ラストシーンのネタバレから。
完結編「エンドゲーム」の前編である、
という程度の知識で見たが、
こんなに完璧な前編だとは思わなかった。
なによりラストシーンだ。
これが、悪役サノスにとってハッピーエンドになっている、
ということが凄い。
通常、物語というのは悪役が破れ、
正義のヒーローたちのハッピーエンドで終わる。
その真逆を描いた作品だ。
構造を逆にするところまでは思いついても、
まさか悪役サノスに感情移入することになるとは思わなかった。
サノスは愛する者がいない、
というアイデアも面白かったし、
娘との出会いを描くことで、
失う悲しみをつくったのが上手い。
「人は増えすぎた。半分になれば幸せになる」
というサノスの主張は、
我々が感じていることで、
(僕が地球人口を習った子供の頃は40億だったけど)
サノスがなしていることは、
正義ではないか、と考えてしまう。
すなわち、サノスの正義における、
これはハッピーエンドの物語でもある、
ということが巧妙だ。
つまり、正義とは何か?と問うことが、
この物語の役割なのだ。
サノスは裁きの神の役割である。
人間たちの神殺しの物語が、
後半戦「エンドゲーム」で行われるはずだ。
期待値を最高にあげる前半戦として、
パーフェクトな出来といっても過言ではない。
よくあるこれに対する正義側の理論武装として、
「自然選択の結果半分死ぬなら受け入れるが、
お前の選択は正しいとは言えない」があるが、
石の選択だから宇宙の選択ともいえて、
運命論になっているのが反論し難い。
アイアンマンの正義はなんだ。
ハルクの正義はなんだ。
キャプテン・アメリカ、ソー、ブラックウィドウの正義は。
エンドゲームに期待だけが膨らむ。
シナリオ的に上手かったのは、
アベンジャーズサイドの動機をうまく描いているところだ。
Stayの一言で愛を表現するのは上手いし、
ソーの孤独も良かった。
アイアンマンのキャラクターの出たプロポーズもいいスターターだった。
「ディナーで指輪が出る」という予告がユニーク(唯一無二)だと思う。
こんなセリフが書けたら最高だね。
なぜ彼らは命を賭けて闘うのか?
宇宙が消えるから、というお題目と、
個人的動機のバランスが良かった。
(描かれてないキャラもいたけど)
一体、何人がかりでこのシナリオを書いたのだろう。
コミックスだって数人でシナリオを書くだろうし、
この映画版だってそうだろう。
何年ぶんもの結晶を、
たかが二時間で使い果たす贅沢さが、
ハードルを上げまくらせる。
週末にエンドゲームを見る予定。
マトリックスみたいにならねえだろうな。
しかし「次回でない人は消えるよ」
というのは、なんだかプロデューサーの意向っぽくて、
ちょっとやだな。
残された者に物語的理由があるといいんだけど。
今回ほど、ラストの「Avengers will return」
の出るタイミングを待っているときはなかった。
と思ったら、主語をサノスに変えるという面白さ。
わかってんなあこの人たち。
こんなわかってる人たちのチームで作れたら、
どんなにか人生は幸せだろうかね。
2019年05月09日
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