2019年04月22日

内圧を高める方法

執筆途中や、プロットを考えているとき、
どうにも進まないときが多い。

それは、創造のエネルギーが足りていないのだ。
しぼんだ風船からは何も出てこない。
内圧を高めて、吐き出しやすくしよう。


名作を見ない、というのは、よくある防御手段だ。
影響されてしまうし、
下手したら「これはパクれるぞ」とあら捜ししかしなくなってしまう。
あるいは、あんな名作にくらべて自分は、と卑屈になってしまうこともある。
百害あって一利なし。
本格的な制作に入ったら、名作をみないことは本能的にやる人もいるだろう。

つまり、自分の作品だけの密閉空間をつくり、
そこでずっと考えるという、
ある種拷問が行われるのが作品作りと言ってもよいわけだ。


そこで内圧が低いと、
なかなか次のアイデアがでてこない。
そもそもそこにこもる前に栄養をためていないことも問題だが、
そこの密閉空間で妄想が足りないと、
発酵も進まず、内圧が減ってくるというものだ。

そこで、以下のような妄想をしてみよう。

・相手はここまでどうやって来たか
・登場人物の一番の親友、普段よく喋る相手について
・そこから当たり前に見えているものは何か
・誰も気づいていないが、そこに見えているものは何か
・5分後、何をするつもりか
・少し先にやろうと考えていること
・ここに登場していない重要人物は今何をしていて、次の出番までに何をしようとしているか
・どんな服を着ているか、どんな表情をしているか
・汗はかいているか、呼吸はスムーズか、髪や化粧はいまどうなっているか
・具体的なセリフの妄想
・その他ディテール。色、匂い、温度湿度、時間帯や季節、光の感じ
・このシーン特有の映像的演出方法について

などなどなど。
これらは、プロットには書いていないが、
執筆にはとても必要なものだ。
話を進めるのに必要なものが欠けていると、
このような問いにすぐ答えられないだろう。
つまり、「その世界がここにある」ということの、
妄想が足りていない。
それらの情報を沢山妄想しよう。

そうすると、それらは頭の中で実在性が高まり、
内圧が高まってくる。
「俺たちを書いてくれ」とね。


ないものは書けない。
だからあなたの執筆の速度が落ちてくる。
ないものを、頭の中で豊かにすればいい。
そのうち満ちて来たら、書くべき時がやってくる。

逆に、満ちていないときは、どんなに唸っても書けないことが多い。
器に妄想の水を満たせ。
執筆とは、そこからこぼれる水を掬うこと。
posted by おおおかとしひこ at 10:07| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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