2019年04月21日

4つの山と4つの焦点

山に至る時、可及的速やかに対処しなければならない、
「あれはどうなるのか?」が存在する。
それを焦点という。

4つの山があるってことは、
4つの焦点があるってことだ。


ストーリーの発生は、
「こんな日常にこんな事件が起き、
それに対処する必要が出来た」であることが多い。

つまり焦点はたいてい向こうからやってくる。
「どうする?対処しないと○○だぜ」のように。
もちろん、主人公サイドに既に焦点がある場合もある。
「あの子に告白したい」からはじまるストーリーもあるし、
「悪はなぜ滅びないのか?」からはじまるヒーローものもあるだろう。

いずれにせよ、
最初に発生した焦点にたいして、
主人公は行動する必要がある。
他人を巻き込むというのも行動の一つで、
他人にも目的や焦点があるから、
それらが玉突きしはじめて、
色々動いていくのがストーリーだ。

そうして、色々なところで焦点の形は変わっていく。
玉突きが起こっているわけだから、
どこかで焦点が起こる。
あちらを立てればこちらが立たずになっているので、
焦点Aが解決したと思ったら、
今度は焦点Bを解決しなければならない、
というようにストーリーは転がる(ターニングポイント)。

次の焦点は、たいてい前の焦点より、
より困難で緊急であることが多い。

なぜなら、
前大変なことをやったのに、
次楽勝だったら、あんまり面白くないからだ。
次々とレベルが上がっていくのが面白い。
同じか、下がるのはたいてい退屈だ。

だから、緊急度合い、困難具合は上がっていく。

これを、「盛り上がり」という。
ストーリーの盛り上がりとは、
観客の盛り上がりとして結果的に出てくるが、
そもそもそれは、
「主人公の、困難で緊急なことを解決しなければならない」
という緊張感から起こるのである。

ただ派手な音楽をかけて盛り上がるミュージカルや、
ただ派手なアクションをするアクションムービーは、
それが終わった瞬間、盛り下がる傾向にある。
それはその間ストーリー進行から意識が外れてしまうからだ。
上手なミュージカル、上手なアクションは、
ストーリーの盛り上がりと、
音楽やアクションの盛り上がりをきちんと合わせてくる。


うまく書かれた脚本は、
どんどん盛り上がるようになっている。
つまり、焦点がどんどん緊急に、困難になっていく。
つまり山を迎えるわけだ。

それが解決したら一段落する。
ずっと緊張していると疲れるから、
ストーリーには力を抜く場所がある。
その緩急において、
大きく4つの山を作ればいい、と前記事では経験的に書いた。


で、本題。

その4つの山における焦点はなにか、
リストアップしてみること。

これはプロットを考えるときにやってもいいし、
執筆中にあらためて書き出してみて確認するのに使ってもいいし、
リライト時に俯瞰する用に作っても良い。

それらのバランスを見ようぜ、ということ。


理想は、その4つの山の焦点が、
どんどん困難で緊急になっているといい、
ということだ。

山の大きさは、
その結果の決定の及ぼす大きさで測ることが出来るが、
その焦点の緊張感、困難度でも測ることが出来る、
ということである。

はたして○○に告白できるのか?
これを月曜までに仕上げられるのか?
あの人に会えるのか?
無事届けられるのか?
約束を守れるのか?
電車に乗れるのか?
遅刻しないのか?
地球は救われるのか?

など、焦点には様々なレベルがある。

「○○をしなければならない」という焦点は、
たいてい、
「はたして○○出来るのか?」
というCM前のアオリのように書き換えることが可能だ。

こうしておくと、
「答えはこのあとすぐ!」というヒキになる。
この答えへの興味の度合いが、
「どれだけこのストーリーに観客が惹きつけられているか」
という度合いになるというわけだ。

その興味度は、
シチュエーションの面白さと、
感情移入と、
これまでの経緯の足し算になるだろうね。



山の焦点を整理しよう。
そうすると、あなたのストーリーの背骨が見えてくる。
posted by おおおかとしひこ at 11:47| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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