2019年05月08日

【薙刀式】習慣はこわい

へえ。鴻上尚史も親指シフターなんだ。
はじめて知った。

で、ふと思う。30年同じ配列を使ってて、
不満とかなかったのかなあ。


親指シフトの人たちって、
30年ずっと同じ配列を使う人が多い。

たとえ何かを疑問に思っても、
仕事に使っている以上、
それを止められないから、
「これを使うしかない」というデッドエンドにいるのかもしれない。

経験上、一ヶ月仕事を休めれば、
配列は変更できる。
一ヶ月バイトを雇って口述筆記をする手もある。

たぶんそこまでするほど、
配列に困ってないか、
親指シフト以外の効率の良い配列を知らないのだろう。

配列の知名度でいえば、
フリックとqwertyローマ字が圧倒的で、
JISカナが数%(なんせ「カナ入力」と言えばこのことで、
「カナで入力する方式」のことを指さないことがあるくらい)、
親指シフトはそのさらに下くらいで、
さらにずーっと下がってようやく飛鳥あたりだろう。
次点で新下駄か月、蜂蜜小梅あたりかな。
(新配列の順位は、ネットで見れる情報の広さや深さで、
なんとなくつけた程度)


フリックで文筆業はつらい。
qwertyローマ字だと手が痛い。
JISカナなんてブラインドタッチには広すぎる。
親指シフトなら出来る。

上から順番に検討したら、
親指シフトで止まってしまうのも分からないでもない。

あと、「簡単には移行できない」がブレーキになる。


つまり、「情報の入手」というインプットと、
「実際にマスターする」というアウトプットの両面で、
井戸の底にはまっているのだろう。

そしてオフィシャルであるところの、
富士通からしか供給がないと勘違いしている人たちも多い。
それは、
「大量生産のものを享受するのみ」という、
昔の時代の生き方だ。
ネットが発達した今は、
「自分で調べれば工夫できる」に移行しつつある。

僕は産業革命の大量生産時代より前の、
大航海時代に戻ってしまったと、
なんとなく考えている。
ネットによくいるスタートアッパーは、
大航海時代の船に似ている。

大航海時代には、既製品を待つ庶民は取り残される。
船で進んだだけ獲物が得られる。

雨の降らない畑で待つよりも、
海の向こうに望遠鏡を向けたほうが良いのではないか。
ネットの大航海時代に、
転覆したり病気が蔓延するリスクは少ない。
(リテラシーが低ければあるかも。
予防接種のように、
ネット初心者には、
ブラクラとか暗証番号詐欺とか、煽りスルー耐性とか、
軽くそういう体験をさせて熱を出させる、
リテラシーワクチンが必要かもしれないね)


親指シフトの畑は枯渇し、ほとんど雨は降らなくなっている。
新配列は沢山出てきて、
自作キーボードはゴールドラッシュに湧き続けている。

この波に乗らないのはもったいないだろ。


親指シフトは、
新配列から比べれば、
欠点の多い旧式だ。
旧車を愛するクラシック自慢もいいけれど、
それは新車の馬力を知った上なら構わない。

「薙刀式と親指シフト、両方検討したんですが、
キーボードを選んで、句読点を小指上段で打ち、
左薬指で「し」や「か」を打ち、
拗音に2アクション必要で、
最頻出二連接「ょう」が薬指小指の、
親指シフトの方がいいと思うんです」
ならば、何も言うまい。



人は、習慣を維持し続けるという性質がある。
30年前の習慣が維持されているのは、
ある意味奇跡かもだけれど、
それは井の中の蛙というものだ。

井戸の中でピョンピョン跳ねて、
日本の文学はレベルが下がり続けたのかもしれない。
手書きのままのほうが、
新しい作家がたくさん生まれてたかもしれないとすら僕は思う。

それくらいに、
「10万字の内容のことを書く」のに、
デフォルトのデジタルは参入障壁になっていると感じる。

(ツイッターが140字、
読書感想文が大体1500字、
このブログが大体2000字、
エッセイが大体5000字、
論文が大体1万字、
脚本が大体4万字、
小説が大体10万字)


鴻上尚史に届くとは思えないが、
薙刀式はいいぞ、カタナ式もな、
などと世界の片隅で今日も呟く。

親指シフトはもはや生活習慣病である。
「抜けられない習慣」という意味で。

他の習慣になかなか移行できないのも似ている。



新配列は、どちらかというと理系の人たちによって開発された。
それは配列変更ソフトをインストールして使いこなす程度には理系、
という程度の理系で、バリバリハード理系ではない。

重要なことは、
「手段を効率化するためには、自分の更新を厭わない」
という考え方の人たちだったことだと、僕は思う。
「自分の習慣を維持するために、
周囲に強要するかお願いするか待つ」
人たちより、進歩的だと思う。
posted by おおおかとしひこ at 08:58| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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