられるぜ」という安心感は良い。
Ergo42の半田付けとの比較になるが、
「これを変えるには全半田か…」という感覚より良い。
まあベリリウム調達すればよいのだが…

もともと自作の決意をしたのは、
押下圧をバネ交換で変えられると知ったからだ。
現在オール20gの激軽スイッチで大量の日本語を打っている。
25gのスイッチを混ぜた偏荷重も試した。
(今は元に戻した)
フィードバックを得ながら改造していけるところが良い。

アクチュエーションポイントが浅いという、
シルバー軸を20gに換装するとどうなるか、
ちょっと興味がある。


・格子配列

レガシーの左に傾いたロースタッガードなんて捨てちまえ。
左手が捻られて腱鞘炎になるぜ!(なった)
僕は腱鞘炎治療のために軽い押下圧を求め続けて、
35g30gでは満足せず、20gの世界に入った。
そして左手の捻りのない左右対称性で、
僕の左手は二年ぶりに健常者に戻ったのだ。
コラムスタッガードは、
自作配列薙刀式の小指薬指アルペジオが打ちにくくなるので、
僕は格子配列をオススメする。


・持ち運びが楽。

僕は外で文章を書くためのキーボードが欲しい。
かつてはhhkbBT、NiZ75を毎日持ち歩いていた。
それに比べれば圧倒的に軽い!小さい!
今は雑貨屋で見つけた革ポーチに入れている。



欠点もあるよ。

・プレートの隙間から埃が!

自作キーボードはそもそもプレートでPCBを挟み込む構造なので、
原理的に埃に弱い。
自作界隈でも第三者がケースを作る流れになりつつあるよね。
TALPさんのウッドケースに憧れて、僕はチーク材を使って自作。
ローズウッドは加工の手間がありすぎるので諦めた。
ケースを作るのも自作の楽しみとはいえ、
万人ができるわけじゃない。

現在のケースは横に3mmずつ木材がはみ出すので、
コンパクトさを阻害していると考えていて、
PCBきっちりのサイズになるような、
挟み込むタイプのケース(ケースというより詰め物?)
を作れないかと妄想中。
僕は木工が得意なので、やっぱり木だな。
ヒノキにしようかなあ。

あるいは周囲に革を一周させる、というアイデアもある。
同じくどう固定するかが問題。メンテできるように外れるようにしたい。
ボルドー色のワニ皮が良かったので、
それで作れたら最高かもなあ。(革細工沼)


・親指キーの問題

これが実用上一番でかい。
そもそもだけれど、
親指キーは4指の平面と違う面にいるべきだと思う。
だってついてる角度が違うもの。
一日二万字ペースで書くことが僕の目標なのだが、
従来の親指キーでは2日で壊れるだろう。
角が当たって痛いし、
4指のつくる平面より接触点は下にあるべきだ。
(既成キーボードの、親指キーが凸になっている理由がわからない。
丸い指と凸だったら一点接触ではないか。
凹が自然かと。で、同じ平面凹だと斜めに当たることが発覚し、
どの角度でも無難な凸になったのではと推測)

なので、これまた木材で親指キーを自作して、
斜めに親指が当たるようにした。
万人がこのキーを自作できるわけではないから、
「同一平面PCB+スイッチ」
という現在の自作キーボードのパラダイム上の問題。
3Dキーキャップがひとつの解ではある。
3DPCBは難易度もコストも高いし…


・半田難易度の高さ

これはしょうがないのはわかってる。
これがminiAxeの心臓部を心臓部足り得るようにするのだから。
僕がLPを試さないのは、しばらくあの難易度をやりたくないから…
そのあとに作ったErgo42なんて楽勝すぎた。
初半田でminiAxeはドM要素満載だ。
(その前にmeishiはやったものの)
組み立てキットだから9000円という格安なんだよね。
組み立て済みだったら2.5万くらいが妥当かな。
(キーキャップ、スイッチ別)


・BTにしたい

左右キーボード、間のケーブル、本体とのケーブル、
マウスの5パーツを持ち、
タブレットを持ち、
それらを展開して接続して、
またバラバラにして小袋に分けて収納してカバンに入れ、
が毎日は手間。
BTにしたい…
でも電源供給部分がコンパクトさを殺すだろうなあ…

無線miniAxeが出来たら、その名はトマホーク
(インディアンの投げ斧)か。




僕は、hhkbは現代美術館に飾るべき、
近代の傑作プロダクトだと考えていて、
次の所蔵品はminiAxeになるだろうと思っている。
ただマスプロダクトになっていないことだけが惜しい。
現在のhhkbは、すべてminiAxeに置き換わる勢いで、
miniAxeは出来がいい。

幾何学的、数学的美しさがあるのがいいよね。
Ergo42との比較でしかないけれど、
設定のためのファームウエアファイルの束が、
とてもシンプルなのがすごいと思った。
(解読するほど知識がないのが残念だ)
骨から美しい、真の美人ではないだろうか。



僕はminiAxeの競合は、
自作キーボードだと思ってなくて、
万年筆だと思っている。

書き始めるまでのセッティングはあるものの、
書き始めれば万年筆と遜色ないものになっている、
と僕は考える。

あとは携帯性や物理セッティングの煩わしさだけが、
万年筆に劣るところだ。
胸ポケットから取り出して、
書きつけて、またしまう感じに、
キーボードが来れるのはいつの日だろうか。


僕は昔からバーで小説を書くのに憧れがある。
紙とペンではやったことがある。

今のところスタバや深夜のマクドナルドで、
タブレット+ miniAxeが精一杯だ。
スマホ+ miniAxeBTなんてあったら、
バーでやれるかもしれない。


僕にとってキーボードは、
入力装置ではなく筆記用具だ。
黒赤青ボールペン、鉛筆と消しゴムとカッター、
定規やノリや筆ペンとともに、
筆箱に入れたいのだ。
(鉛筆と一緒は黒鉛にやられそうなので、別箱になるだろうが)
posted by おおおかとしひこ at 11:33| Comment(2) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この記事で印象的な言葉を見つけた。
《僕にとってキーボードは、
入力装置ではなく筆記用具だ。》

キーボードを万年筆とくらべている人は大岡さんしかいないだろうなぁ。でも、あたしはその気持ちがよくわかります。

じゃあ、万年筆で書けばいいじゃないか、というだろうがそれも違う。キーボードには万年筆にないものがたくさんある。まずは数多くの編集機能。カットアンドペースト。IME の優秀さ。

大量に文章を書くなら、今ではキーボードの方が使いやすい。

とはいえ、長文を書くつもりで万年筆を使うのもいい手段できないかと気付かされました。
Posted by ひぐちまさひろ at 2019年04月12日 17:27
ひぐちまさひろさんコメントありがとうございます。

PC出力になるもの(ブログ、プログラミング、
提出原稿)はキーボードでやるしかないですね。

僕はそれ以前の原始的なものは手書きが良いと考えています。
私たちはPCではないので、
PCは中間変換物に過ぎないと僕は考えます。
Posted by おおおかとしひこ at 2019年04月12日 18:34
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