最も大きな山はクライマックスだが、
ストーリーの山はたったひとつではない。
複数ある。
大きな山は、大体4つ考えればよいのではないか。
ストーリーには起伏がある。
目的や焦点がはっきりして、
危険が分かり、その先に得られるものが分かった状態で、
チャレンジする必要のある、
危険が多く緊張が高まる部分と、
気が緩んで、
ものごとを整理したり、
広い視野に戻ったり、
未来や過去のことをじっくりと思うような部分とに、
わかれるわけだ。
前者を急、後者を緩という。
起伏で言えば、起と伏だ。
ストーリーは起伏を繰り返しながら、
徐々に起が大きくなってゆく。
起の大きさは、
「決定の及ぼす重大さ」で決まると思うとよい。
小テストで赤点をとってもたいしたことではないが、
大学入試に失敗すると失うものが大きい。
デートで手を握ることと、
ホテルに入ることでは、
ひょっとしたら前者の方が、
「友達だったのにそっち側にいくのか」
という決定の大きさが大きいかもしれない。
すべてはストーリーにとって、
という相対尺度になる。
で、起はどんどん大きくなっていくが、
単調に大きくなるわけではない。
単調に大きくなると、大体読めてしまって逆に退屈になる。
起伏を波のようにつくり、
「どっちに転ぶかわからない」という緊張を常に作っておくことだ。
で、
それでも、山になる部分がある。
「ここ最近でデカイ決定が出そうなこと」があると分かった時点から、
山のはじまりだろう。
それに向かって、緊張感は高まっていくはずである。
それが終わり、何かしらの決定があったら、
一息つく大きな谷があるはずで、
そこからストーリーはまた少しずつ滑り出す。
その大きな山は、
一本の話で何個あるべきか?
映画だと、大体4でいいんじゃないか、
というのが本題だ。
つまり、二時間の尺の中で、
大体30分おきにあるといい。
これはすなわち、
30分付近の第一ターニングポイント、
60分付近のミッドポイント、
90分付近の第二ターニングポイント、
そしてラス前のクライマックスに、
おおむね該当することになるだろう。
もちろん、
ひと山終わってから一息ついたとき、
その結果から遅れて重大な決定があり、
それが第一ターニングポイントになるようなストーリーもあるだろう。
必ずしも、プロットの重要ポイントと一致する必要はない。
しかし、
ストーリー上重大な転換点がそこにあることがわかっているからこそ、
そこに向けて緊張感を高めるような山を持ってくるのが、
セオリーの考え方だろうね。
クライマックスは映画の華であるが、
それぞれの山場も華である。
面白く、見たことのない山場を作ってみよう。
最初の山は、
発端から始まった奇妙な出来事が、
主人公の日常へ引き返せない侵略をしたときだろう。
その決定ポイントの前後が山になる。
だから主人公は冒険の旅に出る決意をする
(第一ターニングポイント)のだ。
次の山は、
非日常世界に飛び込んだ、明確な目的のある主人公が、
なんらかの行動をとり、
結果が出たり出なかったりした中で、
大きな山場を迎えるはずだ。
そしてその結果は、
たいてい見せかけの勝利または敗北となる
(ミッドポイント)。
次の山は、
これまでのことから色々展開したあと、
どうにかして最終の出口が見えるところにあるだろう。
見えたから第二ターニングポイントになるかもしれないし、
ひとつの山の結果、そうならざるを得ないようになるかもしれない。
第4の山は、
これまでの全てのことの総決算になる、
最大の山場だろう。
山は徐々に高くなっていくのだろうか。
たぶんそれがベストだ。
一回盛り上がったら、
次の盛り上がりが最初を下回ったら、
「まだ盛り上がっていない」という認識になるからだ。
「前の盛り上がりを超えてきた!」
になるから、人は熱狂するのである。
そのような山が、おおむね30分に一回あれば、
十分に人は集中して見るだろう
(面白ければ)。
もちろんそれより多くても構わない。
最低でも4、という程度で考えておけば良い。
2019年04月21日
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